表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
197/204

3-6 やっぱ出たよ!





 突如目の前の大地から姿をあらわしたでっかいドラゴン。

 その姿に、オレたちはもちろん、ギュスターヴさんとセーラさんも緊張をあらわにする。

「あ、あれってもしかして……」

「そうです、あれがアースドラゴンです!」

「皆さん、気をつけてください!」

 そりゃ気をつけますよ! みんな武器構えて臨戦態勢だし!

「てか、逃げなくていいんすか?」

「ヘタに逃げようとすれば、背後から攻撃を食らいます! ここは迎え撃ちましょう!」

「りょ、了解っす!」

 へえ、逃げない方が安全なのか! そういや某国民的RPGも逃げる前に防御力アップの魔法や眠り魔法使ってから逃げた方が結果的にHPやMPの節約になるんだよな! あれみたいなもんか!

 ギュスターヴさんがオレたちに指示を飛ばす。

「皆さん、アースドラゴンは局地的な地震を起こすことができます! 足を取られないよう注意してください! それと、時々吐き出したり投げつけたりしてくる岩にも気をつけてください!」

 セーラさんも珍しく声を張り上げる。

「私とギュスターヴさんが前に出ます! ベティさんとリアさんは遠距離から援護して、ステラさんは皆さんをガードしてください! ルイさんには歌をお願いします!」

「りょ、了解です!」

「わかりました!」

「う、うっす!」

 オレも急いで応援歌を歌い始める。これ、さっきの地震がきたら歌い続けるのキツいな!

「わ、わたしたちもしっかり援護しましょう!」

「そ、そだね! 目とかウロコ薄そうなところ狙えばいいんだよね!」

「岩は私が防ぎます!」

 ステラがオレたちの前に仁王立ちする。おお、頼もしいぜ!

 向こうでは、ギュスターヴさんとセーラさんが打ち合わせしてる。

「では、セーラさんが攻撃して、私が防御に回るかたちでいいですね?」

「はい、それでいきましょう」

 そう言うと、二人はアースドラゴンへ向かい猛然と突進する。

 接近を阻止しようとするドラゴンのカギ爪をギュスターヴさんが剣ではじき、セーラさんが近づいて槍を突き出す。おお、最強コンビのコンビネーションだぜ!

 セーラさんの槍はウロコを突き破り、アースドラゴンがものスゴい叫び声を上げる。うおお、まるですぐそばをヘリが飛んでいくかのような爆音だ!

 でも、ちゃんと効くんだな、セーラさんの攻撃! てか、あの土木作業用のデカいドリルみたいなカギ爪を剣ではじき返すギュス様もバケモンだよ!

 その様子に勇気を得たのか、リアとベティちゃんがアースドラゴンに攻撃を加える。

「とりゃああぁっ!」

「せいっ!」

 リアのナイフがドラゴンの鼻に、ベティちゃんが放った矢はドラゴンの左目へと飛んでいく。

 ドラゴンは小うるさそうに首を少し動かしてナイフをはじき、カギ爪を振るって矢をたたき落とす。

 だが、それだけの動作でも最強コンビにとっては十分なスキみたいだ。一気に間合いを詰めると、セーラさんが渾身の突きを放つ。

「はあああぁぁあっ!」

 雄たけびとともに放たれた一撃は、ドラゴンの脇腹へと命中すると、ウロコをぶち破ってそこの肉をごっそりとけずり取る。おお、スゲえ! 直径1メートルくらいの穴が開いたよ! そこから緑色の血液っぽいものがどくどく流れ出てる。

 ドラゴンもたまらず絶叫する。うわあ、フロアが崩れ落ちるんじゃないかってくらい低くてデカい音だ!

 でも、思いっきり効いてるのはたしかだけど、あれだけの大穴開けて血があふれ出してても、まだ当分死にそうにはないように見えるんだよな。なんてったってタンクローリーサイズの巨体だし。

 でもホントスゲえな、あの二人。あんなカギ爪、食らえば即死確実っぽいのに、ギュス様が剣を振るうとそっちの方に流されていくんだもんな。セーラさんの攻撃力は今見た通りだし。

 と、ドラゴンがシッポを地面にたたきつけてきた。その勢いで石やら何やらがいろいろ飛んでくる。うおっ! こっちにまで飛んできたぞ!

「まかせてください!」

 そう叫ぶと、ステラが飛来する石を斧で打ち返していく。おお! さすが! 小石はリアがナイフで払ってくれる。やるじゃん、サンキュー!

 前の二人も、剣と槍で飛び道具を払いながら、押し戻されずにドラゴンのふところに入って戦ってる。やっぱ違うね、トップクラスの人たちは。

 こりゃいける、とオレたちが思い始めた矢先、ドラゴンは今までと違う低くうなるような叫び声を出した。な、なんだなんだ!?

 その瞬間、周囲を再び大きな揺れが襲う。コ、コイツ、意図的に地震を起こせるのかよ!? しかもさっきより揺れがデケえ!

「きゃあああ!?」

「うおっと、とと!」

 ステラとベティちゃんが体勢を崩し、オレも演奏の手が一瞬止まってしまう。

 それと同時に、前の二人のパワーアップ効果も瞬間的に途絶えてしまう。

「くっ!?」

 それまで余裕をもって攻撃を防いでいたギュスターヴさんの剣が、カギ爪で少し宙を泳がされる。セーラさんの踏みこみも、今までより甘いものになる。

 そこへ、アースドラゴンのカギ爪が振り下ろされる! ヤ、ヤバい!

「きゃあああ――っ!?」

 オレのまわりの女の子たちの悲鳴が、洞窟にこだました。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング ←よければぜひクリックして投票お願いします! 『詩人』も参加中です!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ