#14 怪しいフード男(コウスケside)
「王様、王女様は任せて下さい」
「ああ、お前を信じて任せるからな」
あれから3週間の訓練を経て俺たちは予定通り今日旅立つ。
俺もだが、マリもキソノも最初と比べてだいぶ強くなった。特に最後のモンスターとの実践訓練はレベルも5つほど上がり、ここら辺の魔物じゃ相手にならない程だ。
そしてこの会話の通り、王女で聖女なラーメルもこの旅についていくことになった。
この世界に俺たちより長くいるだけにレベルが高く、何気に強い。さらに博識で王女だから顔もきく。断る理由がどこにもなかった。
「それでは行ってきます!」
王様との会話も早々に、俺たちは王都を囲む外壁の門をくぐり旅への第一歩を踏みしめる。後ろからは観衆たちの大声援が聞こえる。
王城にいるときは楽だった。身の回りのことをメイドさんがやってくれたから。
おそらくこの旅は辛く苦しいものとなるだろう。
しかし俺たちは旅立つのだ。人族の平和のたm――
パンッ!
「うぉ!? なんだ、いきなり」
「マリさん。何故ここでクラッカーを?」
「いや、何でもない」
「意味もなにのに脅かさないで!?」
いきなり変な行動をしたマリにツッコミをいれるキソノ。
今ではキソノも明るくなり、地球での感じに戻っている。
そんな感じで始まった俺と女子3人の旅だが、今はまだ不安がほとんど無かった。
そう今は......。
*
しばらく歩き、王都の近くに広がる【木漏れ日の森】の前に着いた時にそいつは現れた。
「こんにちは。勇者様」
「......どちら様ですか?」
森から出てきたそいつは薄いベージュの外套を羽織り、フードを深く被っていた。
身長は高一の俺より少し大きいぐらい。俺自身はクラスでもだいたい中の下辺りの身長だったので、もし大人だったらわりと背が低いことになる。
だが大人だとしたら声が若過ぎる。これらからおそらく年は俺たちと同じぐらいだろう。
しかし子供だからと油断はできない。
俺たちを勇者だと知っての声がけだ。さらに森から出てきたところもあやしい。
パーティーメンバーにもここは俺に任せて欲しいと下がらせる。
「そんな警戒しないで下さい。私はネレフェクと言います。本日は勇者様に折り入ってお願いが」
「......その前に顔を見せて下さいませんか?」
「すいません。それはこちらにも事情がございますので......。それでお願いなんですが、私を勇者様のパーティーに加えて下さいませんか?」
「俺たちのパーティーに? それは何故です?」
「......私、実は元料理人でしてね? 勇者様方には旅でも美味しい料理を食べていただきたく」
料理人? しかも元? 俺と同じぐらいの年齢だと思ったが、もう少し高いかもしれないな。
確かに道中旨い飯を食えるのはありがたいが、それだけでこのパーティーに入れる訳にはいかない。
「あ、もちろん戦闘の方でも足を引っ張ることはしませんよ?」
そう言うとそいつの横に魔方陣が現れた。
咄嗟に皆へ警戒のしておけと合図を送る。
ステータスを確認する限り、ここでいきなり襲われてもこいつには勝てるが、魔方陣から何が飛び出すか分からない限り、用心するに越したことはないだろう。
そして魔方陣の光が収まるとそこにはキツネとハリネズミとネコがいた。
「クゥン」「ぴゅ」「にゃぁ」
うん。可愛い。愛らしい。
しかしこの子たちがどうした?
「実は私モンスターテイマーでして、戦いでもこの子たちを使って活躍できると思いますよ」
「こんな可愛いのにか?」
「可愛いですけど、ステータスを覗いて見て下さい」
言われた通り覗いてみたら普通に強かった。
まだレベル1だが、それでもレベル5で勇者の俺より強い。
このネレフェクはステータスがだいたい800前後なのに、このペットたちは低くても2000後半、高いところだと9000越えているときた。
なんだこの化け物ペットたちは。
「どうです? 強いでしょう? どうか勇者様のパーティーに入れて下さいませんかね」
「しかし......」
俺が腕を組んで悩んでいると、後ろからラーメルが意見をだしてきた。
「コウスケ様、いいと思いますよ。私たち並みに強いメンバーが一気に増えるのですよ。確かに怪しいですけれど、その子もその人も私たちに敵意は抱いてないです」
ラーメルは王女という職業柄、敵意とか悪意だとかに鋭い。
まだ完全には信用できないが、ラーメルがそう言うなら敵ではないのだろう。
それならば打算的に見ても損はないな。
その意見を推すようにさらにマリとキソノの声がした。
「可愛いは正義。入れるべきだよ」
「そうね! 癒し役のポジションがいてもいいとおもうわ!」
他のパーティーメンバーは全員ネレフェクが入ることに賛成らしい。
まぁ、いいか。美味しい料理を作れる人はいつか入れようと思っていたし。
少しでも怪しい動きをしたらすぐに脱退させればいいだけだ。
「じゃあ、しょうがないですね。これからよろしくお願いします。ネレフェクさん」
「はい。よろしくお願いします勇者様」
「あ、勇者様は止めて下さい。俺はコウスケです」
「そうですか。ではコウスケも私に敬語は要りませんよ」
「......ならそうさせてもらうよ。お前は?」
「私のこれは癖みたいなものですので」
無理矢理言葉を崩させるようなことはしない。
俺のパーティーにはすでに敬語が普通の王女様がいるからだ。
ちょっとした不安要素ができたが、俺たちのパーティーは迷わず森へと入っていった。
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