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エル・カダルシアの魔法手帖  作者: ゆうひかんな


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魔法手帖七十二頁 時計(魔物化)と、今後の予定


「それで、どうして急に話ができるようになったの?」

少しだけのんびりしていいかな、とベッドの上でごろごろしながらシロに尋ねる。



「んー?気分?」

…気分屋さんでしたか。

なんでも主様ぬしさまがオリビアさんや私と普通に話しているのを聞いて、『あ、そうか。自分話せるんだっけ!』と思い出したのだそうだ。

気分屋さんで、天然か。

これは飼い主が苦労する…って誰ですか!

飼い主にそっくりだねって言ったのは!

「今更だけど、私あと十ヶ月位で元いた世界に戻る予定だけどそれでもいい?」

「いいよ!エマがいる間はこの世界でのんびりする。」

そう言うとシロはしっぽをパタパタさせて抱っこを要求した。

魔力の補充ですか、ハイハイ。


時計の鳴らす鐘の音が、静かな空間に流れる。

シルヴィ様の部屋には、なんと時計が置かれていた。

グレース曰く、どこかの国からの贈り物ではないかとのことだ。

この部屋は時間を止める魔法が掛かっていたので、時計も一緒に止まっていたらしく、一応グレースがダンジョン内にある時計(魔物化)と時刻を合わせてきたそうだけど。

その時刻に合わせて大丈夫なのかと聞いたら、時計(魔物化)はダンジョンの外の時間とシンクロ出来るそうで、階層の浅いところで手を空に向けうんうん言いながら毎日時刻を修正しているらしい。


…生きてる電波時計みたいなものか。

違う世界の電波を受信しないといいね!

本日は予定通りならアサの八の鐘からお仕事で、今は五の鐘を打ったところ。

そろそろ着替えようかな?朝御飯作らないと。

抱っこしつつシロの毛並みを堪能しながら今後の予定をおさらいする。


今日は丁度一週間の始まり、元いた世界でいうところの月曜日にあたる。

面白いというのか、この世界では月曜日のことを"月の日"、火曜日のことを"火の日"、水曜日は…はい、たぶん想像の通りです。

ただ日曜日に該当する日が"花の日"になっているところがちょっと違うところ。

契約では週に五日働いているうちの三日を書庫の管理、二日を魔法紡ぎとして働く。

ちなみに今日は普通にお仕事をする日。

花の日はお店が元々お休みだから、この日に狩りへ行けるよう、もう一日あるお休みの日にお買い物と紹介所に行こう。

いっそ曜日でその日の予定を決めてしまおうか。

その辺りは雇用主(オリビアさん)と相談しなくては。


「じゃあ、シロ。着替えたらお店に行こうか。」

「うん、行くー。」


顔を洗ったところで、書籍の部屋からグレースが姿を現した。


「おはようございます。お嬢様。洗い物がございましたらこちらへどうぞ。」

「ええと、いいよ?自分で洗うから。下着とかもあるしいいいい!!ぐ、グレース、ガクガクしないで!首絞まってる!首!」

「はっ!今想像を絶するような不愉快な言葉がお嬢様の口から漏れてきたので、正気かと思いましたら手が勝手に!申し訳ございません!」


いや、正気かって?お前がな!?


「今、お前が正気か?と思われましたね!お嬢様!」

「うそ、ドヤ顔します?このタイミングで!?」

ああ、どうしよう…一生わかり合うのが無理かもしれない。

いや待て、これは試練か?

もしかしたら我慢大会かもしれない!

「…じゃあ、この寝間着洗っておいて。下着は自分で洗うから。」

「承知しました。」

淑やかに微笑んで頭を下げる姿勢は惚れ惚れするほど綺麗だけど。


「それで、お嬢様。ダンジョン内に洗濯物を乾かす場所がないので、天井ぶち抜いてもいいですか?」

「やったら即解雇ね。」

本当に大丈夫だろうか。

とはいえ、確かにこういう環境だと洗濯機や乾燥機は必要だよね。

魔道具にした方が使い勝手がいいのかな?

うん、女子会の時にサナへ相談してみよう。

一先ず収納から魔紋様を転記した紙を束の状態で出してグレースに渡す。

洗濯用に洗浄と乾燥の魔紋様。

お湯を沸かしたいかもしれないから電気コンロをイメージした重ね紡ぎの魔紋様も。

使い方を簡単に説明しておく。


ついでに湯沸かし用ポットと、カップを二つ。

それから綺麗な布を一枚と、ふきんになるような古い布を二枚。

一応侍女を名乗るだけに、こういう仕事には拘りがありそうだからね。


案の定、グレースの顔がぱっと輝く。


「重ね紡ぎの方はあまり長い間熱を持つと火事になるから気を付けて。あと洗浄の方は汚れを落とす時に水撥ねするから使う場所に注意して。量が少ないなら洗面所の器に入れてから魔力を流す方がいいかも。」

「心得ました。」

うれしそうな顔で魔紋様の束を抱える。

うん、素敵な笑顔だ。

着替えが終っところで、グレースに扉の手前まで転移してもらう。


「いってらっしゃいませ。」

優雅に腰を折るグレースに見送られながら扉を開けお店の中に入る。



「シロ、ここからは犬のふりしててね。」

「わふ!」

廊下を歩いていると向こうからオリビアさんが歩いてくる。


「オリビアさん!もう大丈夫なんですか?」

「あら、おはようエマさん。ええ、もう問題ないそうよ。エマさんも今朝はゆっくり起きてきたようね。」

「へ?」

「もうすぐアサの八の鐘が鳴るところよ。」

「!」

やっぱりか!

どこの世界の電波を受信した!?

あの魔物、物理攻撃なしで私のライフを削る作戦か、姑息なっ!!

昨日色々あったからと、気を使ってくださったオリビアさん。

朝ごはんのためと、一時間お休みを頂きました。

申し訳ございません…。

特急で朝食の準備を整え、ついでに何品か夕食やストックの仕込みを行う。

「オリビアさん、朝食の準備しましたけど食欲あります?」

「ありがとうエマさん。是非いただくわ。」

今朝は簡単にパンと、とうもろこしのクリームスープ。

鶏肉でストック用にミートボールを作りましたのでスープにはそれも入れてあります。

好みで付け合わせの茹で野菜に私特製のドレッシングを掛けてください!


うふふ、とうとう手に入れたんですよ!


少量ですが胡椒と唐辛子など各種香辛料!

ちょっと高かったのですが奮発しました。

ゲイルさんに持ってもらっていた、あの荷物の中に入っていたんですよ!

今回イタリアンドレッシングは作れたので今度は胡麻を手に入れたい。

胡麻ドレッシングも作りたいのです!

オリビアさんと朝食を食べながら、食費についてお話ししました。

お店での食事については冷蔵庫に定期的に食材を足しておくからそれを使っていい、というありがたいお申し出を頂きましたよ!

それにサリィちゃん達と出掛けた時に足りない食材は買い足してもいいと言われました。

これならお店で作る食事についての買い出しは心配要らないな。

「カロンも明日から朝食と夕食に来るそうだから一緒に作ってもらってもいいかしら?」

「わかりました!賑やかな食事の時間になりそうですね!」

そういえば、皆さんの好き嫌い聞いてなかったな。

お肉と乳製品は皆大丈夫。

野菜は多少好き嫌いがあるみたいだけど、生でなければ食べられるようだ、と。


「おはようございますー!」

玄関からリィナちゃんの声がした。

おお、もう朝の九の鐘が鳴るところか。

お仕事、お仕事。

「おはよう、リィナちゃん!サリィちゃんは?」

「今日サリィはお休みです。金の日は私がお休みですよ。」

そうです。お店の定休が花の日だからそれ以外にシフトを組んでお休みしています。

そういえば次のお休みどうしたらいいのかな?

「エマさんの次のお休みは、お仕事の後に話し合いましょうか。」

ありがとうございます。そうしていただけると助かりますね!


オリビアさんから本日の課題である魔紋様まもんようを渡される。

本日は治癒の魔紋様まもんようです。

「治癒の程度に分けた三段階の魔紋様まもんようを紡いでもらうから。」

「何枚くらい必要ですか?」

「効果の低いものは何枚でもいいわ。

一番上のランクのものは五枚ね。これはご指名なの。」

おお、とうとうご指名が入りましたか!


本日の作業部屋は一番奥のお部屋です。

それでは行ってきます!










短めです。

次は魔法紡ぎ作業編。

お仕事頑張りますよ!

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