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エル・カダルシアの魔法手帖  作者: ゆうひかんな


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魔法手帖二十七頁 地下迷宮ダンジョン『女王の大書庫』と、ステータス(その2)

二人がダンジョンに潜ったのは一ヶ月程前。

一週目、二週目は無事に調査を終え戻ってきたのだが、三週目。


二人は戻って来なかった。


彼らは戻る度に報告を上げ、食料を一週間分持ち再び潜ることを繰り返していた。

戦闘についても実力のある二人だから、多少の誤差で帰還が遅れたとしても二三日以内には戻ると思われていたが。


四週目になっても彼らは戻らなかった。


「なんの騒ぎなの?」

双子の悲鳴にも似た叫び声を聞いて、オリビアさんが店から飛び出してきた。

ロイトか、もしくはゲルターの組織から派遣されてきたと思われる男性がオリビアさんに気付き話しかける。


二、三言言葉を交わして、サッと顔色を変えたオリビアさんは、双子に指示を飛ばす。

「サリィ、私と一緒に『銀貨の部屋』へ。鍵を開けておいて。リィナはエマさんと閉店の準備を。しばらくは臨時休業よ。店頭の片づけが終わり次第、『銀貨の部屋』にきて。エマさんはしばらく部屋で待機。いいわね?」


「「「はい!」」」


オリビアさんはそのまま男性と話しながら店の中に戻っていく。

それを横目で見ながら、リィナちゃんに話しかける。


「前に聞いたんだけど、ダンジョンって王都にあるのよね?」

「そう。王城より少し離れた場所に地下迷宮(ダンジョン)『女王の大書庫』と呼ばれる場所があるんです。珍しい書庫型のダンジョンで、書物を魔物が守っているそうなんです。ただ、学者さんとかはどうしても読みたい書籍がある場合、国の許可を得てから冒険者を雇って潜ったりするそうですよ。」

だけど、未だ踏破されていないから十五層より下の生態は謎のままらしい、そう早口に説明したあと、リィナちゃんはお店の奥へと走っていった。


「…大丈夫かな?ディノさんとゲイルさん。」

自分の部屋へ戻る廊下を歩きながら呟く。

何もすることなく待つのは辛いと思うけれども、今回の件で自分に出来る事など何もない。

部屋の扉をあけて目の前のベットに横になる。

ふと、思い出して手に魔素を貯めるイメージで力を集中させた。

赤い表紙の魔法手帖が現れる。


ありがたいことに、私は割と器用なタイプのようで、かつて大量の魔素を集めるためにダダ漏れになっていた『魔法紡ぎ』の作業を部屋でこっそり出来るようになっていた。


つまりゲイルさんやルイスさんが扉を蹴破ることはもうない、ということ。

思い浮かぶゲイルさんの姿に再び落ち込む。


おっと、いけない。

今はやれることをやろう。

この店にきて最低限のコントロールを覚えてから、毎日オリジナルの魔紋様まもんようを一つ二つ紡いで、魔力を空にしてから寝るようにしている。

なんとなく、そうするほうが次の日の『魔法紡ぎ』の効率が上がっているような気がするので。


「ステータスオープン」


ーーー

エマ / Age17

HP:4726/5270

MP:8753/9965

攻撃:1(+)

防御:1(+)

魔法攻撃:1(+)

魔法防御:38(+)

〈戦闘スキル〉

神聖魔法:Lv.1 / 火魔法:Lv.1 / 風魔法:Lv.1 / 水魔法:Lv.1 

/ 土魔法:Lv.1 / 闇魔法:Lv.1

〈生活・生産スキル〉

魔法紡ぎ:Lv.MAX / 料理:Lv.4 / 掃除:Lv.4

〈固有スキル〉

完全防御 / 空間魔法(収納)/ 全言語翻訳・全言語通話(一部解放) 

/ 全能力向上:Lv.1 / チャンス到来:Lv2 / 魔法手帖:Lv.2 /


ーーー


おお、魔法手帖がLv2になってる。 

戦闘スキル、伸びてないな〜。まあ、自分が戦えるとは思ってないが。

でも、万が一のために、戦闘用の魔紋様まもんよう紡いでありますよ!

用意周到と書いて『しんぱいしょう』と読む。




さて、今日は何を作ろうか。








今回、ちょっと短めです。

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