記憶の鍵は保健室に
あの日から、新山は何かある度に話しかけてくる。次の時間割とか、移動教室の持ち物とか、宿題とか。黒板見たら書いてあるし、新山にも友達ができ始めたくらいなのに、それでも私ばかりに話しかけてくる。おかげで、真由や美音と全然話せてない。2人とも、こっちを見てずっとニヤニヤしてくるし、ずっと2人でコソコソ話してるから、新山以外といると、居場所がない。話しかけたら、新山君に聞けば?としか言われないし。新山と話すのは楽しいけど、みんなといたいのに、新山のおかげで全然話せない。もうあの日に戻りたくないから、必死に明るいフリして、ずっと笑ってたのに、それがまた崩れそうになってきてる。いやだな。こんな話、新山にはできないし。もう真由と美音にも迷惑かけたくないし。どうしたらいいんだろう…
いつのまにか、もう模試も終わって、1/31になっていた。ああ、もうすぐ真由の誕生日じゃん、何か考えなきゃ。去年は美音と一緒に、お菓子リュックあげたしな…今年は何か違う方がいいよね。真由が好きなのはバンドだからな…ライブのチケットにしようかな!でも、どのライブ好きかわからないし、聞いちゃうのはわかりやすすぎるし…
高) 「え、何これ…」
真) 「おはよう、るりるり!ん、どしたの?なんか元気なくない?ってか何その紙!ちょっと見せてよ〜まさかラブレター?」
高) 「んー、わかんないけど。今からみるとこなんだ。」
下駄箱に紙が入ってた。そりゃあ期待はしたけど、これって普通逆じゃない?女子が男子の中に入れるものでしょ?なんなんだろ…そう思ってた。
「新山から離れろ。新山は、いつかお前を傷つける。その情報が、いくらお前が知りたい真実だったとしても。」
え、何それ。新山が私の何を知ってるの?まさか、あの事件の真相を知ってるの?新山は部外者でしょ、何も知らないはずでしょ?しかも傷つけるって何?もう十分傷ついたんだけど。もう傷つき方も、そんな心もとっくの昔にどっかに消えちゃったよ。それに、この手紙を書いた人は、いったい誰?私と新山の関係を知ってる人はそういない。幼馴染、って関係は知ってても、それ以外はみんな知らない。私も最近知ったのに。いったい誰がこんなことしたの?またあの日に戻らせたいの?やめてやめてやめて…
女) 「ん、起きた?大丈夫?」
高) 「ここはいったい…?」
女) 「そっか、高咲さんとこうして会うのは初めてカナ?こんにちは。保健室の鈴風、って言います。すず先生、って呼んでくれていいよ。」
高) 「あの、どうして私のことを知ってるんですか?初対面ですよね?私、保健室なんて、生まれて初めて来たし…」
鈴) 「あーそっか、いっつも気を失ってたからなあ(笑)でも、このこと、あんまり言いたくないんだよネ。高咲さんにとって、思い出したくないことを思い出させるし。」
高) 「もしかして、あの手紙、すず先生からですか?」
鈴) 「え、何それ!私、何にもしてないよ?でも、どうしても、って言うなら話してもいいよ。中1の頃のお話だからサ。聞きたくないでしょ?」
あ、やばい、背筋がザワザワする。
女A) 「高咲さんってさ、ほんっとに男好きだよねぇ。」
女B) 「だよねぇ。どーせ、間宮君狙ってるんでしょ?本当、ぶりっ子気持ち悪〜い。」
男A) 「おーい、男好きぃ。お前、綾波先生と付き合ってるんだろ?」
間) 「あのさ、迷惑だからさ、俺のこと好きとか、やめてくんない?」
母) 「だから言ったのよ!どうして真由ちゃんと美音ちゃんに合わせてこの学校に言ったのよ!大人しく水泳していればよかったでしょ!」
綾) 「お母さん、落ち着いて。瑠璃さんも反省していますし。私の責任でもありますから…」
ヤメテヨ、ダレカタスケテヨ、ワタシハナニモシテイナイヨ、ドウシテスベテワタシノセイナノ?コノママダト、コワレチャウヨ、、、
鈴) 「高咲さん⁈ねえ大丈夫⁈余計なこと言ってしまってごめんなさいね。やっぱり、この話はやめ!」
高) 「すみません、聞きたいって思うのに、やっぱりまだ辛くて…」
鈴) 「そりゃあ、あんだけされてたらそうなるわ。気にしないで。また、聞ける状態になったら、聞きにおいで。ずっと待ってるわ。さあ、もう帰りなさい!下校時刻よ。」
あれ、もうそんな時間…ずっと気を失ってたんだ…それにしても、久しぶりに嫌な夢を見たな。あの夢、もう忘れたと思ってたのに…教室にだけ寄って帰ろう。
高) 「すず先生、ありがとうございます。教材だけ取ってから帰りますね。」
鈴) 「あまりお勧めはしないけど…わかった。でも、この時間、気をつけてね。」
どういう意味かわからないまま、一応お礼だけ言って、保健室を出て、教室に向かった。私は、この日は、すず先生の言う通り、帰ればよかったと後々後悔する。
こんにちは。泡姫です。今回も読んでくださり、ありがとうございます!泡姫はなかなか進まないので、月に2回更新できてたらいい方だと思ってください。(笑)できるだけ頑張ってはいます!でも勉強とか色々ありすぎて…泣
ちなみに…この話は、高1の3学期〜が主な舞台です。たまに、瑠璃の回想で、中1の5月あたりがうろちょろ出てきます。あと、小学校時代も出てきます。
すこーしだけ、人物紹介(もっと話が進んでからちゃんと書きます。ここではまだ言えない情報もたくさんあります!)
高咲瑠璃→本作のヒロイン。現在、星宮高校1年生。誕生日は7/7。基本学期末試験とかぶっていて、誕生日を忘れられていることが多い。成績は真ん中あたり。水泳と走ることが大の得意で、夏の水泳大会では常に優勝している。しかし、水泳部には入っていない。中1の頃に、色々あって親との仲が非常に悪い(水泳部に入らないのもこのせい)。真由と美音がいるため、ここの学校に入った。
棚橋真由→瑠璃と同じ星宮高校1年生。誕生日は2/3。誕生日が節分のため、ケーキが大豆だらけのシンプルケーキのおかげで、スタイルがとてもよい。成績は下の方。球技全般得意だが、水泳はそれほどできない。バンドが大好き。瑠璃と美音と仲がよいが…???
花宮美音→瑠璃と真由と同じ星宮高校1年生。誕生日は12/12。成績は常にトップ。中1からずっと特待生である。ずっと温室育ちだったため、水泳以外の運動はできない(水泳も人並み)。有名な華道の花宮家のお嬢様。そのせいで、人と関わるのが少し苦手。瑠璃と真由と仲がよいが…???
新山亮→瑠璃と昔小学校が同じで、突然星宮高校に転校してきた1年生。誕生日は9/7。サッカーが得意で、常に中心の輪にいる。面白くて優しく、瑠璃と幼馴染以外の何かしらの関係がある?
鈴風先生(すず先生)→星宮高校の保健室の先生。瑠璃の過去を知っている?
綾波先生→瑠璃の中1の頃の担任。瑠璃と付き合っていた?
網山→女子の中心グループのリーダー。気が強く、イケメンに目がない。
武内→男子の中心グループのリーダー。平気でカツアゲをしており、家は極道との噂も。
間宮→瑠璃と中1の頃同じクラスだった男子。瑠璃が好きだった?