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#11 交換条件(コウスケside)

「おお! 勇者様! よくぞいらして下さいました!!」


 目が覚めると俺は沢山の人に囲まれていた。後ろには同じく目が覚めた茉莉と紀薗が目を(しばた)かせている。

 今勇者様とか言った奴は他の人より高い位置にある台座にどっかりと座っていた。衣装、肌の(つや)、お腹の張りからみておそらくこの国の王様だろう。


「勇者様! 神様に聞かされたと思いますが、今この世界では魔王が力をつけ始めました」


 そう説明を始めたのは王様の後ろに控えていた俺と同い年ぐらいの美少女だ。

 美少女は神なんかが話す内容よりも詳しくてわかりやすかった。


 第一あの神とやらは信用できない。一目見たときから何故か俺らの味方だとは思えなかった。

 よくよく考えれば俺らを勝手に呼び出しておいて人族を助けろなんてむしのいい話だよな。それだけじゃなくて茉莉にも手を出そうとしてきた。そう考えるとホントクソ神だな。


「――......そんな訳で勇者様方には私たち人族を助けて欲しいのです」


 美少女の話をまとめると『人族の敵の魔族の王様が力をつけ始めたから倒して欲しい』というものだった。

 途中魔族が人族に行った非道的な話がいくつか入っていて胸くそ悪くなった。神も魔族もクソな世界ってもう終わってんじゃん。


「わかりました。俺たちは人族のために魔王を討伐してみせましょう」


「本当ですか――」


「ただし、条件があります」


「条件?」


「はい。ある程度の知識、旅に使うお金と道具、そして自由をください」


「知識とお金と道具。それと自由......ですか?」


 美少女は確かめるように俺の言葉を反復した。

 自由の意味がわからないらしい。もちろんその言葉自体の意味じゃなくてその詳しい要求のことだ。


「つまり魔王を倒す以外の命令をしないで下さいってことです」


 そう俺が言った瞬間周りがざわざわし始めた。


「なんだと......」

「それじゃあ他国との戦争には使えないじゃないか」

「勇者と言ってもまだ貧弱な小僧のくせに」

「生意気だ」


 やっぱり戦争に使う予定だったのかよ。

 そんなのごめんだ。国同士の面倒ないざこざに巻き込まれたらそれこそ自由な時間が無くなるだろうが。


「もしこの条件が()めないなら俺たちは人族の敵になりましょう」


 俺がそういうとさっきよりも大きくざわついた。


「人神様に呼ばれておきながら他神につくと言うのか!?」

「しかし他につかれると我らの立場が危うくなるのもまた事実」

「こんな勇者に人族を任せてもいいのか」

「今のうちに奴隷の首輪でもつけるのはどうだろうか」


 いや、奴隷って。怖いわ。

 確かに今の俺のステータスじゃこいつら全員には敵わない。どうかそれだけはやめて。

 そう願っていたら難しい顔をしていた美少女が吠えた。


「鎮まりなさい!!」


 し......ん。

 さっきまでのうるささが嘘であるかのように鎮まった。


「わかりました。勇者様のその要求を呑みましょう。しかしこちらからも条件を出したいですね」


「......言ってみて下さい」


「必ず人族のために動くこと。困っている人族がいたら必ず助けること。我らに反乱を起こさないこと。この3つを我らからの要求として受け入れて下さるならそちらの条件を呑みましょう」


 どれも普通のことじゃないか。

 いや、もしかしたらってこともあるのか。

 でもこれぐらいなら構わない。むしろこんなので了承してくれる方がありがたい。


「わかりました。交渉成立ですね。俺たちは人族のために動くことを誓いましょう」


「はい。お願いします」


   *


 その後、詳しい話は明日するとのことで、俺たちはそれぞれの部屋に案内されることになり、俺たちは騎士のような人について行っている。

 横を見ると紀薗と茉莉が沈んだ表情になっていた。


「二人とも大丈夫か?」


「ええ。本当に来てしまったと驚いているだけよ」


 その紀薗の言葉に茉莉もゆっくりと(うなず)いた。


「それと勝手に進めたけど条件あれで良かった?」


「康介が私たちのために動いてくれているのはわかっているから」


 だから大丈夫と紀薗は言ってくれた。

 しかしその紀薗は神からもらった写真を大事そうに握りしめてとても暗い表情になっている。


 昔から紀薗は身近の人をとても大切に思っていたからな。

 紀薗の親友えいりんは少しおとなしい性格なのに学校一といわれるほどの美人だった。そのせいでよく女子生徒からいじめを受けていて、自分が標的ななる可能性もあったのに紀薗はそのえいりんを助けだしたこともある。

 えいりんは俺たちと中学校からの付き合いで、当時も別のクラスだったにも関わらず、必ず一回はみんなで集まっていたのだが......もう会えないんだよな。


 あの神はやはり敵だな。

 神と言えば......


「茉莉は本当に大丈夫か?」


「?......なんで?」


「ほら、あのクソ神に手を出されていたろ?」


「.........うん。まだ何もされてないから」


 茉莉もうつむいてしまった。

 思い出させたのは悪かったかもな。

 神は今度会ったらぶん殴ってやりたいぐらいだ。

読んでいただきありがとうございます。

今回はどうでしたか?


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これからもこの作品をよろしくお願いします。

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