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2-10 王国のレジェンドたちとご対面!





 ギュス様の上司たちのテーブルにやってきたオレたち。うう、なんかこのあたりだけ、得体の知れないオーラに満ちている気が……。どうも、はじめまして……。

「皆様、ルイさんとお仲間の方々をお連れしました」

「よう、よく来たな」

 アラフォーくらいの渋いおっさんが、オレたちに声をかける。仕立てのいい服を着崩して、なんだかチョイワルな雰囲気だ。

「お前らのウワサは聞いてるぜ。大したモンじゃねえか。おっと、自己紹介がまだだったな。オレはリシュリュー、調査隊の隊長だ。で、こっちが……」

「はじめまして。私はレナード、近衛騎士団長を務めてます。皆さん、よろしく」

 おお……女性陣が固まっちゃってるよ……。目なんかキラキラさせちゃってさ……。この悪そうなおっさんがギュス様の上司で、マジメそうな方が剣聖とやらか……。

「ハハッ、お前は自己紹介なんかしなくたって、みんな知ってんだろうがよ。オレはどうだかわからんがな」

「そ、そんな事! リシュリュー様は、私たち冒険者の憧れです!」

「そ、そうそう! チョーカッコいいです!」

 チョイ悪オヤジの意地悪な言葉に、ステラとリアが慌ててフォローする。しかし、リアの語彙の貧しさはなんとかならんもんかねえ……。二人の言葉に気をよくしたのか、オヤジがニヤリと笑う。

「そうかそうか、お嬢さん二人ともオレのファンか。なんなら、今晩どうだ?」

「へっ!?」

 こっ、このオヤジぃぃぃぃ! 今サラッとナンパしやがった! しかもいきなりベッドに! チョイ悪なのは見た目だけじゃねーのかよ! しかし王様といい、この国のお偉いさんは息でも吐くかのようにナンパしやがるな! ステラは困ったようにオロオロしてるし、リアに至っては真っ赤になって目をグルグルさせてるし。その様子を見かねたのか、ギュス様が間に入る。

「隊長、ほどほどにしてください。お二人とも困っているじゃありませんか」

「カタいねーお前。若いのにそんなんじゃ、先が思いやられるぞ」

「余計なお世話です。あまりハメをはずすようなら、奥方に言いつけますよ?」

「そ、それだけはやめろ! 今せっかくあっちに行ってるんだからよ!」

 奥さんって聞いた途端、露骨にうろたえるちょい悪オヤジ。ああ、この人も奥さんに弱いのか……。てか、この国って嫁さんの力が強いのかね……。




 ギュス様とチョイ悪が言い合っている間に、剣聖さんが話しかけてくる。三十半ばくらいのナイスガイだ。

「ルイ君と言ったね。冒険者を始めてどのくらいになるんだい?」

 え、えっと、まだ三ヶ月くらい……じゃないか。それはオレがこっち来てからの話だった。

「なあリア、オレっていつから冒険者になったんだっけ?」

「なんで自分の事忘れてんのさ。今年で三年目でしょ?」

「そ、そうそう、三年っす! まだまだ全然ペーペーなんすよ!」

 まさかとは思うが、この人もギュス様みたいなタイプだといよいよ面倒な事になりかねんからな……。ここはちゃんと凡人ぶりをアピールしておかないと……。

「なんと、ルイさんはわずか三年であれほどの力を身につけられたのですか!? 言われてみれば、確かにまだ若い……。これは、末恐ろしい……」

 だからギュス様は少し黙っててくれよ! 今オレは剣聖様と話してんだよ! これ以上余計な情報つけ加えないでくれよ、頼むから!

 その様子に、剣聖さんが苦笑いする。

「相変わらず大げさだな、ギュスターヴ君。これはルイ君も苦労しそうだね。しかし本当に大したものだ。これからの君たちの働き、私も大いに期待しているよ」

「は、はぁ……」

 ああ、これはなんぼか盛り気味で記憶されちゃったね……。憧れの剣聖様に「大いに期待している」なんて言われちゃったからか、リアとステラも直立不動で固まっちゃってる。

「そうだぜ、がんばれよ詩人殿! もっと活躍したら、うちの娘らも紹介してやるからよ!」

 そう言ってチョイ悪が指し示した先には、おばさまたちと語らう二人のお嬢さんの姿があった。おお、結構カワいい……。このチョイ悪から、あんなカワいいコが生まれるのか……。あ、でも確かに背の高い方はちょっと悪そうかも。妹さんは母親似なのかね。そっか、がんばればあの子たち紹介してもらえるのか……。

「なーにデレデレしてんのさー」

 イテ! イテテ! だからお前、なんでつねるんだよ! ステラの視線もなんか冷たい! だ、誰か助けて!

「なんだお前、モテモテじゃねーかよ! ハハッ、なんならオレの弟子にしてやろうか? 女の扱い、一から教えてやるぜ!」

 それどころじゃねえし、そんな関係でもねーよ! おもしろがってないで、ちったあ助けてくれよ!




 そんな調子で、オレたちはこの一癖も二癖もある人たちとしばし立ち話を楽しんだ。






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