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魔法手帖六頁 双星と、魔法紡ぎの女王

エマが眠りについた頃。


村の入り口にある一軒家に男が二人やってきた。

そのうち一人が、扉のノッカーに手をかけながら溜息をつく。

「あの二人に呼ばれるなんて、はっきり言って厄介事の気配しかしないんだが。』

白金の髪に端正な顔をした壮年の男がぼやくと、それを受けたもう一人の男が軽く吹き出して言った。

「そうだね〜。どういう星回りか、あの二人が厄介事を呼び寄せてるとしか思えないもんねぇ。」

もう一人の男の明るい金色の髪がさらりと流れ、愛嬌のある目元が露わになるが、何かに思い当たると途端にきゅっと細められる。

「…それとも、まだまだ未熟な若い二人組に目が向くよう誰かが仕掛けているか。まぁどっちでもいいかな?面白くなりそうだし〜。」

ニンマリと口角が上がり、えらく楽しそうな声で物騒なことを言ったところで、やっと内側から扉が開く。

「ゲイルさん。お待たせしました。」

ルイスが二人を中に入れるよう扉を大きく開ける。そして後から入ってきた明るい金色の髪の男の方へ声をかける。

「お久しぶりですね、ディノルゾ所長。カロンは今、食堂でお茶の準備をしてますよ。」

「ディノでいいって。呼びにくいでしょ〜名前。しかも、カロンが殊勝にお茶の準備なんて、どんな厄介事拾ってきたんだい?」

からりと笑うとディノルゾは食堂を目指して歩く。

食堂では、ゲイルがカロンの入れたお茶を飲みながら、軽食をつまんでいる。

「なかなか料理の腕上げたじゃないか、カロン。で、話ってのは何だ?」

せっかちだねぇ、そういう男はモテナイょ、というディノルゾの台詞をサクッと無視してゲイルが促す。それに対しカロンは、ディノルゾに控えめな声で話しかけた。

「その前に、所長、例のアレお願いします。1番頑丈なやつ。」

「…ふうん。ま、いいけど。」

そういうと、ディノルゾはポケットから小さな青い石を取り出し、魔素を注ぎこむ。

結構な量の魔素を吸収したところで光りだした青い石をテーブルの上に置くと、石に刻まれた魔紋様まもんようがテーブルに広がる。その様は、網目の細かいテーブルクロスを広げたようだ。

ちなみにこの魔紋様まもんようは他者からの透視盗聴を防ぐだけでなく、『現在の状況に上書きして虚構の音声や映像を写す』ことが出来る。

つまり、どれだけ真剣な顔で重要な話をしても、傍からは『楽しく酒を飲み、くだらないことを話している』ようにしか見えない。デメリットは、発動するまでに必要な魔素の量と石の光が届く範囲までしか効果がないということ。

「…流石だな、これがの作品か。」

ゲイルは光となってテーブルに投影された魔紋様まもんようを見つめる。

「そう、いわく『ガチガチに隠すから怪しまれる』だそうでね〜。わざと上からニセの映像を流すなんて、相当の技術と発想がないと無理だねぇ。」

まぁ、あれは絶対自分が昼寝する時に誤魔化すために使われるだろうねぇ〜と言ったディノはカロンに目を向ける。

ひとつ頷き立ち上がると、ルイスとカロンは居住まいを正し、胸に片手を置く。


「「双星に申し上げる。」」


その言葉に、ゲイルとディノルゾは目を見張る。


「まさか…」


「起点の紋様は『アリアの花冠』でした。」

ルイスはひとつ頷くと言った。

「此度の異世界人は『魔法紡ぎの女王』である可能性があります。」



イケメン出したいと念じていたら、イケメンが出てきそうな予感が(笑)

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