現在から過去へ
不定期更新です。
これは「2」ですので、先に「綺麗な妖精にはトゲがある」をお読みください。
最初からかなりぶっ飛んだことを書いてますが、気長に読んでくれると嬉しいです。
私の名前は水無月夜行。
これは私が経験した全て実話である。
それをここに書き記したいと思う。
聞いてくれるだろうか。
あれから何年の月日が経ったのだろう。
短いようで長い、途方もない時間が流れた。
それから私は二人の妖精に出会う事となった。
そして今現在―――。
私は―――。
独りだ。
いつも、
独りだ。
そして、
独りだ。
だから、
独りだ。
まさに、
独りだ。
しかし、
独りだ。
つまり、
独りだ。
故に、
独りだ。
どうしようもなく、
独りだ。
私の周りには誰もいない。
もちろん、心の中にも。
あれから色々な事があった気がする。
それを私の覚えている範囲でここに書き記す。
物語はあれから一年後の世界。
つまり、私が―――いや、僕が高校二年の、ヘヴンと出会ってから一年後の初夏の出来事だ。
何も変わらない日常。
何かが変わった様で何も変わってなどいない。変わったとしても、それは僕には何も影響は及ぼさない。逆に僕が変わったとしても世界に何も影響は及ぼさない。
何が起こっても世界は変わらない。
僕も。
もう一人の僕、百鬼も。
そしてヘヴンも。
毎日を穏やかに何もなく過ごしている。しかし、今から変化を求めないといけない。
理由は至って簡単だ。それはあの季節がやって来るから―――。
僕とヘヴンが出会って一年が過ぎようとしていた。だからあの季節がやってくる。待ちに望んだあの季節。僕よりも百鬼はもっとこの季節を待ち望んでいただろう。
夏。
正直、僕は暑いのは苦手だけど、それでも待ち望んでいた。淡い赤紫色の期待を胸に。
もう一度、もう一度会いたいと願っている。僕たち三人はもう一度会わなければならない。会ってどうなるわけでもない。むしろ怖いとさえ思う。
どういった状態で現れるのかがわからないし、それでも百鬼はその全てを受け入れるだろう。
大事に―――大事に大事に保管していた。それは命そのものだ。
それを僕は、百鬼は、この季節、【アサガオ】の種を植えるんだ。