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5-7 昼食も、豪華!





 なんだかよくわからんうちに特別調査隊(仮)に入る事になっちゃったオレたち。あんまムチャなクエストは回さないでくれると助かるんだけど……。

「それではここで、皆さんにお仕事をお願いしようと思いまーす!」

 さっそくかよ! コキ使う気満々なんじゃねーか? この王様!

「実はすでに、調査隊のみんなに少しずつ探索を進めてもらってるんだよね。それで、まだ未探索のエリアがいくつかあるので、皆さんにはその内の一つを探索してもらいたいと思います」

「皆さんには、四十三階の北東部を調べてもらおうと思っています。皆さんのレベルなら、まったく問題ないでしょう。基本的には、何か怪しいところがないか調べてもらえれば結構です。特に王家の紋章や、こちらの絵に注意して調べてください」

 なんだかざっくりとした仕事だな……。そう思っていると、ギュスターヴさんが金のメダルと一枚の紙をこちらに差し出してきた。リアとステラが横から覗きこむ。

「このメダルは私たちがもらったのと同じヤツだね」

「こちらの絵はなんでしょう……?」

「さあ……?」

 よくわからん幾何学文様が描かれた紙に、オレたちが首をかしげる。

「それはこれまでの探索で見つかった絵です。何かの紋章なのかもしれません。実は、あの女幽霊が消えた後にもこの文様が刻まれた指輪が残されていました」

 え、そうなの? 言われてみればあの幽霊、指輪をつけていたような気も……。

「もしもこれを見かけたら、我々にご連絡ください。今のところこれがなんなのかはわかっていないのですが、どうも気になりますので」

「わかりました」

「ギュス君は参加するの?」

「はい、できれば時間を合わせたいと思います」

「了解。みんな、いつごろいけるかな? もうクエストの予定ある?」

「いえ、まだ予定は入れておりません」

「来週ならいつでも大丈夫っすよ」

「そっか、それじゃあこっちで決めるね。決まったらあさってまでにみんなのところに伝えるから、よろしく~」

 なんかあれよあれよという間に決まっちまったな……。まあ四十三階ならこないだのクエストの一階下だし、特に問題ないか。








「さーて! それじゃあみんなが調査隊に入ってくれると決まったところで、お昼を食べましょ~!」

 そう言って、王様がメイドさんたちにウィンクする。一旦メイドさんたちが退室し、しばらくして台車を押しながら戻ってきた。おお、これは期待できそうだな。

 栗毛のメイドさんを筆頭に、メイドさんたちがてきぱきと料理をテーブルに並べていく。お、これは……。

「わあ……」

「すっごーい……」

 スゲえな、サンドイッチがいっぱいだ。あれなんかハンバーガーっぽいな。それもマズダナルドとかのじゃないちょっと高級っぽいヤツだ。やべ、ウマそ……。なんかうまそうなサラダにつまみ、飲み物もいろいろあるし。さすが王様の食事、メチャクチャ豪勢だぜ。

「軽食でごめんねー。夕食はすっごく豪華にするから、楽しみにしててね!」

 軽食なのかよこれ! 軽くオレの食事一日分くらいあんぞ! これよりずっと豪華とか、夕食はいったいどうなっちまうんだよ!

「では皆さん、どうぞ召し上がってくださーい! いっただっきまーす!」

「いただきまーす!」

 みんなであいさつを済ませると、オレは目の前の食べ物に手を伸ばす。さーて、何から食おうかな……。現代っ子なオレは、やっぱハンバーガーをいただきましょうかね。どれ、もぐもぐ……。

「ウマっ!」

 何コレ!? チョーウマいんですけど!? バンズの焼き加減といい、中の具といい完ペキだ! ソースもなんか高級な感じがする! 日本にいた頃に街で見かけた事のある千円オーバーのハンバーガーが、ひょっとしたらこういう味なのかもしれないな。もちろん食った事ないけど。

「おいしっ!」

「凄い……!」

 リアとステラも、それぞれが食ってる物に感嘆の言葉をもらす。やっぱ王様、いいモン食ってんな。てか、これが軽食とか許せねーんだけど。

「なあ、このハンバーガー、スゲえウマいぜ」

「おお、なんだか珍しい食べ物だね」

「私もいただいてみます」

 ああ、やっぱモノ自体珍しいのね。二人が好奇心いっぱいにハンバーガーを口に運ぶ。

「んんんんん!?」

「――――!」

 期待通り、二人が言葉にならない声を上げる。やっぱウマいよな、これ。

「何、これ……。サンドイッチとはまた違う、別次元のおいしさなんだけど」

「まずパンの焼き加減が絶妙です。表面はこんがり、そして内側はふんわり……。しかも断面の部分がパリッと軽く焼き上げられる事で、その歯ごたえと風味がより一層の複雑さと奥深さを演出しています……!」

 ああ、また始まったよ、ステラのグルメレポートが。でもそうか、具をはさむ断面が少し焼いてあるのか。どおりでなんかいつものハンバーガーと違うわけだぜ。切り口をわざわざ軽く焼くなんて、一手間を惜しまないね、王様の料理人は。

「間にはさまれたハンバーグも、肉質、焼き加減共に素晴らしいです。これ一枚で高級料理店のメインディッシュとして供されてもまったくおかしくありませんが、それをかくも大胆に調理する……心より感服いたします」

「そ、そう……。そんなに喜んでもらえて、僕も嬉しいよ」

 ホント絶好調だな、ステラさん。あの王様がタジタジになっちゃうんだから。しかしウマいのはマジだ。王様との食事も二度目って事で心理的にもだいぶ慣れてきたのか、オレたちはここぞとばかりにテーブルの上の食事を平らげていく。











 しばらくして、オレたちはテーブルの上の食事をあらかた腹の中へと収めてしまった。ギュス様やウェインさんが思ったより食べないので、食事を残すのはよくないと片っ端から皿を空けていった。結果、オレたちは……。

「もーダメ、お腹いっぱい~」

「私も、少し食べすぎかもしれません。あまりにおいしかったものですから……」

「オレ、今幸せいっぱいだわ……」

 もー食えない、といった様子でイスの背もたれにもたれかかる。そんなだらしない姿のオレたちを、王様がニコニコ見つめてる。

「よかった、満足してもらえたみたいだね!」

「はい……」

「とってもおいしかったです」

「ありがとうございます……」

「夕食はもっと凄いから、みんな楽しみにしていてね!」

「あ……」

 王様の言葉に、主にオレとリアがしまったという顔をする。そうだ、夜はもっとスゴいんだった……。それまでに少しはすくかな? オレの腹。

「僕とギュス君はこの後仕事があるので一旦失礼します。ごめんね~。で、せっかくお城に来てもらったので、皆さんにはお城を見学していってもらおうと思います。ウェイン君、よろしくね」

「御意」

「それと、おやつの時間には……」

 おやつもあるのかよ! しまった、調子こいて食いすぎた! リアも露骨に「しまった」って顔してるよ。

「僕のかわりにマリちゃんが来るので、みんな仲良くしてあげてね!」

 な、何ィィィィィッ!? 王女様が!? マ、マジか! これはテンション上がる!

 お、リアのヤツ、今度はオレに批難がましい視線を向けてきてるよ。へっ、いくらそんな顔したってムダだぜ? オレはこれを機に、確実に王女様の好感度を高めてやるんだ!






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