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3-7 次のクエスト、どれにしよう?






 喫茶モンベールを後にして少々。オレたちはギルドの近くまで来ていた。

「ついでに次回のクエストも決めておこっか」

「そうだな。次回は三日後だよな」

「さすがに一週間以上も空けると手持ちが不安になるしね」

「あの……やっぱりしばらくは私、お金もらわない方が……」

「あ、いや、大丈夫! それは大丈夫だから!」

 リアが慌てて両手を振る。コイツも今までのノリでしゃべってると、ステラが思わぬ反応するから大変だねえ……。

「うん、それはクエストをがんばれば大丈夫なんです!」

 リアが自分に言い聞かせるかのように声を張り上げる。おい、周りの人が見てんぞ。っと、着いたな。

「なんだか、緊張します……」

「ああ、わかるわかる。私も知らない所に行くと緊張するよ」

 ホントかよ。コイツなら王様の城だって、手を挙げてどーもどーもとか言いながらズカズカ入っていきそうなもんだが。

 そんな事を思いながら、オレたちは開け放たれた大きな扉をくぐってギルドに入る。

「あ、アンジェラー」

「あら、いらっしゃい」

 いつもの受付で書類に目を通していたアンジェラが、こちらに気づいて手を振る。この人も美人なんだよな……。

「そちらが新しい子ね?」

「そう、紹介するよ。斧兵のステラ!」

「は、はじめまして」

 リアのほとんど中身のない紹介に続いて、ステラがお辞儀をする。

「シティギルド受付のアンジェラよ。はじめまして、これからよろしくね」

 アンジェラがにっこりとほほえむ。うん、やっぱ美人だわ。

「かわいい子が入ってくれたわね」

「へへ、でしょう」

 なぜリアが得意げになるのか、オレにはまったくわからんが……。しかしアンジェラ、これはステラの事子供だと思ってるな。まあ、もしかしたらアンジェラもスゲえ年いってるのかもしれんけど。

「そうだ、転入の手続きしてあげてくれない?」

「ええ、もちろんよ。それじゃステラちゃん、この書類に必要事項を書いていってもらえるかしら?」

「はい」

 アンジェラがペンと書類をステラに手渡す。へえ、ステラって字もかわいらしいんだな……。

「はい、ありがと」

「え、もう終わり?」

「早っ!」

 もう手続き終わったのかよ! てか、ギルド移るのってこんなにカンタンだったのかよ!

「それじゃこれでプレイヤーとパーティー登録するわね……あら?」

 書類に目を通していたアンジェラが、何かに気づいたかのように声を上げる。

「ステラちゃん、レベル37なの? リアが31でルイ君が25よね?」

「うん、そうだよ」

「と言う事は、平均レベルが31ね?」

「そうなの? アンジェラよく暗算できるね」

 書類から顔を上げると、満面の笑顔でアンジェラが言った。

「おめでとう、パーティーランクがCになったわよ」

「え、本当?」

「マジかよ!?」

 思いがけない言葉に、オレたちは驚きの声を上げた。ああ、これはイヤな予感がするぞ……。

「ちょっとルイ、何イヤそうな顔してんのさ」

「いや、だって、また無茶なクエスト選ぶだろオマエ!」

「もう三人なんだから大丈夫だって。それに」

 リアがオレに耳打ちする。

「報酬の高いクエストやらないと、ステラにも申し訳ないでしょ」

「あ、そうか」

 確かに、今まで1000リル稼いでた人に100リル200リル渡すわけにもいかないよな。てかこれから三人で分けてくわけだし、額面のデカいクエスト選ばないといけないのか。

「これで高報酬クエスト受ける事もできるようになったし、ちょうどよかったよ」

「言われてみればそうかもな。ステラも入ったことだし、いっちょ張り切ってみるか」

「おっ、珍しく前向きだねー。それじゃクエストも決めちゃいましょうか!」

 この流れを見越していたのか、すでにアンジェラがクエストの依頼書をいくつか準備していた。さっそくリアが物色する。それにしても、パーティーランクってメンバーの平均レベルで決まるのか……。その辺は『デモグラ』と同じなのな。他にも決まりがあるのかもしれないけど。てか、ステラのレベル全然考慮してなかったわ……。


「あ、これにしよっか!」

「おい! だからなんで昇格したばっかりで三十五階とか選ぼうとするんだよ! 危ねえだろーが!」

「えー、張り切るんじゃなかったのー?」

「モノには限度ってモンがあんだろーが!」

 案の定だよ! いきなりそんなに階数増やそうとすんな!

「あの、これなんかどうでしょう……?」

 おずおずとステラが差し出した依頼書を、リアといっしょに覗きこむ。

「お、三十二階で薬草集めか」

「見て見て! 報酬が1050リルだよ、1050リル!」

 リアがやたらと報酬額に反応する。

「私たちもついに、1000リルオーバーのクエストできる所まで来たんだねえ……」

 おいおい、なんか知らんけどひとり感慨にふけってるぞ。ああでも、盗賊ならこういう反応になるのか……。

「ステラ、いい仕事見つけたねー」

「難易度もちょうど良さそうだぜ、さすがステラ」

「いえ、そんな……」

 オレたちに褒められて頬を染めるステラ。守りたい。

「それじゃあ、これにしよっか」

「おう」

「決まったようね?」

「うん、これでお願い」

 リアが依頼書をアンジェラに手渡す。

「いつにしよっか?」

「いや、さっき三日後って決めただろ」

「あ、そうだっけ?」

 ステラがくすくす笑ってる。オレたちのノリにもだいぶなじんできたか? 今日歓迎会したのはやっぱ正解だったな。

「それじゃ、そういう事でよろしく!」

「わかったわ。それじゃしっかり準備しておいてね。三十二階は森林エリアだから、虫除け持っていくのよ」

 この世界、虫除けとかあるのね……。ステラには必須だな。あ、でもバリアで守られてるから別にいらないのか?


 こうしてひとしきり用事も終えギルドを出ようとした時、ふいにアンジェラがオレたちを呼び止めた。







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