表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/204

5-8 いよいよ、討伐開始!





 こうして三十五階の探索が始まった。ステラによればこのフロアは中央にひらけた場所があるそうで、どうやらそこらへんが怪しいのではないかとの事。途中の小道なども調べながら、一団は徐々に中央に近づいていく。うう、なんか緊張してきたぜ……。



 しばらく歩いていたその時、前のヤツがこちらに振り返り、ステラに何かをささやく。それを聞いたステラがオレたちに告げる。

「鼻栓、装着指示だそうです」

「――!」

 途端に緊張が走る。伝言という事らしく、リアが後ろのパーティーに伝えていく。鼻栓を詰めながら、ステラに声をかける。

「ゾンビ、見つけたのか」

「多分先発隊が向かっていたんでしょう。かなりの数が集まっているようです」

「うそ、ホントに集合してんじゃん」

 鼻栓をつけているので、当たり前だがみんな鼻声だ。なんか急に緊張感がどっかにいっちまったな……。

「広場はもうすぐです。皆さん、がんばりましょう」

「おう」

「もっちろん」

 できればあまり戦いたくなかったが、こうなった以上そんな事も言ってられないな。よーし、いっちょやってやるぜ!







 先発隊のゾンビ発見の報を受け、一気に緊迫するゾンビ討伐隊。中央の広間に近づくにつれ、緊張感が増していく。さすがにオレたちの口数も少なくならざるを得ない。

「いよいよだな……」

「そうだね……」

「がんばりましょう」

 と、その時、前方で手が挙がるのが見えた。どうやらこの先にいやがるようだ。行軍も慎重になる。よぉし、やるぞぉ……。

 そこから少し進むと、周りが一気にひらけてくる。ここがウワサの広場か……。奥のほうには深い霧が立ち込めてて、その中から……出てきやがったよ、ゾンビどもが! リザードマン、一角イノシシ、オーガにビッグフロッグ……。次から次へと湧いてきやがる! コイツはもう、やるっきゃねえな!

「作戦開始!」

 前方で声が上がる。それを合図に、前方の冒険者たちが次々とゾンビの群れへと突っこんでいく。オレたちも後に続くぜ!

 開戦から間もなく、オレたちの周りにもゾンビが押し寄せてくる。オレは歌いなれた応援歌でリアたちをサポート。迫り来るゾンビどもを前衛のステラが倒していくんだが……正直、一方的な虐殺にしか見えん。ステラの斧の一撃がゾンビを容赦なく肉の塊へと変えていく。ステラが斧で脳天から一気にぶった切っていくと、ホントにミンチみたいになってくんですけど。ゾンビってどこを狙えば倒せるのかイマイチわからんけど、これはもう弱点うんぬん以前に、どんな魔法かけたって蘇生(?)しようがないんじゃないか? いや、ステラさんホント頼もしいわ。

 リアの方を見ると……おい! それ石コロじゃねーか! その辺の石拾ってポイポイ投げてるよ! しかもそれが頭や足を的確に捉えてどんどん粉砕してるし! コイツはコイツでどんだけチートなんだよ!




 先頭の方はだいぶ前進したらしく、霧で見えにくくなってきている。と、その先頭の方から悲鳴や怒号が聞こえてきた。

「な、なんだコイツら!」

「こんなの見た事ねえぞ!」

「つ、強い!」

 霧から後退しはじめる先頭集団。そして霧の中からは……出たよ! オレたちが見た甲冑野郎! それも五体十体とゾロゾロ出てきやがる!

 突然の強敵出現に恐慌状態に陥る前線部隊。一人の槍兵が今にも斬られそうになる。ヤバい!


 ザシュッ。


 首が一つ、高々と飛んでいく。槍兵のじゃない。甲冑野郎のだ。首を失った甲冑の前には、一人の剣士が立ちはだかっていた。

「ギュスターヴ!」

「うおおおおおお!」

「すげええぇぇぇえ!」

 後方に控えていたギュスターヴとBランクプレイヤーたちが異変に気づき、救援に駆けつけたみたいだ。そのまま甲冑野郎どもへと突っこんでいく。

 先頭に立つギュスターヴに、五体のバケモノが襲いかかる。おいおい、ヤバいんじゃないか!? だがしかし、包囲が完成する前にギュスターヴは右側の奴に飛びこんでいく。と、次の瞬間にはそいつの首が飛んでいた! は、ええ!?

 あれ、もう姿が消えてるぞ……って、今度は正面の二体の首が飛んでる!? まさかと思い左を向くと、ギュスターヴの剣はすでに最後の一体の首を刎ねている所だった。


 …………。


「す、すっげえええええ!」

「うおおおぉぉぉぉぉぉおおっ!」

「マジでえぇぇぇぇぇええっ!」

 まさに神業とでも言うべきその剣技に、冒険者たちの歓声が爆発する。見ればBランクの面々も甲冑野郎を一体ずつ片づけていた。ギュスターヴ隊の圧倒的なまでの強さを目の当たりにし、討伐隊のテンションが一気に上がる。

「オレたちも続くぞぉぉぉ!」

「うおおおおっ、やるぜえぇぇえ!」

「ギュス様、抱いてえぇぇぇぇ!」

 その様子を見て、石つぶてを投げていたリアもつぶやく。

「さっすがギュスターヴ、今の戦いだけで士気もドーンと上がったね」

 ホントだよ、まったく。オレは歌ってるから、リアに対してうなずく事しかできないけどな。

 霧の向こうからはなおも甲冑野郎どもが湧いてきてやがるが、ギュスターヴたちが圧倒的な強さで始末していく。討伐隊も、後に続けとばかりにゾンビどもをどんどん蹴散らしてるし、こりゃ勝負あったな。よっし、オレたちもこの調子でガンガンいくぜ!







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング ←よければぜひクリックして投票お願いします! 『詩人』も参加中です!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ