3-1 今日のクエストはツワモノぞろい!
今日は調査団の特別クエストに行く日だ。
いつものように、マンションのロビーでベティちゃんを待つ。
「セーラさん、今日はよろしくお願いします~」
「はい、こちらこそ」
リアはセーラさんといっしょなのがよっぽどうれしいのか、さっきからずっとべったりセーラさんにくっついてる。
「ステラは今日も二刀流やるのか?」
「はい、今回はこれとこれでやってみたいと思ってます」
そう言いながら、ステラがいつもの大斧と前回使ってた小斧を見せる。おお、破壊力ヤバそうだな。
てか、その大斧を片手で持つの? あんまりあのじいさんみたいにならないでくれよ?
「今日は久しぶりにセーラさんの技を見れそうで楽しみです」
「そ、そんな大したものじゃないです……」
少し恥ずかしそうにセーラさんがうつむく。謙虚だなあ、セーラさんは。
と、マンションの入り口からベティちゃんが入ってきた。
「皆さん、おまたせしました」
「やあベティ、おはよ~」
「おはようございます」
「うっす」
オレたちも口々にベティちゃんにあいさつする。
「ねえアンジェラ、もう一服してからでもいい?」
「ええ、大丈夫よ。約束の時間までにはまだ余裕があるから」
いっしょにお茶していたアンジェラが言う。今日はオレたちを送り出してからギルドに行くんだってさ。結構自由にやってるよな、この人も。
ベティちゃんもカフェでひとつ飲みものを頼み、少し談笑した後、王城へと出発した。
で、アンジェラにあいさつして、オレたちは王城へと向かう。
「そういえば、ベティもうちに引っ越しすることに決めたんだって? アンジェラが言ってたよ」
「ええ、いつまでもお断りしているわけにもいきませんから」
「いつごろ引っ越されるおつもりなんですか?」
「そうですね、早ければ来週にでも」
「おお、そりゃ早いな。オレたちも手伝うぜ」
「ありがとうございます」
ベティちゃんが軽く頭を下げる。そうか、同人本であふれてるから引っ越し渋ってたわけじゃないんだな。
「ベティさんも引っ越してくれば、いよいよパーティーのメンバーがそろいますね」
「あとはニコちゃんが来てくれれば全員そろうね~」
ヤダよ! あんなじいさんが同じ屋根の下にいたら、おちおち便所にもいけねえよ、コワくて!
「それにしても、今日の五十三階というのはどのくらい大変なのでしょうか。わたしの弓は使えるらしいですが……」
「セーラさん、どんなところかご存じですか?」
「はい、五十二階までとは比べものにならないほど強い敵が出てきます」
「マジで!?」
オレとリアが叫ぶ。ウソだろ!? セーラさんが強いっていうくらいだから、ホントに強いんだろ、それ!
「でも、皆さんの力なら心配はないと思います。私とギュスターヴさんもついていますし」
「そ、そうっすよね。あー、ビックリした」
「でも、油断はできませんね。私もがんばります」
ステラがこぶしをかわいく握る。おお、頼もしいね。
「今日は終わったらどの店に入ろうね、モンベール? スタバ?」
大通りをきょろきょろしながら、リアがそんなことをつぶやく。こいつ、もう終わった後のことを考えてるのかよ。てか、今回はギュス様も打ち上げにくるのかな?
そんなことを考えながら、オレたちは大通りを進む。
で、王城。
顔見知りの門番さんに通してもらい、城の前まで行くと、よく見知ったイケメンの姿が。
「皆さん、お待ちしてました」
「ギュスターヴさん、おはようございます~」
ギュス様のさわやかスマイルに、リアがはいは~いと手をあげてあいさつする。オレたちもそれに続いた。
「てか、外で待ってなくても大丈夫っすよギュス様」
「ははは、皆さんといっしょにクエストができるとあって、ついはりきってしまいました」
「私たちもギュスターヴさんといっしょにクエストできてうれしいです~」
リアがデレデレしながら言う。こいつ、いくら相手がイケメンだからって媚び売りすぎだろ。
扉を開くと、ギュス様がオレたちを案内してくれる。
「さあ、皆さんこちらです。行きましょう」
「うっす」
「ありがとうございます~」
「よろしくお願いいたします」
マント姿がりりしいギュス様の後に続き、オレたちも城へと入った。
この前おじゃましたゲートの部屋へと入ると、なんにもない部屋にゲートだけが三対ある。
「では皆さん、右側のゲートに乗ってください」
ギュス様がうながす。おお、ついにそっちを使うのか。今までもちょこちょこ城のクエスト受けてたけど、まんなかの四十六階行きばっかだったからな。
「よっしゃ、そんじゃ今日もいっちょがんばるか!」
「そうですね、がんばりましょう」
ステラが乗ってくる。今日はノリいいね、ステラさん。ギュス様、セーラさんと強い人がいっしょにいてテンション上がってるのかな?
よーし、オレも負けてられないな、リーダーとして。今日はマジでがんばるぜ!




