納豆料理 考え中
俺は台所で1人で悩んでいた。
俺が納豆料理を考えなきゃいけない。2品考えないといけない。一品カレーで確定しているので、サラダとか、カレーの付け合わせ、ちょっとしたおかずやデザートとかを考えなきゃいけないだろう。しかし……。
「この世界のレシピサイト納豆料理が載ってない。」
この問題は大きかった。俺も納豆料理をできなくはないが、あくまで納豆パスタやうどんなどしか使った経験がない。パスタやうどんをカレーと一緒に食べてもらうのはきついだろう。炭水化物に炭水化物だし。
「前に読んだ料理漫画では納豆を隠して食べれるようにしたとかあったな。納豆嫌いな人のために納豆を細かく刻んで具材に混ぜるとか。」
しかしそれも駄目だろう。その漫画のオチは、それでも納豆嫌いの人は納豆を食べることができなかった。最終的に主人公がすごいアイデアと技術で納豆の存在を完全に無くした料理を食べさせていた。
「俺にそんな技術はない。それに納豆の存在を完全に消した料理は女神は作らないだろう。」
「水戸さんあなたは1つ勘違いをしています。」
女神いたのか。いつのまに台所来たんだ?
「水戸さんあなたは1つ、とても大きな勘違いをしています。」
2回言われた。そんな勘違いしていたか?あれのことか?
「もしかして女神様は納豆の存在を完全に消した料理を俺が提案したら作ってくれるんですか?」
それなら話が変わってくる。俺の技術じゃ作れないだけで、納豆の存在を完全に消す料理のレシピは知っている。女神なら作れるだろう。
「いいえ。私はそんな料理を作りません。水戸さんが勘違いしているのはそこではありません。」
そこじゃない?じゃあどこなんだ?
「水戸さん。この世界に納豆嫌いの人はまだいないんです。あなたは今納豆が苦手な人に向けた料理を考えています。納豆の存在を消すこと。それに思考が囚われています!」
納豆嫌いの人がこの世界にいない?何言ってるんだこの女神は。俺たちがマンションの住人に納豆を食べさせても、全員ダメだった。だから全員納豆が苦手だったじゃないか。
「この世界には納豆が存在していません。だから納豆嫌いはいないんです。このマンションの人達は初めて食べた納豆に戸惑っただけで、納豆嫌いだから食べれなかったわけではないです。だから水戸さん納豆料理で納豆の存在を消すことばかり考えないでください。」
そうだった。俺は納豆を消すことばかり考えていた。
納豆の存在を消して、料理を作る。納豆が嫌いな人に向けた料理ばかり考えていた。納豆の存在を忘れていたんだ。カレーに納豆は納豆の存在を消しつつ、納豆の旨味がカレーを美味しくしていた。俺もその方向で納豆料理を考えなきゃいけないんだ。
「期待しています。水戸さん。番組の収録は1週間後です。それまでに納豆料理を考えてくださいね。」
「了解しました。女神様。」
そして俺は納豆料理のことを全力で考えていた。