服従しますか?
コツコツコツコツ
夕暮れの校舎って綺麗だよね。オレンジ色の光がまっすぐ入ってきて、その色見て、1日終わったんだ、明日も頑張ろう、って思える。しかも、私以外誰もいないような雰囲気がある。叫びたくなってしまう。ここが、あの土手だったら叫んじゃうのかも。あ、あの土手、久しぶりに寄ってみようかな。
そう思って、小走りで4-Bまで目指していた時。
男A)「おいおい、それはねーだろー。話が違うじゃん?」
新)「やめろよ!俺はできないって言ってるだろ!お前らとは違うんだ、遊びじゃねえんだよ!いい加減にしろよ。」
男B)「転校生くん、生意気でちゅねえ。武内さんにそんな口聞いていいと思ってんのか?」
え、今新山の声したよね?しかも、武内さん?あの武内君でしょ?まさか、私のせいで新山がいじめられるの?それだけはだめだ。私が守らないと。あの時助けてくれたのは新山。これは恩を返す機会じゃない?今すぐ行かないと。新山がいじめられてしまう。不登校になってしまう。大渕君みたいに辞めさせられてしまう。それだけは嫌だよ。せっかく来てくれたんだよ、もっと色んな話したいよ。一緒にたくさん笑って泣いて、いつかは告白しようと思ってるのに…
そう思っているのに、足が動かない。地面に足が張り付いている。気持ちは焦ってばかりで、でも身体は動かなくて。どうしようどうしよう、また私のせいで誰かが傷付いてしまう。もう大渕君みたいな子は出させない、って決めたのに…
武)「おやおや、盗み聞きはだめだよ、お嬢ちゃん。」
高)「た、武内君…」
武)「何の用かな?僕にそろそろ服従するって言いに来たの?君はやっぱり弱いねえ。だから大渕君も守れなかったんだよ。」
高)「あんたになんか、一生服従しない!私は、別に何の用もないわ。ただ教室に急いで向かってただけよ。」
武)「あーあ、嘘はいけないよお嬢ちゃん。急いでる途中に、愛しの新山君の声が聞こえたから立ち止まって聞いてたんだろ?誰かに助けを求めようとしていたの?ばかだねえ君は。」
高)「なんで私が新山のことを好きじゃないといけないのよ!ただ、昔一緒にいたから、どうしてあなたと話しているのか、気になったから立ち止まっただけよ!何か問題でも?」
武)「僕は君のそういうところが好きだよ。本当に何も変わってないねえ。本当だったら、君も新山と同じようにいじめるところだけど、君は特別だ。さあ、今服従すれば、新山君を解放してあげるよ?どうする?」
高)「するわけないでしょ。新山は、私が守る。もう2度と、あなたの思い通りにはさせない。」
武)「交渉決裂だね。まあ、君らしい返事だねえ。そう言うなら、こちらにも考えはあるよ。今回はいつまで持つかなあ。前みたいに、大口叩いといてすぐに降参とかやめてくれよな、面白くねえし。さ、お前ら帰るぞ。」
やってしまった。新山の前で言ってしまった。どんな顔してるのかな、もう嫌だよ。でも、武内君がやることなんて大体分かってる。その対処法も、3年間の間にたくさん学んだ。ただそれは、自分は守れても新山は守れない方法。自分だけ助かる結末なんて、もう2度と見たくない。結局あんな風に大口叩いても、心の中のあの傷は癒えてない。むしろこころはあの日からずっと止まっている。あのセリフが、あの声が、あの顔が忘れられない。
大)「結局、高咲さんも、武内君と同じなんだね。」
タケウチクンニハモウハムカイマセン。ーーー約束させられるんだよ
コウサンシマス。フクジュウシマス。ーーー2回目だから
アナタノスキナヨウニシテクダサイ。ーーーきっと、私が私じゃなくなる、あの頃に戻される
目の前が暗くなった。
泡姫です!当分、胸キュンというより、ダークな部分が続きます…瑠璃の過去もどんどん出していくつもりです!あと、基本は瑠璃目線で話は進みます。瑠璃は過去のトラウマがたくさんあり、思い出そうとすると気を失います。瑠璃は弱い女子です。(笑)最近セリフ続きが多くて、読みにくい部分があるとは思いますが、何卒よろしくお願いします。