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TRUE WORLD   作者: 猫岸夏目
第一章 牙を剥く過去
3/23

CASE3「ろくろ首あるいはネック"レス" その2」

信じまいと、信じまいと-。


  気絶した渡を介抱したのは、トカゲ種の人間「スクアーマ」だった。

 この世界では、獣人こそが「人間」であり、かつての人類は「原種」と呼ばれていた。

 スクアーマは渡に自らの住む町で起きている「首が伸びる原種」の存在を語ると、

 渡はかつての自分が行っていたように、その都市伝説の行方を追うことに決めた。


信じようと、信じまいと-。

  渡が友と街へ繰り出すと、そこはトカゲの国だった。

 分かってはいても、「人間」以外が人として振る舞う世界にいると、

 渡にとってそれは、不思議の国のアリスも黙るインパクトだった。


  手を繋ぎ歩く親子、スマホのような端末を持つ若者など

 その光景は驚くほど見慣れており、異様であった。

 だが隣で歩くスクアーマの顔を渡が見ると、言葉は介さずとも

 何処か自慢げなのが伺えた。


「そういえば、ここは日本なのか?」

「そうだよ」


  年号も分からないのに、聞いてどうすると思って聞いた回答が

 まさかの即答であったため、彼は驚き、なにもない場所で転びかけた。


「大丈夫? いやそんな驚かなくてもいいじゃんか。

 でも聞くってことはぁ、君もこの国の人なんだしょ?」

「日常で自分の国籍を自覚する機会なんか

 飛行機乗ったあとぐれーだけど……いや、ここ日本なんだな……」


  言われてみると、その喧騒は駅前の大通りに親しい。

 どこまでも親しい風景、違うのは往来の人だけ。

 強いて「それ以外」で違うところを挙げるとすれば

 植物と共生しているきらいが強いというところだ。


  渡の知る都会はコンクリートのジャングルである。

 互いに室外機をぶちまけ、外の温度はべらぼうに熱くなり、

 一方でそれぞれの部屋は自然とは真逆の環境を保つ。

 なおもオフィスに観葉植物を置き、それで自然を

 感じようとする矛盾に満ちたものであった。


  この街は、過ごしやすい湿度と舗装された道はあっても、

 土の匂いが近い穏やかな街だ。


「それで、この街はなんて名前なんだ?」

「あぁ~。僕としたことが、自己紹介の次にすべきはそれだよね普通」


 そう言うと彼は、まるでこの街全てに敬意を払うようにフードを外し、

 遠くを見上げて言った。


「ここは『ニニギの街』だ」

「ニニギ……」


 その言葉に聞き覚えがある彼は、続けてその由来を口にした。


「賑やか、って意味だろう?それ」


 ニッと笑ってスクアーマに向かって答えると、今度は彼が

 何もない場所で転びかけ、それを渡は軽く笑い飛ばした。


「も~~原種くん真面目なのか意地悪なのか分かんないよぉ?

 なんで僕の街の名を知らずに、由来がわかるの?」

「ニニギってのは、この国のド昔の神話の神の名だ。正式には、

 『ニニギノミコト』ってんだけど、そこから転じて、ニニギって

 とこだけが賑々しい、賑やかって言葉になったんだ」

「えぇ……僕の死んだおじいちゃんも、パパも

『この土地は昔から人が大勢いて、自然と交わされる、

 ここは賑やかですねという言葉からそのまま付けられた』

 って教えてくれたんだけど。どうして君は、変なとこ詳しいんだい?」


  スクアーマは当然の疑念を持った顔で彼を見つめた。

 しかし街の名も知らずまま、その真の由来は知る理由を

 彼は今は答えないようにした。彼は顔を背けた。


  おそらく、来るべき相手がいずれやってくる。

 その最初のゲストを迎えた時に彼に話そうと、渡は心に決めた。

  今歩きながら説明できる代物ではないからだ。


「それは……多分近いうちに教えなきゃいけない時が来る。

 そん時実戦を交えて教えてやらぁ」

「実戦……やっぱり君は、僕の街の問題に首を突っ込む気なんだね」


  彼は街の話になると、ふやけた顔から一転、年相応の凛々しい青年の顔に戻る。

 トカゲだから本当に変わっているのかはわからないが。

 少なくとも渡の目にはそう映っていた。


「『自分に関係のないことはない』それが夏樹の口癖だった。

 一宿一飯の恩義ってやつだ。首を突っ込まない理由がないね」


  自分もきっと、夏樹の話や、都市伝説の話をするときは決意に

 満ちた男の顔をしているのだろう。

 守るべきものがある人間は、自然とそういう顔になる。

 自分以外に「何かを護る男」の存在を知った渡は、新たな知見を得た。


  穏やかな太陽と、自転車に乗る女性のトカゲ。

 スーツらしき服に身を包むビジネス調の面持ちのトカゲ。

 ビルから生える看板は全て木造だった。

 フードが外れぬよう、気をつけながら周囲を遊覧していると

「着いたよ」とスクアーマが声をかけた。


  その眼前にそびえるは、10階建ては優に超す巨大な建造物だった。

 まるで旧ソ連時代の遺産を彷彿とさせる、コメントを求められても

 とてもおしゃれですねとは言えない、言葉を濁さざるを得ない外見。

 二本の柱が、円盤に突き刺さっているとしか言いようのないフォルムであり、

 その円盤にはメンガーのスポンジのような規則的な窓が延々と穿たれている。


  それほどの建造物にかかわらず、継ぎ目のない完全な木造であることが

 最大の特徴だった。しかしおそらく木造ではない、

このように「生えて」いるのだろう。少なくともそうとしか彼には思えなかった。

 アーチ状の鉄のゲートが「町立(ちょうりつ)図書の木」の名を指し示していた。


「これが、図書館すか……」

「……何固まってんの渡~。

 流石に図書館は知ってるでしょ~? 君が過去から来たか

 未来から来たかは知らないけどさぁ……」


  壮絶なエキセントリックさを前に、言葉がバグる渡に、

 スクアーマは渡に対しお上りさんという印象を受けた。

 大きな建物をキョロキョロと見回し、上ばかり見ている人は

 十中八九お上りさんだと相場が決まっている。

  彼の知見はそう答えを導いた。鼻息も荒く、引率の先生のような

 態度で、スクアーマは渡を導いた。


「入り口にスタンプラリーのでっかい判子あるけど……」

「いや押さねえよ? もう行くぞおい……」


  動物園や駅といった中程度以上の施設によくある大判の判子は

 3000年後にも伝わっていた。移動する中でそれをちらりと見た渡は、

 自然と笑みがこぼれた。彼らの目的は禁帯出より更に秘匿とされる

 一般未公開所蔵エリア。その閲覧の許しを得るためにも、まず

 スクアーマの叔父に会うこととなった。


  内部はとても樹木とは思えないリノリウムの床が敷き詰められた

 機能的な空間に満ちていた。窓部分にはむき出しのH鋼……の形をした

 外骨格にも似る木の部位がトラス構造を築いている。


  彼曰く叔父は気さくでいい人らしく、館中央の館長室に

 ほとんど住み込みであるらしい。渡は通り過ぎる様々な書架を目で追う。

 おそらく生物であろう館内になぜエレベーターやエスカレーターがあるのかには

 敢えて触れず、「コミック」「マガジン」「小説」「小説2」「小説3」と

 続く取り留めもないものにだけ彼は目線を送った。


「オジキー!! オジキisどこ~!」


  部屋の中につくなり、スクアーマは図書館にあるまじき大声を張り上げた。

 確かに部屋は同心円状のやや広いスペースであり、また彼の叔父の

 プライベートらしきブースも存在する。その中央には漆塗りの社長机が

 佇んでいる。その静けさから察するに主はいないようだった。


「うんち中かな……」

「は?」

「いや、オジキは本を読む空間の研究をしてて、

 その果てにたどり着いたのがトイレなんだよね……。

 書店でうんちしたくなる現象に法則性を見出し、

 理論体系化した学者なんだよ」

「何のロジックなんだよ……」


  スクアーマは至っておふざけの無い態度で話しているので、

 彼もあまり品のないツッコミは避けようと配慮した。

 よもや未来にこんなトボけた連中がいるとは、夏樹も草葉の陰で

 泣いてるだろう。


  しかし彼は草葉の陰でと考え掛けた瞬間、

 言霊の意志を恐れその思考を閉ざした。彼女は最後に探せと言った。

 探せというのだから生きているのだろう。

 そう彼は頭を振って考えをリセットした。


  そうして彼が一人真面目な逡巡を繰り広げていると、

 とうとう遂に「オジキ」がやって来た。


「スーくん分かってるんだから呼ばないでノックしてくれないかなぁ。

 お客さん呼んでるの聞こえてるし、お客さん混乱してるでしょうに」


  現れたのは、彼と瓜二つのやや鱗に艶のないトカゲだった。

 彼は教授っぽい眼鏡とおじさんの概念を固めたような

 ファッションに身を包んでいる。


「いや~悪かったね。甥が妙なところを掻い摘んで説明したせいで、

 ワシのことエンドレスウンコマンって思ってないかい?」

「いや自己紹介でそれはやめましょうよ……。

 お名前より先に無限ウンコ男のイメージ付くじゃないですか」

「それは甥のせいじゃな。まあ、今後ともヨロシク。えーっと……」


 彼はフードを脱いでオジキの目を見て答えた。


「渡です。星之宮渡といいます。

 どうぞお見知りおきを。オジさん」


  スクアーマの想像通り、彼は一歩たじろいだ。

 あの「首が伸びる原種」と同じ種の男が目前にいるのだから、

 当然の反応だった。だが彼は書の主を務める彼は、身を持ち崩さずに

 知的な態度で渡に応えた。


「ふふぅむ。原種の少年かぁ……。よろしく渡クン。

 かつては君らのような「人間」しかヒトでなかったと聞くが

 純血種のヒトは久々に見たなあ……」


  まじまじと渡の顔を見つめるオジキに、

 彼は身じろぎ一つせず静かに佇んだ。

 それは犬同士の挨拶に似る、緊張の瞬間に等しい時間である。


「お宅の非公開蔵書を、見せてもらいに来たんです。

 俺が一体いつの時代にいるのか。あの後どうなって、なぜ

 あなた方……『獣人』がこの世にいるのかを知りたくて」


  獣人という言葉に、オジキは目蓋をピクリとさせる。

 渡は生唾を飲んだ。スクアーマもオジキの一瞬の間に反応し

 そっと様子を伺う。


「その言葉はあまり使わないほうが良いぞお。

 キレるヤツはキレるからな。でもワシ、頭良いから怒らな~い」

「目が笑ってないよオジキ……。

 彼だって言ったすぐヤバイって顔してんだから多めに見てあげてよ」


  薄々渡も感づいていたが、この世界の統治権は既に人の手には無かった。

 彼らこそがこの世界では「人間」であり、スタンダードだった。

 ペットとして様々な犬種が「犬」と認識されたかつての世界でも

 狼は犬とはカウントされづらいように、かつての人間は

 スクアーマが繰り返し渡を「原種」と呼ぶように、明確に区別されていた。


  甥の一言に、こりゃ一本取られたと笑う巨躯のトカゲに彼は

 冷や汗をかいた。渡にとっては冗談では済まされないだから。

 そのメスのような爪で腹を撫でられでもしたらと思うと、

 渡の背筋はゾッとした。わざとらしくおちゃらけた態度を取る

 オジキに、渡は次はないなと思った。


「あ、あ~あ悪い悪い。怖がらせてしまった……。

 そうそう。ワシの名前はリンという。鱗を古くから示す言葉やよ」

「彼は英語ときて、あなたは日本語の音読みなんですね」

「お?君はそういう区別分かるのか!」


  急にリンの顔が輝き出した。その顔は積み木で遊ぶ幼児のような

 純粋に興味があるといった顔だった。彼なら話が通じる。そう渡は確信し、

 またセカンド・コンタクトに彼を紹介したスクアーマに感謝した。


「はい。なんせ過去から来た男ってやつですからね。

 それくらいは子供の知識です」

「あっ、さっき自分が今いつの時代かって言ってた……

 あ~~はいはいはいはい、はハイのハイ……。どーりでねえ」


  事情を察したリンは合点のいった顔つきで、何度もハイハイを

 連呼した。次第にその声はフームという、考えあぐねるようなものに

 変わっていった。その思案の深さは、果たしてよそ者に、

 しかも街を襲う化物と似た種に秘蔵の書を

 見せてもよいのかというものだった。

 2、30秒の間の後、リンは渡に条件を課した。


「まず君が、この街に君が安全であることを示してほしい。

 君が原種を代表し、この街を危機から救うことができる

 ヒーローであることを示すんだ。今、この街は

 君の姿に似たバケモノに襲われている」


  リンは彼に討伐を命じた。リンにとって、それはゴリアテの討伐を

 頼むに等しい無茶振りだった。それを渡が受け入れるとは

 リンはあり得ないと考えていた。


  しかし実際、渡はその道のプロであり、件のバケモノに

 対しての一計を抱えていた。リンはドンと椅子に座り、手元にある

 瞬間湯沸器からカップに湯を注ぎ、渡の返答を待った。


「……任せて下さい。スクアーマ君からチラッと聞いてます。

 そいつの名は『ろくろ首』。首が伸びる『伝承』です。

 あ~~っと……『原種』? の女性の姿が多く、

 亜種に首だけが飛行する種も存在します」


  やはり渡にとって、種族としての自分を強いて表現するのは

 慣れないものだった。しかし郷に入っては郷に従うのが世の常である、

 彼はそう考えると発言を続けた。


「お~~、知っているのか!!」

「そこまでレアな相手じゃないんですよ。リンさん。

 俺の時代には、幼稚園児すら鼻で笑うほどの

 しょうもない『昔話』でした。そして昔話には、

 必ず会った時の攻略がセットで付いてきます。

 たったひとつの冴えたやりかた、ってやつが」


  そう言うと、渡は一網打尽の策を提案した。

 あまりにも単純明快かつ、しょうもない解決方法を。

 話している途中に、幼稚園児って単語が通じるのかと渡は考えたが

「幼稚」の二文字でなんとなく分かってくれるだろうと、そのまま押し通した。

 どうせトカゲに分かるまいと考えて。







「本当に首を突っ込む気だったんだね。

 でも相手はパパの討伐隊でも倒せなかったし、

 僕の能力でも捕らえられなかったんだよ?」

「そらお前よぉ、『本体』倒さなきゃゲームは終わらねえだろうが。

 いくら首追っかけたって、それは事の本質じゃあねえんだ」


  夕暮れの帰路、スクアーマは心配そうに彼に向かって、

「大丈夫か」をあの手この手で聞き返してきた。

  -「胴体を処分し夜明けを待つ」-

 その一手間で、簡単に討伐が可能だというのだから、

 いくら頭で納得出来ても、スクアーマの心は疑問を呈し続けた。


「幸いなのは君のパパさんが、その『本体』を調査済みってことだ。

 この近隣に、原種は何人か住んでるんだな」

「そうだよ。でも彼らは疑われているのもあって、街に来たことはない。

 本当、この辺に原種はいないんだ。珍しいだけで済めばよかったのに、

 まさか怪物だったなんてねー……」


  夕暮れ時の街並みは、斜陽射し込む茜色の世界。

 行き交う人もまた帰宅ラッシュのようだった。

 冴えないトカゲや、コンビニのような施設の入口でたむろする不良トカゲ。

 ゲーセンで正気を失ったかのように決断的連コをキメるオタクのトカゲ。

 だが彼らはトカゲであってトカゲではない。この世界の「人間」なのだ。


「そういやぁよ。スーくん」

「止めてよそれぇ。それパパとかオジキとか、家族しか言わないんだ……。

 外でその呼び方されてるところを見られたら、また笑われちゃうし……。

 で、何なの星くん」

「星くんは止めろ。ネット……まあ動画サイトで

 星くんはウェイウェイうるさいすげえジャンプする宇宙人で

 ネタになってたんだよ。バカにしないでくれ」

「それが君の世界で流行ってた動画なんだ……しょ~もないねぇ」


  くだらない話を続けていくなかで、二人の顔には笑顔が生まれ始めた。

 家の中だけのあだ名を、外で呼ばれるのは確かに恥ずかしいものだし、

 ネットで揶揄される人名と被るあだ名もこっ恥ずかしい。

 互いに違うようで似た共通点を知り、思わず二人は吹き出した。


「ところで何のご質問だったわけ?」

「いや、この世界にはお前ら以外の『人間』はいるのかと思ってな」

「いるよ。沢山ね。大抵毛が生えている奴が多い。

 ライオン、トラ、チーターでしょ。あとサイ、ゴリラ、ゾウ。

 シャチにタカ、クジャク、コンドルと……あとは僕たちトカゲ種」

「おいおい、じゃあアレか? プテラとトリケラとティラノも……」

「それはいないなあ。だってそれは伝説上の生き物でしょ」

「で、伝説ね……。いたんだけどなぁ……」


  とうとうこの未来になると、恐竜はペガサスや麒麟と同じ種に

 落とし込まれていた。本来なら語り継がれるべき太古の息吹は

 ありもしないおとぎ話として愛されていた。


  そしてありもしないおとぎ話が、この街の影となっている。

 だが「ろくろ首」程度の矮小な影なら、懐中電灯ほどの知恵の光明で

 祓えるだろう。そう渡は高を括っていた。


「夜更けに、パパの討伐隊が二手に分かれ、一方が『本体を』

 一方が『首』の処理をする。僕たちはとりあえず待機ってことだね」

「そーいうこと。翌日にはあちこちで超遠隔首なし死体の煮っころがしよぉ」


  彼はスクアーマと共に、高慢なこと限りない高揚感に高ぶっていた。

 ここは異世界ではないが、自分は限りなくチートに近い

 アドバンテージを得ている。でなければ、ろくろ首程度の相手の対処に

 彼らが手こずるはずがない。


  だがそれをおおっぴらにするほど彼は青くはなかった。

 しかし笑いは止まらなかった。


「あっ、そうだ! スクアーマん家って普段何食ってんの?

 未来の飯、食ってみてえなあ~ッ!」

「良いよ! さっきパパから、

 『作戦を教えてくれた友達を紹介してくれ』って来たから!」

「お~いいね!あ、じゃあ待つ間につまむ菓子買って帰らねえ?」


  屈託のない笑みで答えるスクアーマに、渡は最初の頃とはまるで違う

 柄にもない冗談を繰り返した。借り物の知恵を借りたまま使う快感は、

 渡の危機感を鈍らせた。


  リンから聞いた概要だけ聞き、詳しく被害状況を調べなかったツケが、

 明日の明後日の、明々後日の、今後未来世界を生きる

 彼の心を苛むことになるとはゆめゆめ思わなかった。

ろくろ首って、ぶっちゃけ首伸びてる時に、体を叩けば倒せるんですよ。

長いゆえに、一度懐に飛び込まれると脆いんでしょうね。

ワイヤレスの方は、明け方に戻ってくるから、その体をどかす。

そしたら首から血がわんさか出て死ぬそうです。やったぜ。

ところで、実はこいつらの伝承は、南米のチリはマプチェ族に

同樣の伝説が伝わっているんですよ。不思議ですねぇ……。

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