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エル・カダルシアの魔法手帖  作者: ゆうひかんな


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150/187

回想 とある喜劇と精霊達の舞台裏

今回は視点が変わります。


魔素を吸収し、淀みなく紋様へと注いだ。

たちまち彼女は掻き消すように姿を消す。

それを確認してから大精霊は精霊達を促し精霊界へと戻る。

そしてソルへと繋がる精霊の入り口へ錠をかけた。


『いたずらする子がいると困るからね。』

『あら、何をいたずらするのかしら?』

水の大精霊は背後に立つ声の主に思い至ると一つため息をついた。

力の強い精霊の背後へ悟られぬよう立つなどという芸当が出来るものはそういない。


『貴女も手出ししないでくださいね、風の。』

『何をしてはならないのか、教えていただけないとお約束できませんわ?水の大精霊様。』

にこりと笑いながら首を傾げる彼女。

属性の影響か、彼女の眷属は皆頭の回転が早く、口が達者だ。

しかもそのせいで軽率な行動をとる者が多い。

面倒でも釘は刺しておかないといけないか。

すでにご存知のとおり(・・・・・・・・)、我々は魔法紡ぎと約定を交わしました。

ソルの安寧を守る代わりに、力を貸すと。』

『あら、気づいていらしたの?』

『隠れて観察するなど趣味が良くないですね。』

『ふふ、失礼しました。』

『とにかく時期がくるまでソルには手出ししないで欲しいのです。』

『約束ですもの、仕方ないですわね。』

彼女は指先でトントンと口元を軽く叩く。

人間界に滞在する時間が長いせいか、彼女は時折人間じみた行動を見せるときがある。

それが"癖"と呼ばれる類のものだと教えられたのはいつのことか。

『座って話しましょうか。』

彼女が古語を唱え軽く腕を振れば椅子とテーブルが姿を現す。

記憶から創り出された物はちゃんと固さも重さもあり、実際に座る事もできる。

彼女曰く、人間は"落ち着いて"話したいときには、"座って話す"習慣があるらしい。

立って話そうが座って話そうが結論は変わらないだろうに。

人間とは不思議なこだわりを持つ生き物だとつくづく思う。


『私の情報だと間もなく事態が動きそうなの。聖国は王国へと戦を仕掛ける準備を整えつつあるし、他国も聖国へと同調する動きがある。帝国が様子見なのは意外だけどそれ以外はおおよそ予想どおり。この不利な状況を王国はどう覆すのかしら?それともこのまま流されるように儚く消えるか。本当に楽しみね!!』

がらりと口調を変え彼女は興奮気味に話す。

彼女は万物が変化し、変動し続けることを望む。

それは安定を好み、変化を嫌う精霊界には存在しにくいもの。

そして良くも悪くも変化をもたらしてくれるものが大好きな彼女や彼女の眷属が人間界という不安定な場所をこよなく愛する由縁だ。

『安心して、水の。確かに風の眷属は突っ走る悪い癖があるけれど、その先に好奇心を十分に満たしてくれる結果が待っているのなら、待て(・・)のできる種でもあるのよ。そのためにも目一杯皆の好奇心を煽っておくから。』

『なんででしょうか、不安しかないのですが?』

『心外ね。大丈夫よって伝えたかったのに。』

『余計な言葉が多いから主旨が伝わらないのだ。』

『あら、いたの?目立たないからいないと思ってたわ。』

『…。』

『風の、いくらなんでも言い過ぎ。

土のが凹んで引き籠るのを、なだめて、やる気にさせるの大変なんだからね!!』

『ごめんなさい、目立たないは冗談よ。そんな岩みたいな容姿、目につかない訳ないじゃない。』

木の大精霊の苦言を気にする素振りも見せず、風の大精霊は可笑しそうに笑う。

岩のようなという形容詞が更にダメージを与えていることに彼女は全く気づいていない。

無邪気で、自己中心的。

最も精霊らしい質を持つのが彼女達、風の精霊とその眷属だ。


『そういえば、彼はどうしたの?』

『さあ?どうしたのでしょうね。恐らくイタズラがバレてお留守番といったところではないですか?』

『有り得るわね。それにしても彼が望んで主に尽くすとは思わなかったわ。』

『全くです。』

主語はなくとも話が通じてしまう。

いないのに、この場にいるような気がしてしまうのは圧倒的な彼の存在感故だろう。

『いいの?皆に彼女へ手を出さないよう皆に伝える約束をしたのでしょう?』

『確かに手を出すな、とは言われましたけど"協力するな"とは言われていませんでしたからね。それに彼女も工夫しながら魔紋様まもんようを紡いでいましたが、魔紋様まもんようは効果が限定的です。属性魔法のように曖昧な範囲に副産物のような効果をもたらすことは難しい。そういう意味では我々の協力で満足のいく効果を得られて彼女も助かった部分もあるでしょうから、彼も駄目とは言わないでしょう。』

例えば撹拌という作業。

彼女が紡いだ魔紋様まもんようなら確かにそれに近いことはできる。

ただし、効果の及ぼす範囲は平面で均一、いわゆる限定的だ。

それを土の大精霊が眷属を使い撹拌すると、眷属の判断で"大量の土を混ぜる必要がある"箇所と"そうでない"箇所の判別がつくから、結果的には効果が高く効率がいい。

人の子はまだまだ成長途中なのだ。

そのことに気が付いて改良を加えるまでには、まだまだ時間がかかるだろう。

人の子とは、かくも未熟で愚かではあるが愛すべき隣人でもある。

水の大精霊が、くすりと笑いを零す。


『それにね、我々が協力したのはソルを訪れた"魔法紡ぎ"殿ですよ。

偶然遭遇しただけだし名前も聞いていないから、どこの誰かなんて知りません。』

『そんな子供騙しのような言い訳、通用するの?』

『子供騙しも何もそれが事実ですから。』

彼女の名前も聞いていないし、特別な呼び名すら呼んではいない。

徹頭徹尾、魔法紡ぎを生業とする人物と交流しただけだ。

『姑息と呼ばれようとも互いにとって不利にならないのならそれで構わないとは思いませんか?』

『貴方って、本当に…。』

『なんでしょうか?』

『人間くさい考え方をするわよね。だから精霊と人間の間を取り持つことができたのでしょうけど。』

『そうですね。ずいぶんと助けたし、助けられました。…もうだいぶ昔の話ですが。』

今回の件だって、"精霊の隣人"たる彼らが動いていてくれたなら、ここまでひどい状況にはならなかっただろう。彼らは精霊界と繋がる特別な血をもっていると言われ、我々の営みに干渉する権利があるとされている。

彼らは人間界の情報をもたらし精霊のために持てる権力を振るう。

代わりに精霊は彼らに協力し、その求めに応じ力を貸す。

かつては確かに良き隣人であったのだ。


その血は彼にも流れている。

自身とよく似た容姿を持つ彼を思い出す。

銀色の髪、光の加減で青とも銀とも見える蠱惑的な瞳。

精霊から見ても美しいと呼べる容姿を持つ彼を手に入れたいと願う者がいても仕方がないとは思う。

だからといって、手を出していい訳ではないというのに。

『あの双子、まだ捕まりませんか?』

『ソルに潜んでいたところまでは追いかけたのだけど、また気配を偽ったようなのよね。たぶんあのレベルまで上達すると私や大精霊クラスの者でないと気付けないかも知れないわ。』

『無駄に能力が高いだけに厄介ですね。』 


『"厄災の双子"か。』


今まで黙って聞いていた土の大精霊が声を発した。

『まさか自分の欲を満たすために、奴らを野放しにしているとは言わぬよな?風の。』

『バカ言わないでよ!!風の眷属は人を貶めてまで世界の流れを変えようとするほど愚かではないわ。確証はなくとも、あのバカ共の痕跡を追えば必ずといっていいほど、翻弄され、何かを失った人が残されている。それは彼らが何らかの手を出して場を荒らしたという何よりの証。それを野放しにしておくなんて精霊にとっても危険しかないわ。その程度の思慮も働かないと思われるのは心外ね!!』

風の大精霊は彼の厳しい視線を跳ね返し、語気を荒げる。

疑いたくなる気持ちも理解はできるが、それはないだろう。

とりなすように水の大精霊は言葉を紡ぐ。


『彼らは確かに風の力の特性を受け継いではいるが、その能力は風の眷属の中でも異質です。しかも彼女や我々の忠告にも従わない状況にあるのに、彼らをコントロールできるとは思えない。暴走する者に力を貸すのはリスクしかないことなんて皆もわかっているでしょう?だから風のも危険を承知して人間界に留まり彼らを捜索しているのではないですか。それに彼らの全ての能力を把握していない状況下で広い人間界での捜索を彼女に一任している。そのせいで捜索が捗らないのも致し方ないとは思いませんか?』

『だからといって今回のようなことが再び起こったらどうする気だ?今回はたまたま協力してくれる人物がいたから上手く行ったが…。』

『そうよ!!王国には彼女がいるじゃない!!』

『『『は?』』』

『鈍いわね、彼らが彼女に接触しないわけがないでしょ!!この際、協力して貰いましょう!!』

瞳を輝かせ風の大精霊は勢いよく立ち上がる。 


『で、ですが手は出さないと約束…。』

『対価を払って協力してもらうのよ、それのどこがいけないわけ?』

『いや、でも光のは』

『ちょうどよかったわ。光のから情報提供を求められていたのよ。お土産何持っていこうかしら?相手は女の子ですもの。貴重な食材に美味しいお菓子、キレイな装飾品といったところかしら?腕のみせどころね!!』

嬉しそうにお土産を見繕いながら、軽く手を振り、まさに風のように姿を消した。

風の大精霊なのだ、当然のことといえばそうなのだが。


『…全く我々の話を聞いていないな。』

『いつものことじゃない。今回の後始末は誰がするの?』

唖然とした表情を見せる土の大精霊に、呆れた表情を隠さない木の大精霊の台詞が続く。

やがて彼らの視線が水の大精霊へと集まった。

視線を受けて彼は深くため息をついた。

『ほどほどの騒ぎで済むことを祈りましょうか。』

『風の属性を持つだけに、彼女見境なく煽るからね。炎上させないといいけど。』

『やめてください、縁起でもない。』

今回は光の大精霊も関わっている。

やんちゃしすぎて白く塗りつぶされてはかなわない。

残された三人は揃ってため息をついた。



ーーーーー


時間は遡る。

ちょうど土の大精霊がエマに眷属を引き合わせた頃、ダンジョンにある三十階層では。


額を寄せ合い、ぼんやりと光る珠を覗く白と黒の毛玉。

やがて顔を上げると白い毛玉は凄惨な笑みを浮かべた。


「…殲滅し」

『だから何度も言っておるだろうが!!そう簡単に種を滅ぼすのではない!!』

「だってエマ、顔緩んでるんだよ?!アレは彼女が我だけに見せる貴重な瞬間だというのに。」

恨めしそうな視線を彼女に向け、短い足で珠の表面を叩く。


「と、届かない。」

『当たり前だろうが。空間を繋いで映像を映しているとはいえ直接体を移動させる類のものではない。それができるなら転移の術など不要ではないか。』

「でもこんなに近くに見えるのに、エマが遠い…。」

しゅんとうなだれた白い毛玉の肩を、黒く短い脚が軽く叩く。

『仕方なかろう。元々はぬしが後ろ暗いことを画策するからだろうに。グレースも申していただろう?どうせバレるからやめておけと。あの馬鹿侍女にしては気の利いた助言であったと思うぞ?』

「でもエマなら我を選んでくれるかな、って思って。だって彼女ってば我が拗ねたりするとね、『大好きよ』って言って、ぎゅーとかしてくれるんだよ?なんかこう、すっごく可愛くない?」

毛の隙間で、うっとりとした表情を見せる白い毛玉。

それを見ても、黒い毛玉は醒めた視線を向ける。


『そんなの、誰でもしてもらえるわ。』

「ふーん。なら闇のはしてもらえるの?オリビちゃんに。」

『…誰が教えるか。』

「してもらったことないから嫉妬してるんでしょ?我とエマが育む深い愛情に!!」

『我だってオリビアが柔らかい膝の上に座らせてくれた上に、丁寧に毛づくろいしてくれるのだぞ?エマのように櫛ではなく、素手で一本ずつな。それこそ深い愛情を感じるだろう?』

ふふん、とドヤ顔をする黒い毛玉。

白い毛玉は、ぐっと言葉に詰まったものの、若干声のトーンを上げつつ言った。


「でもでも!お風呂にまで入れてくれるのはエマだけだよ!!」

『我々精霊はそもそも汚れることがないだろうが。』

「でも、お風呂って気持ちいいでしょ?」

『ぐっ。ま、それはそうだが。』

「我のために甲斐甲斐しく湯船の用意をしてくれる姿は本当に可愛いいんだから!!だからこの世界で一番優しくて可愛いのはエマに決まりだね!!」

『そんなことはないぞ!!オリビアなんて教養も品もあり、それに美しくも愛らしい。彼女が一番に決まっておるだろうが!!』

「そんなことないもん!!」

『そんなことあるわっ!!』


その瞬間に。

三十階層の扉がズバンと音を立てて開いた。

大人の男性が数人がかりでやっと開くはずの扉を軽々と開けて現れたのは…妖艶な美女。


「…ぬ〜し〜さま〜?一体今、何時だと思ってらっしゃいますの〜?」


オリビアだった。

寝間着の上に薄い上着を羽織っただけの格好で髪を振り乱し、息を荒げている。

すでに妖艶を通り越し…妖怪だった。


『お、お、お、おりびあ?』

「オリビちゃん、落ち着いて、ね?」

「やっとお仕事が終わって、しかも寝かかったところだったのです。各階から主様と光の大精霊様が言い争う声が聞こえると応援要請がありましたの。それで慌てて駆けつけてみれば超絶お元気なご様子。」

彼女が先程まで覗いていた珠を指差す。


『こ、これには事情があってな。』

「ああ、お仕事が足りなくて暇だとおっしゃるのなら、これとこれ、それからこれもお願いします…当然今夜のうちに仕上げてくださいね。」

『お、おう?』

「では失礼します。…これ以上睡眠を邪魔するようなら、お仕置き、ですわよ?」

髪の隙間からニタリと笑った口元だけが見える。

再び扉を荒く閉め、彼女は帰って行った。

沈黙が場を支配する。


「じゃ、闇の、そういうことで!」

『そうもこうもないわ!!主のせいで怒られただろうが!!』

「えー。だって闇のが声を荒げるから。」

『初めに音量を上げたのは主ではないか!!そういうわけで、これは主のぶんな。』

紙の束が選り分けられ、目の前に積まれる。

「えっと、これ何?」

『伝票と呼ばれるものだ。』

「でんぴょう?何するもの?」

『この紙がオリビアの店の収支を管理する元になるものだ。いいか、これが店の売上、何がいくつ売れていくらの売上になったのかがわかる伝票、それからこちらは商家から仕入れた材料や部品等の伝票だ。これらをまずは日付順に選り分けて、更にその中で同じ相手に売った伝票があったら纏めておいてくれ。それを基にして作業を進める。』

「えっと、作業?」

『オリビアの店の売上台帳をつけるという作業だ。』

黒い毛玉が背後にある紐を引くと、ざっとカーテンが開き、同じ装丁の綴りがずらりと並ぶ。背表紙には番号が記されており、そこから推察するに、ずいぶんと長期に渡り保管されているもののようだ。


『十代くらい前の管理者が商売に適正のない人物でな、店が傾きかけた。さすがに店がなくなると困るからと手を貸したら、いつの間にかこういうものの管理を任されるようになった。』

「…我が知らない間に、こんな事になってたのね。」

『だがダンジョンのあるじは皆、こういう作業をしていると聞いたぞ?』

「それ、誰からの情報?」

『何代か前の管理者からだ。』

白い毛玉は慄いた。

すっかり騙されてる。


『これはこれで楽しいぞ?きっちりと収支の金額が合った瞬間は快感だ。』

「…楽しいの?そう、ならいいけど。」

『もちろん楽しい事ばかりではない。時折国からこういうものの取扱に長けた人物が派遣されて、細かい誤りを指摘される時があってな、過去に遡って訂正なんてこともあるから、そういう時は籠もりきりで作業することもある。まあ、魔素は吸収できるから苦はないがな。』

「えと、オリビちゃんはなんて?」

『信じて応援してくれるぞ!健気だとは思わんか?それにあの娘は賢いからな、ちゃんと収入と支出の伝票を分けて渡してくれるんだ。しかもな、きちんと日付順、仕入先を纏めて渡してくれるときもあるぞ。優しいではないか。』

「いやいやいや、って、ええっ!!本気?」

『ふふん、知らなかっただろう。あの娘は本当に素晴らしいんだぞ。』

人化し、自慢げに微笑んだあと、長い髪を一つに纏めてから机の前に座る。

やる気に満ち溢れているじゃないか。

今は何を言っても無駄だろう。

仕方なしに白い毛玉も人化すると机の向かいに座り伝票を整理する。

暫しの間、無言のまま作業は進む。


『二十七階層の件、エマにいつ伝えるつもりだ?』

「うん、まだ迷ってる。」

『ダンジョンのあるじとしては速やかに解決して欲しい気持ちはあるが、な。』

「誰も助けられないからね、彼女一人で模索することになる。」

『しかも答えがあるかもわからないなんて、どう説明すべきか。』

「でも、彼女は可能性が低くとも、解決策を欲するだろうし。」

二人揃ってため息をつく。


「ありのままを話してみるよ。他の誰でもない、彼女の手に選択肢があるのだから。」

『彼女は…初代女王は今回の件を踏まえてアレを後世に託したと思うか?』

「さあね。彼女の事を一番よく知っている君がわからないんだ、我にわかるわけがないだろう。だけどね、エマの事はよくわかるよ。それが自分の利となるなら彼女はあの手帖を必ず自分の物にする。」

『良くも悪くもか。』

「今のところ、いい方に傾いているのだからその点は大目に見てあげて!!この国が、この世界が彼女の良き隣人であろうとするならば、きっと彼女はいい子のままだろうから。」

『まあ、引き継いだのは我だからな。その点は我にも責任がある。道を誤らぬように注視しておこう。』

「それにしても未来に干渉するってどんな気持ちなのかな?それこそ神になれたような気がするかも。」

『全く。不謹慎だぞ、軽々しく神を語るなど。』

だが、そうも思えるほどの力を有するのも事実。

強大な力に傲れば我が身を滅ぼす。

それでも彼女なら使いこなせると思えるのはやはり女王の後継者だからだろうか。


金の髪を揺らし、視線の先を珠に向ける。

魔力を使い果たしたそれは、今はただの硝子の珠ではあるが、先程までは彼の主の姿を映し出していた。地味な容姿の裏に、強かさを兼ね備え、魔法紡ぎとして規格外の恩恵を与えられた彼女。


ねえ、エマ。

この世界が強くあろうとする君を忌み嫌うというのなら…。

やはり君は我のものであることを選ぶべきだと思うよ、愛おしい人。



「さて、まずは彼女に所有者になってもらわないと。

名もなき賢者(エル・カダルシア)の力を、彼女のものとするために。」





飼い主自慢の回でした。

お楽しみいただけると嬉しいです

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