表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/204

2-15 やっぱメイドってスゴいのか!?




 マリ様とお茶会を楽しむオレたち。

 それはいいんだけど、さっきからセーラさんがチラチラとメイドのハルミさんの方を見てるんだよな……。

 ちょっと気になったので、思い切って聞いてみた。

「セーラさん、何か気になることでもありました?」

「え? ああ、すいません。その、そちらの方がただ者ではないように感じられたもので……」

「よくぞ気づいてくれました!」

 わっ! 遠慮ぎみに言うセーラさんに、王様が待ってましたと言わんばかりに食いついた!

「こちらのハルミさんは、ただのメイドさんではなく、職業がメイドというスーパーメイドなのです!」

 は、はあ……。なんかメイドメイド連呼されて、わけわからんな……。てか、フツーのメイドさんだって職業はメイドなんじゃねーの?

 そんなオレの疑問をよそに、王様はゴキゲンにしゃべり続ける。

「ハルミさんがメイドになったのっていつだっけ? ヨシエさんの修業は厳しかったでしょ?」

「はい、それはもう」

 はて? またわからん名前が出てきたな。誰だっけ?

「王様、そのヨシエさんってのは誰のことっすか?」

「あー、そっか、みんなは知らないよね。ヨシエさんっていうのは、ハルミさんの前にメイドだった人のことだよー!」

「へー」

 なんの意外性もない答えに、つい気のない返事をする。ま、そりゃそうだよな。

 そんなオレを気にすることもなく、王様が話を続ける。

「ハルミさんももうすっかり一人前になったよねー。そろそろ全盛期のヨシエさんに近づいてきたんじゃない?」

「いえ、私などまだまだです」

 ハルミさんがひかえめに返事する。うーん、前は王様の妄想かと思ってたんだけど、セーラさんがこう言うってことは、やっぱりハルミさんってスゴい人なんだろうか。

 王様が遠い目になる。

「あー、思い出すなあ。昔は僕とニコちゃん、ヨシエさんたちでよく冒険したものだよー」

「へー」

 もしホントにメイドが強いんなら、王様のお守りくらいニコちゃんとヨシエさんだけでどうにでもなるんだろうな。前、ハルミさんは『剣聖』レナードと同じくらい強いとか王様言ってたし。

「ダンジョンの奥に一番深くもぐったのも僕らなんだよー! 危険だから、五十七階の扉は僕らが封印してきたんだよねー」

「はいはい、スゴいスゴい」

 雑に王様をあしらうも、全然めげる気配はない。

「まー、でも僕らから見れば、ケンちゃんなんかは秘蔵っ子みたいなものだしねー」

「ケンちゃん?」

 って、拳王サマのことかよ! そういやそうだった!

「ケンちゃんは小さいころから僕らがめんどうみてきたからねー。今でもSランク最強なんじゃないかな?」

 そりゃあのじいさんと修行してればバケモノじみた強さにもなるわ! なるほど、だからあんなに強いのね。

「ハルミさんも強いけど、ケンちゃんは僕ら全員の手ほどきを受けてるからね! 多分ハルミさんより強いはずだよ!」

「私などまだまだです」

 真顔で答えてるけど、やっぱハルミさんって強いのかな。それとも王様のホラにつきあってやってるだけ?

 ステラが少し残念そうな顔をする。

「でも、残念ですね。それほどのお方なのに、今は行方不明だなんて」

 ホントだよな。重要人物っぽいのにどんだけ自由なんだよ。まあ、オレのこといつもオーラで監視してるらしいし、王都に住んではいるんだろうけど……。

 と、王様が不思議そうに言った。

「え? ケンちゃんならいるじゃない。いつもみんなの……むががが!」

「陛下、少し肩がこってらっしゃるのではないですか?」

 なんか言おうとした王様を、ハルミさんが目にも止まらぬ速さで後ろを取ってヘッドロックする。ちょ、王様みるみる真っ青になっていくんだけど!? なんかミシミシ変な音鳴ってるし!

「ハルミさん、ぎぶ、ぎぶ……」

 ハルミさんの細い腕をぺしぺし叩きながら王様が訴える。うん、そろそろ放してあげないと、王様が次の代に交代しちゃいそうだ。

「でも、そんなにお強いお方なら、私もぜひお会いしたいです。セーラさんもそう思いますよね?」

「はい、もちろんです。シティギルドの創設者でもありますし」

「私もぜひ一度、お手合わせ願いたいものですね」

 ああ、ステラにセーラさん、そしてギュス様の武人トリオが興味津々だな。ま、気持ちはわからんでもないけど。

 でも、一度会ったけど、あれはバケモンだぞ? オーラだけで敵倒すし。

「うーん、ケンちゃんはなかなか人に会いたがらないからねー。僕もセッティングは難しいんだー」

 首をさすりながら王様が言う。あ、生きてたのね。

 てか、王様ですら話つけるのが難しいのかよ。ホント何者なんだよ、拳王サマ。

「最近フサエさんは元気なのかなー? また遊びに来てくれないかなー」

「なかなか難しいでしょう。あの方は拳王様やニコラウス様同様、気ままな方ですから。いったい今ごろはどこを旅しておられることやら」

 そいつはまた自由だなオイ! そういやじいさんもつい最近まで世界をブラついてたんだっけか。

 そう考えると、城にちゃんと留まってる王様は案外マジメなのか……?

「陛下も若いころはお城を飛び出してばかりだったそうですね。先王陛下やフサエ様もずいぶんとお困りだったとか」

「てへ☆」

 アンタもかよ! 一瞬見直して損したわ!

「でも、僕が夜な夜なママにアタックしてたから今の王国があるんだよー。それがなきゃ、マリちゃんだって今こうしてここにはいなかったんだから」

 あ、それは困る! 王様、ナイス夜這い! うーん、人生何がきっかけになるかわからんもんだねえ……。




 その後も王様の脱線を交えつつ、しばらくしてお茶会は無事終了した。ふー、マリ様に新曲気に入ってもらえて、ホントよかったぜ……。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング ←よければぜひクリックして投票お願いします! 『詩人』も参加中です!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ