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#16 やっぱり神様か

「顔がみたいですか?」


「ええ」


 顔を見せると第一印象が「敵」になる。

 これは【貪欲】の効果だ。

 しかしマリには転移するときすでに顔を見せて第一印象が「敵」で染まっているはず。

 なら見せることに懸念はひとつもない。どうせ変わらんし。

 俺はゆっくりとフードを取った。


「呼んでくれてありがとう」


「やっぱり神様か」


「そう。【再生を司る神】のネレフェクだよ。僕を呼んだってことは心の準備ができたのかな?」


「うん。一応ね。でも条件がある」


「条件......」


「私のことは好きにしてもいい。でも私以外のパーティーメンバーを死なせないで」


 やっぱり他の人を守るためか。そのために自分の体を売れる自己犠牲の精神は尊敬できるよ。しかも守る対象に自分を含まない。

 自分より他人。あなたはどこかのヒーローですか? カッコいいですね。

 だけど......


「それはできないかな」


「なんで?」


「この世界の神についてどれくらい知ってる?」


「あなたが神様なんだよね? それ以外になにかある?」


 なんだ人族から何も聞いてないのか。

 俺はこの世界の神というものについて簡単に教えた。

 具体的に言うと、神を大きく分けた3種があることと、それぞれに種族に1柱の神が存在していることだけだ。

 今ここで詳しく話している時間はないと判断したから今回はそれだけにしておいた。


「――なるほど。そんなにいっぱい神がいるんだ。でもそれとこれとに何の関係が?」


「神々の決めたルールに〈貴神は1つの信仰神の味方になってはいけない〉っていうものがある。[情報処理]スキル持ちのマリならわかるよね。つまり僕はマリだけを守れるけど、パーティー全体、特に勇者のコウスケを守ることはできないんだ」


「そんな......」


 人族の希望の勇者様を守るということは、人神に肩入れすることになってしまう。

 マリだけなら気に入った1人に介入することになり、これぐらいならよくあることだから許される。


「じゃあ私はどうすれば......」


「自分が強くなってみんなを守ればいいんじゃない? それこそ【防護術士】のマリがさ」


「――!! そうする」


 その時、唐突にフワッと俺の手に優しい風があたった。

 レイラが俺の近くに戻ってきていたのだ。

 俺はフードを頭にかけながら言う。


「もし、君が俺に襲われてもいいと覚悟ができているなら、僕も君の強化に協力しよう。期限は3日。それまでに決めておいて」


「それならもう――」


「ただいま~。夜って意外に暗いのね」


 後ろからコウスケとキソノが戻ってきた。

 念のために俺の眷属たちをパーティーメンバーそれぞれにつけて、帰ってくることを知らせてくれるようにお願いしておいたのだ。

 顔をみられると厄介だからな。


「コウスケ、そろそろ料理を始めたいので食材を下さい」


「ああ。じゃあこの中に入っているから」


 渡されたのは大小2つの箱。

 開けて見る小さい方には塩やハーブなどの調味料、大きい方にはだいたい3食分しかない食材たち。


「もしかしてこれで全部ですか?」


「そうだけど、文句あるの?」


「いえいえ滅相もございません」


 本当はありまくりだこのやろう。

 なんだこの量。1日しか耐えられないぞ。しかも全部質が悪いし。あまり物でも渡されたのかってぐらいだぞ。

 まぁ、俺なら味は問題ない。だが、さすがに量は俺でもカバーできない。

 はぁ、これからは俺が自分で採るか。


「じゃあ俺はテントを張ってくる。料理よろしく」


「はい。楽しみにしておいて下さい」


 *


「料理が完成しましたよ!」


 今作ったのは鶏肉のシチュー。

 主食は元々持ってきていた硬いパンにバターを塗って軽く炙ったもの。

 これからはパンも自分で焼こうと思う。

 かまどは……ダンジョンの上のを使うか。


「じゃあみんな食べるよ!」


 さすが勇者御一行なだけあって、なんとアイテムボックスに机と椅子を入れてきていた。

 ただ席は4つ。なので机に乗ってる料理も四人分。

 邪魔者の俺は向こうの天然ベンチ(倒れた大木)で食べてますよ。

 いいんだ、顔をみられると困るしね。別にいいんだ......ホントに。


「ごめんな。もしあれなら食べ終わった後に席を貸すけど」


「いえ、冷めてしまいますので私はあっちで食べていますよ。皆さんも冷めないうちに食べて下さい」


「そうさせてもらうよ」


 俺はくるりと勇者たちに背を向けて大木へと歩きだす。

 最中後ろから「いただきます」と聞こえたので、一度立ち止まり後ろを振り向くと、コウスケたちがちょうどシチューを口に入れたところだった。


「「「「んーー!!!?」」」」


「な、なんだこれ! スゲー上手いぞ!」

「こんなの地球でも食べたことないわよ!」

「生きていて良かったです! 私たちこれからこれを食べて過ごせるんですか!?」

「ふーっふーっ......はぅん//」


 スキルを使わないでこれか。

 本気で作ると昇天して気を失いかねないな。

 さて、俺も食べるとするかな。


 よっこいしょ。

 さて、いただきます。

 ......うん。普通だな。いつも俺の本気料理を食べていたからな。眷属三匹も少し物足りなさそうにしている。今は少し我慢してくれ。


 ちょっとまて、あいつらが美味しいと言ってるものがすでに普通になってるって......俺の舌はもう普通の料理が食えないんじゃないか。え、俺は自分で作った料理しか食えないの? 料理しなくていい日がなくなるの? 辛くね?

 的な感じで長年の専業主婦みたいな感想を抱いていると、隣にマリが座ってきた。


「凄い美味しいよ。実は料理の神様なんじゃないの」


「違うよ。そしてここでそういう発言しないでね。バレるから」


「ごめん」


 しかし料理の神か。いいかもな。

 暇になったら遊びに行くか。

読んでいただきありがとうございます。

今回はどうでしたか?


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これからもこの作品をよろしくお願いします。

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