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3-8 気になるウワサ






「そうそう、思い出したわ」

 帰ろうとするオレたちを呼び止めるアンジェラ。ん、どうかしたか?

「Cランク向けのダンジョンに行く時には、ちょっと注意してね」

「え? 何かあったの?」

 リアの問いに、アンジェラが話を続ける。

「最近、あのあたりにゾンビが出没するらしいのよ」

「ゾンビ?」

「そう。この頃ギルドにそういう報告が多いのよ。モンスターがゾンビ化してるみたいなんだけど、それが結構な数らしいの。中には二十匹くらいの群れを見かけたって人もいたそうだから、気をつけてね」

「へー。わかったよ、ありがと」

 さして気にも留めない様子のリア。ステラが怪訝な表情でつぶやく。

「そんなにたくさん出るなんて、不思議ですね……」

「やっぱ腐りかけなんだろ? キモいよなあ」

「ヤダやめてよ、想像しちゃったじゃない」

 リアが顔をしかめる。いや実際、ゾンビとか見た目はもちろんニオイもヤバそうだよな。屍臭って言うの? 腐敗臭とどう違うのかわからんけど。

「できれば聖水で装備を清めておく事をお薦めするわ。そうすればエンカウント率も下がるでしょうし」

「う~ん、そうだね……。私たちもそんなキモいのと戦いたくないもんね」

 想像がこたえたのか、リアもその案に賛同する。

「まあ貴方たちなら大丈夫でしょうけど、念のために、ね。それじゃ、しっかり準備しておいてね」

「うん、わかったよ、ありがとね」

「ステラちゃんも、今度ゆっくりお話ししましょ?」

「はい、よろしくお願いします」

 うん、ステラもアンジェラと仲良くなれそうだ。しかしアンジェラのコミュ力、マジでパネえな……。


 アンジェラに手を振り、オレたちはギルドを出た。ああ、思えばオレ人生でこんなに女の子に囲まれっぱなしな一日はなかったわ……。






「さーて、じゃあ今日はこの辺でお開きにしましょうか」

 ギルドから出て、リアが軽く伸びをする。

「次は三日後だね」

「聖水はどうするんだ?」

「あ、それは私が用意するね」

「ありがとうございます」

 聖水って、やっぱ教会で売ってるのかね。てか、やっぱ金取るのかね。

「それでは、私はこちらですので……」

「あ、そっか」

 ステラが丁寧に頭を下げる。

「今日は、本当にいろいろとありがとうございました」

「いやいや、このくらいの事。ステラは楽しんでくれた?」

「はい! とっても楽しかったです!」

「そうか、オレらもステラに楽しんでもらえて嬉しいぜ」

「え、その、そんな……」

 また顔を赤くしてうつむくステラ。ホント内気なコだな。どおりで今までぼっちだったわけだ。

 ん? なんかリアがオレをジト目で見てんだけど……。

「何が嬉しいよ。そりゃルイはこんなにかわいいコに一日中囲まれてたんだから楽しいに決まってんじゃん」

「あーハイハイ、リアもとってもかわいいデスヨー」

  棒読みでテキトーに返事する。その時、オレの脇腹に凄まじい衝撃が……。

「痛ってぇぇぇぇええ!?」

「……バカ」

 ちょっ、バカはオマエだよ! 脇腹殴んなとあれほど……。いやムリ、ムリ! 死ぬ!

「あの、ルイさん、大丈夫ですか……」

 とっても心配そうにオレを気遣うステラ。天使だ、天使がここにいる。いや、これはもはや女神だ……。そうだな、ここで醜態を見せるわけにはいかないぜ!

「だ、だい……ヒッ、じょお……オエェ、ぶぅ……おおぉ……」

 ムリ。もうダメ。助けて……。

「もー、ルイったら大げさなんだからー」

 大げさでもなんでもねえよ! オマエの力で殴られたら誰だってこうなるわ! てかそのバカぢから、オマエホントに盗賊か!?

「あ、心配しないでね。いつもの事だから。それじゃステラ、またギルドでね」

「はい……ルイさんもお大事に」

「お、おうふ……。ま、またな……」

 心配そうに何度も振り返りながら、ステラが帰っていく。ああ、ホントいいコだよ……。てか、オトナの包容力? 


 痛む脇腹を押さえつつ、オレたちも家路につくのであった。








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