3-8 いや、レベル上がりすぎだろ!
リア、そしてステラと、立て続けにありえないレベルアップを果たし、動揺するオレたち。次はオレの番か……。き、緊張するぜ……。
「……やっぱり、どこにも異常はないのよねえ……」
再三腕輪をチェックしながら、アンジェラが首をかしげる。やっぱ壊れてないんすか……。
「あなたたち、いったいどんな大物を倒してきたっていうの……? いくらゾンビをたくさん倒したって、こんなにはレベル上がらないわよ?」
心底不思議そうに、アンジェラが聞いてくる。う~ん、心当たりがあるとすればあの素っ裸の女幽霊くらいか……。まあ、ギュス様が苦戦したくらいだしな……。あの女幽霊ちゃん、そんなに大物だったのか……?
「それじゃルイ君、まずこれをはめてみて」
「あ、ああ」
アンジェラから腕輪を受け取り、恐る恐る装着する。オレはまだレベル27だから、まずはレベル31までのチェックだな。カチャリ、と……。
「おお……」
まあ案の定と言うか、あっという間に全ての珠が点灯する。これはまあ予想通りだったから、特に驚きはないな。さてと、問題は次の腕輪なんだが……。よっこらせ、っと……。
「うおおぉぉぉお!?」
「ええ――っ!?」
マジかよ!? さっきと同じ反応だぞ! また全部の珠ついちまったよ! オレもレベル41かよ!?
「ちょっと、なんでルイが私と同じレベルになっちゃうのさー!?」
リアがオレに食ってかかる。そんなのオレが聞きてえよ! 一気に14レベルアップとか、どう考えたっておかしいだろ! アンジェラも、理解不能とばかりに考えこんでいる。
「で、でも、それはきっとルイさんのがんばりの成果ですよ!」
困った顔をしながらも、オレを健気にフォローしてくれるステラ。うう、マジで天使だよ、ステラさん……。
「念のため、こっちの腕輪も試してみてくれるかしら?」
「え? まあいいけど……」
そう言いながら、アンジェラがレベル51までの腕輪を手渡してくる。いや、さすがにこれ以上レベル上がる事はないだろ……。
「アンジェラ、別にそれはチェックしなくていいんじゃない?」
「まあ、念のためよ、念のため」
ジト目でアンジェラにつっかかるリア。コイツ、そんなにオレのレベルアップが気に食わないのかね……。さーて、お子ちゃまはほっといて、装着装着っと……。
「うおぉぉっ!?」
「うそぉ!?」
おい! ゲージがスゲえ伸びてくんだけど!? 珠が一つ、二つ、三つ……四つ光っちゃったよ、おい。ウソだろ……これって……。
「レベル45、ね……」
唖然とするアンジェラ。横からリアが叫ぶ。
「ちょっとー! ルイってば、ズルいー! なんで私やステラよりレベル高くなっちゃってんのさー!」
「いやだから、そんなの知らねーよ! オレが知りてーよ!」
マジでどうなってんだよ! ホントに大丈夫なのか!? その腕輪!
「これは……」
アンジェラがマジな顔になってる。そうだろ、故障かなんかだろ?
「凄いわ、あなたたち! 全員Bランクなんて! これならなんの問題もなく役がつくわね!」
満面の笑みで、オレたちを祝福するアンジェラ! え――っ!? 故障じゃないのかよー!
てか、役がつくのかよ! ヤだよオレ! イベント出席とか、オレたちが一番苦手なヤツじゃん!
「私が、一番下……」
隣では、リアがどんよりと暗黒オーラを放っている。ついこないだまではオレと20くらいレベルの差があったのに、たった今4レベルも突き放されたんだもんな。てか、そんなにショックな事なのかね……。
「ルイ君、これは記録ものよ。一気に18レベルアップなんて、シティ、いいえ、全ギルドの歴史上初めての快挙よ……!」
そう言うと、アンジェラが舞い上がりながら「さっそくギネスに申請しなきゃ」とか言っちゃってる! おい! この世界にもギネスあんのかよ! てか、ギネスって元々イギリスかどっかの会社の名前だろ! こういうあたり設定が甘いな、この世界!




