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1-9 なんでこんなにレベルが上がるんだ!?






「さーて、帰りましょうか」

「それはいいけどよぉ……」

 ツインリザードの皮はぎが終わり、思い切り伸びをしながら言うリアにオレは抗議する。

「何で全部オレが持たなきゃいけねえんだよ!」

「えー、君男の子でしょー?」

 出たよその発言。女はいつもそうやって男に何でもやらせようとするんだよな。都合のいい時ばっかり女になりやがって……。

「ルーイーくん?」

「大体女ってのは……うん?」

「アンタ今、女は何でも男に押しつけるみたいな事思ってたでしょう?」

「え? い、いや、そんな事ないぜ?」

 ヤバい、明らかにうろたえちまった。コイツにそんな事言ったらどうなる事か。怖すぎる。

「だいたいそういう事いうヤツって、普段からホントに何にもしないヤツなんだよねー」

「ぐっ!?]

「男とか言う以前に、人として終わってるんだよね」

「くっ……」

「せめてやるべき事やってから言えって話だよねー」

 コイツ……精神攻撃か? 痛いところばかり攻めてきやがって。

「もちろんルイも、そう思うよねー」

「え、そ、そりゃもちろんそうだとも!」

「それじゃ、皮を持つ事にも異論はないよね?」

「え、でもだってそれは……」

「ないよね?」

「……ないです」

 お前のその笑顔こええよ! 否定できるわけねえだろ!

 てかおかしくね? この皮全部とか、どう考えてもオレがひとりで持つべき分量とは思えないんだけど。てか、やるべき事がどうとか言うんだったらお前こそ自分の分くらい持てよ!

 と言いたかったが、さっきまでのリアの戦いぶりを見て完全にビビってしまったオレに、そんな事を言い出す勇気などあろうはずもなかった。ちくしょう、この女マジ覚えてろよ……。


 



「で、兄ちゃんが皮全部背負ってきたってわけか」

「お前も苦労してんな!」

「リアもいいコ捕まえたねぇ」

 詰所に戻ると、オレらの姿を見てどっと笑いが起こる。コイツら、マジで覚えてろよ……。

「おら、さっさと行くぞ」

「ちょっとルイ、そんなに急がないでよー」

「そうだぜ、少しは俺たちの相手もしてくれよ」

「かわいい顔してせっかちさんなんだから」

 知るか! オレはさっさと戻りたいんだ! 

「それじゃ、また来るね」

 リアも詰所の連中に手を振ってゲートに向かう。しかしオレは、どこの詰所に行ってもこの扱いなのかね……。







 ギルドに戻り、足早に受付へと向かう。荷物マジ重い。早く行こうぜ、オレはさっさとこのトカゲの皮から解放されたいんだ……。


 受付ではアンジェラが金髪男と何やら話をしていた。てか、追い払うような仕草してるな。

「アンジェラ、またナンパされてたの?」

「まあ、いつもの事よ」

 こういう事をサラッと言ってのけるあたり、リアと仲がいいのもうなづけるわ。

「それが依頼の品ね」

「やっとこれを下ろせるのか」

 背中に背負っていた皮を下ろして、アンジェラに手渡していく。一枚が3キロ近くあるから、全部で30キロくらいか。てか重すぎんだろ! オレは行軍中の軍人や登山家かっつーの!

「ここで全部渡しちゃっていいのか?」

「ええ、超過分はこちらで処理するからいいわよ」

 そう言って皮のチェックを始める。てかこの人、これを鑑定できるの? 地味にスゲえ優秀なんじゃね?



 しばらくするとチェックが終わったようだ。

「はい、OK。それじゃ、ノルマ八枚プラス二枚分で、380リルね。ちょっと待ってて」

「また等分に分けておいてね。あとレベルチェックもよろしく」

「はいはい」

 あいづちを打ちながら、アンジェラが奥の方へ向かう。この前レベルアップしたばっかなのに、そんなにすぐに上がるもんかね。




「お待たせしたわね」

 小銭が入っているであろう袋と腕輪を手に、アンジェラが戻ってきた。

「まずこれが報酬ね」

「はい、どうも」

「で、ルイ君はこれをつけてね」

「はいよ」

 腕輪を受け取ってレベルをチェックする。この前レベル上がったばっかだし、今回ホントにバトルで何もしてないのに、レベルなんて上がるもんかねえ。さあて、装着装着……。

「うおぉっ!?」

「キャっ!?」

「えええっ!?」

 なんだこれ? すごい勢いでゲージがのびてくんだけど? 珠がどんどん光っていって、一気に三つの珠が明るくなった。一体どうなってんだ……?

「どういう事かしら……?」

「これ、どうなってんの……?」

「オレが聞きてえよ……」

 これって、すごいレベル上がったって事だよな? リアが敵を瞬殺するもんだから、今回歌だって大して歌ってないってのに……。

「これってどういう事?」

「レベルが三つ上がってるわね……」

「て事はレベル14になったの?」

「なんでこんなに上がるんだよ!? おかしいだろ!」

 オレの問いに二人とも首をかしげる。やっぱおかしいよな。

「いくらツインリザードが格上のモンスターでも、ねえ……?」

「十匹狩ったくらいで3レベルも上がんないよね」

「わかった! オレがひとりで皮背負ってきたからだ!」

「んなわけないでしょ!」

「だったら行商人とか、みんなレベル51以上のAランクよね」

「あっはは! ルイったらバッカでー!」

「うっせ! だったら何でこんなにレベルアップしたんだよ!」

「う~ん……」

 ホント、何でなんだろな。




 結局原因はわからずじまいのまま、オレたちはそれぞれの家へと帰る事にした。







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