3-11 本当は、どうなんだろ?
クエストから一夜明けて。オレはマンションのロビーでステラとお茶してた。
昨日はいろいろ大変だったな。まさかリアがあんなことになっちゃうとは思わなかったし。セザールがシャルルを殺したって話をした後はまた泣き始めて、そのままクエストもお開きになった。ギルドまで戻った時には、さすがのアンジェラも何ごとかと慌ててたな。
一日経って、今朝はリアもだいたいいつも通りの調子に戻ってたんだけど、やっぱり昨日のことが気になるってんで、とりあえずこうしてステラと話をしている。
「リアの様子、どうだった?」
「ええ、落ち着いてました。でも、やっぱり少し元気はないように見えますね」
「まあ、そりゃそうだよな……」
お茶を手にしながら、オレは視線を廊下へと向けた。
「それにしても、あの話ってホントなのかな」
「あの話……ルイさんのお兄さんの話ですか」
「ああ。オレも初耳だったからさ。もしホントならひでえ話だけど、昨日のあいつがそこまでやるのかなって気もするんだよな」
「セザールさんですね? 私も彼についてはそんなに素行が悪いという話を聞いたことがありませんので、シャルルさんを罠にはめたというのは正直驚いているのですが……」
「でも自由連盟だしなー、あそこの連中って無茶やっても不思議じゃないもんなー。昨日のチンピラ野郎のこともあるし」
そこまでつぶやいて、オレは慌ててあたりをぐるぐると見回す。そういやベティちゃんの家はその自由連盟のスポンサーなんだった。あんまウカツなこと言っちゃまずいか。
「こりゃ少し調べてみる必要があるかな、やっぱ」
「そうですね。時間のある時に、私たちで情報を集めましょう。ベティさんには自由連盟側の情報を集めてもらってはどうでしょうか」
「そうだな、あっちの言い分も聞かないとフェアじゃないしな。じゃあベティちゃんには後でお願いしておこうか」
「それがいいと思います。それでは、私たちも誰に話を聞くかリストアップしていきましょうか」
「おう」
うなずくと、オレはステラといっしょにリストを作り始めた。
で、それから二、三日して。
オレはステラといっしょに王城へとやってきた。みんなには「今話題の『ベリーバトルカフェ』のお菓子を買ってくる」と伝えてある。実際、さっき店に並んでクッキーやら何やらいろいろ買ったところなんだけど。最近開店したばっかとあって、朝から大行列してたよ。
アンジェラにも話を聞いてみたけれど、やっぱ公式発表以上のことは知らないらしいんだよな。シティギルドの一部に「シャルルがはめられた」って噂が流れてたのは把握してたみたいだけど、その噂は証拠も根拠も全然なくて、ホントにタダの噂話だったみたい。
とはいえ、そんな話をしてもリアは納得しないだろうということで、「だったらもっとくわしいことを知っていそうな人に聞いてみたらいいんじゃないかしら」と、アンジェラは城に行くことを提案した。たしかに、城にならその時の記録とかも残ってるかもしれないしな。
今日はオレもステラも普段着で出かけてる。ステラは髪をおろしてふわふわしたセーターを着てる。いかにも癒し系おねえさんといったルックスだぜ。
「なにかはっきりした記録や証言があればいいですね」
「そうだな、ホントでもウソでも、はっきりしてくれるとこっちもやりやすいんだけど」
そんなことを話しながら、城門を通り抜ける。もうすっかり顔パスだよ、オレたち。
城の入り口には、見慣れた顔が待っていた。
「皆さんこんにちは」
「こんにちは、ウェインさん」
声をかけてきたイケメン貴族に、オレたちはぺこりと一礼する。
「お話はギュスターヴ卿から聞いています。さ、どうぞ」
「ありがとうございます」
「どうもっす」
ウェインさんの勧めにしたがって、オレたちは城へと入っていった。なにか新事実がわかるといいな。
大変お待たせしてしまいました!
メドが立ったので投稿を再開します。
これからもよろしくお願いします!




