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1-3 式典の出迎え、大げさすぎませんか?






 ついに問題の日がやってきた。結局おとといは服を選ぶだけで一日つぶれたし、昨日だって三人でマナーの確認したり念のためにギルドに確認しにいったりであっという間に終わっちゃったし。

 てか、ギルドのお偉いさんもなんかテンション高かったな……。「うちのギルドから、久々に有望株が出てきた」とかって。よく言うよ、こっちは毎回必死に仕事探してるってのに。

 それはさておき、今日は早めに起きて買ったばかりの服に袖を通している。てか、昨日なんて緊張で全然眠れてねえよ。式典中にあくびしちゃったらどうしよう……。

 服はと言うと、リアとステラが選んだだけあって、確かになんか立派な感じだ。お金持ちのお坊ちゃんぽいって言うの? 育ちがよさそうなゆったりした服だ。

 イスに座って水を飲むものの、どうにも落ち着かない。そりゃそうだ、だってこれから王様の所に行くんだもんな……。待ってる時間って超緊張するんだけど。微妙に腹痛いかも。迎え、来るなら早く来ないかな……。


 そんな風にひたすら迎えを待っていると、何やら外が騒がしくなっている事に気づいた。何かあったのか……いや、ある程度心あたりはあるぞ……。

 そう思った矢先、ドアをノックする音が聞こえてきた。とうとう来たか……。ぎこちない動きで玄関に向かうと、そっとドアを開ける。

 家の前には、兵隊……よりも立派な鎧を身につけたお兄さんが立っていた。

「お初にお目にかかります、ルイ様。私は王国騎士のウェインと申します。国王陛下の命により、ただいまお迎えに上がりました」

「は、はい! お勤めご苦労様です!」

 正しいんだかどうだかもよくわからない言葉使いで返事する。ギュスターヴさんほどじゃないけど、この人も相当いい身分の人っぽいぞ?

「ご準備の方は整っておられますでしょうか?」

「はい! もう行けます!」

 そう言って家を出ようとして……おっといけね、竪琴持ってなかったぜ。あれがなけりゃマジでただの一般人だからな、オレ。

 一言断って、部屋の竪琴を取ってくる。よし、これで忘れ物はないな。

「お待たせしました、もう行けるっす」

「それでは参りましょう」

 そう言ってギュス様ばりのさわやかスマイルをよこすイケメン騎士さん。オレもその背中を追っかけて家から出て……絶句した。

 家の前にあったのは……ば、馬車ぁ!? しかもこの広い道の半分が優に埋まるくらいデケえ! オレは思わず馬車を指さして叫んだ。

「ちょっ! な、なんなんすか、これ!」

「何って、どうかしたのですか?」

「馬車っすよ、馬車! なんでこんなので来てんすか!」

「はて? 大事なお客人をお迎えするのですから、これくらいは当然でしょう?」

「いやいや! 呼んでくれればオレたちで歩いて行きますって!」

「そんな、とんでもない! 救国の英雄でいらっしゃるルイ様を歩かせるだなんて!」

 だから、オレは国を救ってはいないって! てか、こんな大げさな事されると困るんだよ! 普段の生活的に! ほら、今だってご近所の皆さんがこっち見てひそひそ話してんじゃん!

 内心頭を抱えるオレをよそに、この騎士サマはさらに火に油を注ぐような事を言ってくる。

「ご不満かもしれませんが、この場はどうか、私めの顔に免じて馬車に乗ってはいただけませんか? なんでしたら、この場で土下座でもなんでもいたしますので……」

「いやいやいやいや! 乗ります! 乗りますから! だから土下座は絶対やめて!」

 マジでやめて! みんな見てるんだからさ! てか、この国にも土下座ってあんのかよ! さすが国産ゲームをベースにした世界だな、おい!

 とりあえず、ウェインさんはオレが馬車に乗ると言った事で一安心したようだ。馬車の扉を開くと、オレを招き入れる。しっかしデカいな、馬車って……。てか、ます馬がデカいわ。さて、それじゃおじゃましますよ、どっこいしょっと……。


 馬車の中も結構広い。その辺のカラオケルームよりよっぽど広いんじゃないか? そして中には先客がいた。リアとステラだ。

「お、おはよ」

「お、おはようございます……」

「おう」

 リアはいつも着てるのよりしっかりした革のジャケット、パンツもいつものボロい短パンじゃなくて裾の長い物をはいている。ステラは白いシャツに、ひざが見えるくらいのタイトなスカートだ。パッと見、ボーイッシュな女ボーカルと仕事のできそうなOLさんに見えるな。

 二人と向かい合うようにしてオレとウェインさんが乗りこみ、馬車が出発した。







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