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第一部 エピローグ








 ああ、ダルいな……。すっげー体が重い……。もうちょっとくらい寝ててもいいよな? んー、そういや昨日って何してたんだっけ? てか、目を開けるのも億劫なんだけど。うっわ、まぶし……。

 身体はまだダルいけど、いつまでも寝てるわけにもいかないので体を起こす。……んー? どこだ、ここ? オレん家じゃないなあ、どう見ても……。

「ルイさん!?」

 あ、ステラ。おはよ……てか、なんでここにいるの? セーターかわいいね。


 そう思った矢先。

「ルイさぁぁぁん!」

 ステラがオレの胸に飛び込んでくる! うおぉぉぉ!? なんだ、何事だぁ!?

「よかった、よかったぁぁぁ……。うっ、うぅぅ……」

 嗚咽を漏らしながら、そのままギュッとオレに抱きつくステラ。え? 何? ここステラの家? もしかして、知らないうちにオレたち永遠の愛で結ばれてる?

「……朝からお熱いね」

 あれ、リア? お前なんでここに? え、まさかの一夫多妻……なわけないな。なんか怒ってるもん、コイツ。

「あの……これは一体?」

 オレの胸にすがりついたまま泣きじゃくるステラの扱いに戸惑いながらも、リアに尋ねる。てかステラさん、朝からそんなにおムネを押し付けないで……り、理性が……。そんなオレの様子に、リアがますます不機嫌そうに口を開く。

「あんた、あの後丸一日眠りっぱなしだったんだよ」

「あの後って……」

 ――そうだ! オレたちゾンビ退治の最中だったじゃん! みんな無事……無事だったな、そう言えば。二人とも大層元気そうだよ。

「ルイさんが目を覚まさなかったら、私、私ぃ……」

「ルイ、あの後魂が抜けたみたいに動かなくなったんだから」

 ああ、中島の作ったレクイエムのメタルアレンジを弾いた後、なんか力が全部抜けたんだった。鎮魂歌でオレが成仏しそうになってどうすんだっつーの。

「お陰で、みんな無事だったんだけどね」

 リアがステラの肩に手をあてて、オレからそっと引き剥がす。何だかいつもと逆の絵だな。こういうのってリアの方が泣きついてきてステラがなだめそうじゃん? つまりリアは大してオレを心配してなかったって事?

「もちろん、私たちもだよ? だから、その……」

 リアがオレから視線をはずしながら、ぼそりとつぶやく。

「ありがと」

 そう言うと、オレたちから離れて部屋の隅へと行ってしまう。少し落ち着いたのか、ステラがオレに笑いかける。

「ルイさんも罪な人ですね」

「へ? 何が?」

「リアさん、ずっとルイさんの側に付き添っていたんですよ? あの後ほとんど睡眠も取ってないはずです」

「え、そうなの?」

「大変だったんですよ? ルイさんが倒れるものだから、泣きじゃくって泣きじゃくって。ルイが死んじゃう、どうしよう、って」

「そうなのか……」

「立ち直るのも早かったですけどね。ルイさんが生きているとわかると、大事な人を失くせない、ってこのギルドまで運んできて」

 ああ、ここギルドの中なのか。ん? 「大事な人」ってどういう事だ?

「はいはい、ステラはあんまり脚色を加えないように」

 パンパンと手を叩きながら、リアがこちらへやってくる。相変わらず不機嫌そうな顔してるな。てか、つまりこれは照れ隠しなのか。ツンデレとかメンドくさい女だな、とつい苦笑してしまう。ホントにデレがあんのかは甚だ疑問だが。とは言え、可能性が全くないわけでもないか。シチュエーションとしてはいい感じの場面だし、試しにお礼を言ってみよう。

「そう照れるなって。いろいろありがとよ」

「はぁ? 頭でも打ったの? キモいよ?」

 おい! 全然デレねえじゃねーか! ツンツンとか、どこ見回したって需要なんてねーぞ!

「でもお前、わざわざオレをここまで運んでくれたんだろ? それに大事な人が何とかって……」

「それはびっくりしすぎていろいろ気が動転してただけだから。ていうか、それステラの脚色だから。勝手に勘違いしないで」

 追い討ちをかけるように冷たく突き放す。何だよ、さっきの話はステラのフィルターがかかってただけじゃないのか!? ま、いつも通りっちゃいつも通りか。そんなやりとりをしていると、オレの腹の虫がえらい音を立てた。てかなんて音だよ、ぐぎゅるるる~って……。

「あははははは! 凄い音~!」

「ルイさん、何も食べてませんもんね」

「リア! お前笑い過ぎだ! くっそ、今夜はガンガン食うぞ!」

「ダメだってば、急に食べちゃ。急がなくても明日ちゃんと付き合うから、今日はゆっくりしなって」

 何だ、急に優しくなりやがって……。そういう態度するから勘違いしそうになるんじゃねえか……。ま、でもみんな無事に帰ってこれてよかったぜ。オレも死なずに済んだしな! よっし、それじゃ明日はみんなで飲むか!



 こうして、相変わらずの日常がまた始まると思っていたオレたち。まさかこの三日後、オレたちがあんな所へ招かれる事になるとは、この時はまだ誰も夢にも思っていなかった……。







これにて第一部終了となります。次回第二部からは成り上がり的展開を目指していきたいなあ、と思ってますので、どうぞよろしくお願いします。

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