3-4 いよいよパーティーらしくなってきたね
報酬の分け方が決まった所で、次のクエストの予定などを打ち合わせていく。
「とりあえず次回はいつにしようか」
「そういやステラはいつ手続きするの?」
「はい、転出届は昨日出してきました」
「早っ!」
「本当は昨日のうちにシティギルドに行ければよかったんですけど……」
「いいよいいよ、そんなに急いでないから」
ひらひらと手を振るリアが、何か思いついたのか大きな声を上げた。
「あ、そうだ!」
「うおっ、なんだよ」
「今日はこの後ステラをギルドに連れて行こうと思ってたんだ。ついでに手続きしてきなよ」
「え、いいんですか?」
「いいのいいの、会わせたいコがいるんだ」
「ちょうどよかったな」
「ありがとうございます……」
もじもじしながらステラがお礼を言う。ああ、やっぱ萌えるわ。
ふと思った事を聞いてみた。
「ステラ、今日はあの鎧(?)じゃないんだな」
オレの問いに、ステラが顔を赤くする。
「あ、あれは……いつも着てるわけじゃありません」
「そりゃそうだよ。ルイ、何考えてんの?」
うっせ! 一応聞いてみただけだよ! てか顔赤くするって事は、ステラもあれはエロいって自覚あるんだな。
「でもよ、あんな鎧だと全然防御できなくないか?」
「あ、それは私も気になってた」
ま、誰でもそう思うよな。密林系ダンジョンならすりキズだらけになりそうだし。
「ああ、あれはですね、神様の加護で守られているので大丈夫なんですよ」
「なるほど、そういう事かぁ」
なるほどって、お前ずい分簡単に飲みこんでくれんな。まあなんだ、つまりあのビキニアーマーにはバリアみたいなモンが張り巡らされてるって事なのかね。リアの隠密ボタンといい、よくわからん所で便利というかなんというか。
……なかなか来ないな、パスタ。
「お待たせいたしました」
「おっ、来た来た」
「おお、うまそうじゃねえか」
「はい、おいしそうです」
テーブルにそれぞれのパスタが並べられる。それにしても、そのトマトソースがオレの食事一週間分ねえ……。どうにも納得いかないな……。
「それじゃさっそく食おうぜ」
「いっただっきまーす」
「いただきます」
さって、と。ずずーっ……。おお、結構うまいぞ。オレ正直外食のパスタってボッタクリだと思ってたんだけど、これはなかなか……。
「んん、おいしいです……」
「さっすがモンベールだね」
女性陣はさすがに絶賛してるな。まあこの世界の食事って基本終わってるし、これは人気あるのもうなずけるわ。
「それにしても、ステラみたいな子に入ってもらえてホントよかったよ」
「そんな、もったいないです」
「いやいや、ステラがいてくれるとマジでありがたいぜ」
仕事も手伝ってくれるし、オレの事も立ててくれるし。なんかリアからの風当たりは強くなった気もするけど。
「詰所でも言ったけどさ、パーティーのバランスがすごく良くなったよね」
「人数が三人になった事もデカいしな」
「一気に戦術の幅が広がったよね」
「そう言っていただけると、ありがたいです……」
顔を赤らめてステラがうつむく。うん、かわいい。
「じゃあさ、バトルの時のフォーメーション考えようよ」
「そうだな。今まで気にした事なかったし」
てか今まではオレは後ろでとにかく歌って、早くリアが敵を倒す事を祈るしかなかったからな。
「ステラって基本頑丈なんだよね?」
「はい、足は遅いですけど打たれ強い方だと思います」
「それじゃあさ、前衛をステラが担当してルイは後衛、私はその間で臨機応変に動く感じでどう?」
「ほう」
「で、基本私はルイを守って、状況に応じてステラを援護するの」
「なるほど、ボランチ的なポジか」
「ぼらんち? ぽじ?」
「守備的な中衛の立ち位置って事だよ」
「なるほど、うん、それ!」
ドンピシャとばかりに、リアがオレを指さす。
「ステラはそれでいいか?」
「はい、私にぴったりな役だと思います」
オレもこれでいいと思う。まあ、言われてみればそれしかないよな。てか、リア結構アタマいいじゃん。オレRPGはレベル上げてゴリ押しプレイしかした事ないから、こういうの弱いんだよな……。もっともこの場では、感心してるなんて様子はおくびにも出さず、偉そうにリアに言う。
「オレもそれでいいぜ」
「おっけー。それじゃこの陣形で戦うって事で! それじゃ次は……」
こうしてパーティーの作戦、ルールなどを打ち合わせていくオレたち。なんか、ホントにパーティーって感じになってきたな。




