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2-7 王女様マジカワいい! のに……





 晩餐会場のみんなが見守る中、王様のリクエストで一曲歌わされたオレ。いやー、疲れたぜ……。

 席に戻ると、王様ファミリーが口々に感想を口にする。いや、オレ今歌ったばっかだから、少し休ませてよ……。あ、でも王女様ならオールウェイズウェルカムね。

「ね! ルイ君の歌、よかったでしょ?」

「は、はい……。とても、素敵でした……」

「ほらマリちゃん、もっと具体的に教えてあげなって」

「はい……、例えば『想い満ちる 僕の胸に まるで月の満ちるように』の箇所は、思わず私の胸も高鳴るのを抑えられませんでした……。その後、『月が照らす大地に』からの節は、その、とてもロマンティックでした……」

 王様にうながされ、恥ずかしがりながらも一生懸命に感想を言ってくれる王女様。か、かわいすぎる……。しかも、チョー細かい所まで聴いてくれてる……。食事をとるのも忘れてその姿に見とれていると……ってぇぇぇぇえ! 右脚に、ものスゴい激痛が――!?

「ちょっと、あんまりデレデレしないでよ。恥ずかしいし、第一、キモいよ?」

 リア、てっめぇ……! テーブルの陰でオレの脚つねってんじゃねえよ……! 場所が場所だから、怒鳴りつける事もできやしねえ……。リアの手をはねのけ、せっせと太ももをさする。くっ、涙が出てきたぜ……。

「あ! 見なよマリ! ルイ君、涙浮かべてるよ! マリの言葉がよっぽど嬉しかったんだねぇ!」

「そ、そんな……」

 相変わらずな親父に、うつむきがちになる王女様。いや、全然違うんだけど、これで王女様が勘違いして好感度アップするなら、それはそれでいいか……。

 ヘラヘラしながら左を向くと、あ、ステラがオレをジト目で見てる……。ステラさんにまで呆れられるとは……。てか珍しいな、ステラのこういう顔。これ以上デレデレしてるとなんかパーティー内の不協和音が大きくなりそうな気がするので、ちょっと食事に集中しよう……。





 そんな調子で王様ファミリーとひとしきり会話し終えると、王様が笑顔で口を開いた。

「それじゃ皆さん、今日は遊びに来てくれてありがとうございました! 後は自由にしてくれていいよ」

 いや、オレたち遊びに来たわけじゃないんですけど……。てか、「自由にして」ってどういう事?

「あの、自由にするってどういう事ですか?」

「ん? そのままの意味だよ? 僕たちとばっかり話してても退屈だろうから、他のテーブル回ってきなよ」

「いやいやいや! 退屈とか、そんなの全然ないっすから!」

「またまた~、ムリしなくていいよ~。ルイ君、マリちゃんとしゃべる時以外はテンション低めだし」

 そうじゃなくて! 他のテーブルなんて回る勇気ないっすよ! てかウソ、オレそんなに態度に出てた!? もしかして王様、気にしてる!? すいません! 死刑だけはカンベンしてください!

 見ればリアが超非難がましい目でオレを見てる! 違っ、そうじゃないんだって! おろおろするオレに、王様がポンと手を叩く。

「あ、そっか! いきなり知らない人に声をかけるのも大変だよね! おーい、ギュスターヴくーん!」

 まるで大喜利の座布団の人を呼びつけるような気楽さだな、おい! あー、スゴい勢いでギュス様がこっちに来る……。やっぱイベント用の服着てるのね、ギュス様。

 王様の席まで来ると、うやうやしくひざまずく。

「お呼びでしょうか、陛下」

「うん、ルイ君たちといっしょに食事してあげてよ。ギュスターヴ君とウェイン君が一番なかよしでしょ?」

 すいませんねギュス様! せっかくの晩餐会なのに、こんなくっだらない事につきあわせる事になっちゃって!

「私めは構いません、むしろ光栄ですが……ルイ殿は、私などとごいっしょでよろしいのですか?」

「も、もちろんっす! てか、こっちこそ光栄です! な、みんな!」

「は、はい! 私、ギュスターヴ様のファンです! サ、サインください!」

「ルイさんの言う通りです。こちらこそ、よろしくお願いいたします……」

 ギュス様の言葉に、オレたちも慌てて答える。てか、おいリア! オマエは何言ってんだ!

「そういう事でしたら、承知いたしました。不肖ギュスターヴ、ルイ殿のお相手を務めさせていただきます」

「よ、よろしくお願いします」

 てか、なんかギュス様の言葉使いもさっきからおかしくない? いつの間にかオレの事「ルイ殿」とか呼んでるし! オレなんか呼び捨てでいいよ、ホントマジで!

「このテーブルにいたらみんなも声かけにくいだろうしさ、せっかくだからみんなともお話してあげてよ」

 王様が気楽に言ってくれる。はっきり言うけど、ヤダよオレ! なんでこんなエラい人たちのお相手をしなきゃなんないんだよ! 王様ファミリーのお相手の時点で疲労困憊なのにさ! しかも、お客さん二百人くらいいるじゃんか! こんなの回りきれるわけねーだろ!

「それでは皆さん、参りましょう」

「は、はい……」

 もちろん断れるわけもなく、オレたちは立ち上がると王様たちに一礼する。そしてギュス様の後についていった。あーあ、もっと王女様と話してたかったなあ……。

 





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