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2-1 ダンジョンの、さらに奥へ!



「おはようございます」

「おう、おはよ」

「おはよ、ベティ。今日もがんばろうね~」

「とりあえずお茶でもどうですか?」

 朝、マンションに顔を出したベティちゃんに、一階カフェでくつろいでいたオレたちが声をかける。

「そうですね、では一杯いただきます」

 そう言って、ベティちゃんはカフェのカウンターに向かう。

 うーん、やっぱ元気ないな。この前じいさんが来た時はスゴいテンション上がってたけど、やっぱ悩みでもあるのかなぁ……。

 カフェで軽くお茶した後、オレたちはギルドへと向かった。



 ギルドに入り、いつものように受付へと向かう。

 今日は四人で光りゴケってコケを集めるクエストらしい。暗いところでも光るとか、確かに便利そうなコケだな。やっぱ明かりにでも使うのかね?

 受付に行くと、アンジェラが待っていた。

「来たわね。今回は五十二階で暗いから、ランプを渡しておくわね」

「おう、サンキュー」

 アンジェラからランプを二つ借りると、オレとリアで持つことにする。

「気をつけるのよ、光りゴケ以外のコケも多くてすべりやすいところだから。岩だらけだから、転んでケガしないようにね」

「オッケーオッケー、そんなどんくさいのルイくらいしかいないから大丈夫だよ」

「ほっとけ!」

 オレがリアをニラんでいると、マントを脱いだステラが少し不安そうにつぶやく。

「でも、大丈夫でしょうか……。五十二階ははじめてですし、今日は私たち四人だけですし……」

「大丈夫だって。私らだって結構強くなったしさ~」

「でも、せまいダンジョンですとわたしの弓はあまり役に立たないかもしれません」

「へーきへーき、せまくて暗いダンジョンは盗賊の得意ジャンルだし」

 得意げな顔でリアが言う。

「ホントだよ、性格暗くて心がせまいお前にぴったりだぜ」

「ルイ、後で楽しみにしててね」

 リアが無理やり笑顔を作ってオレをニラむ。ああ、きっと後で殺されるな、オレ……。

 その様子に苦笑しながら、アンジェラが助言してくれる。

「五十二階はシャドウに気をつけるのよ。名前の通り影のモンスターだから、目で確認するのはなかなか大変よ」

「それならこの私にまっかせなさーい! 盗賊は気配察知スキルがあるから、そいつの気配も察知できるしね」

「気配がわかっても、ステラやベティちゃんの目に見えないんじゃしょうがなくね?」

「うるさいなあ、だったら私が倒せばいいだけの話でしょ」

 リアが人さし指でオレの二の腕をぐりぐりしてくる。やめて、地味に超痛い。

「それとオバケきのこにも気をつけてね。毒や麻痺とか、いろいろやっかいな特殊攻撃を持ったものが多いから」

 へえ、オバケきのこか。オレはここぞとばかりにリアに言う。

「リア、オバケだってよ。怖くないのかよ」

「何言ってんの? きのこでしょ? 怖いわけないじゃん」

 くっ、バカじゃないの? って目でオレをニラんでくる。くそ、逆効果だったか。

「あとは、とにかくせまくて暗くて戦いにくい場所だから、お互いしっかり声をかけ合うのよ。足もすべるから、いつもの調子で戦わないようにね?」

「りょーかーい。ま、その辺は本当に気をつけるから安心してよ」

「そうですね。私も今日はショートアクスとハンドアクスにしてますし」

 ああ、そうか。だから今日は小さい斧なのね。以前石像と戦った時は大斧ですごく戦いにくそうだったもんな、ステラ。

「てかステラ、なんで斧二つ持ってきてるんだ?」

「はい、洞窟の広さに応じて使い分けるつもりなんですが、もしできれば二刀流をためしてみたいと思いまして」

「二刀流!?」

 斧での二刀流か! うわあ、なんかスゲえ凶悪な感じだな。それをビキニアーマーのステラがやるってのが、またギャップ激しくておっかないし。

「それじゃ、そろそろ行ってくるね~」

「ええ、いってらっしゃい。無理はするんじゃないわよ?」

「ああ、わかったよ」

 うなずくと、オレたちは五十一階行きのゲートへと向かった。



 他のゲートからは隔離されたような場所にある、禁断の五十一階行きのゲートへと向かうオレたち。

 少し歩くと、例の禍々しい雰囲気の扉が見えてくる。

「なんだかんだで、ここにも慣れてきたよね~」

「まあ、もう十回くらい使ってるしな」

「私たちも成長したということですね」

「だよね~」

 そう笑いながら扉を開き、魔法陣の上に乗る。


 転移先の詰所で調査隊の人やシティギルドのエース、大剣のベンさんにあいさつして、オレたちは五十二階行きの階段へと向かった。

「でも、ホントスゴいよね~。五十二階なんて、それこそベンさんのパーティーや調査隊の選抜メンバークラスじゃなきゃいけないような場所なのにさ」

「そうですね、セーラさんもよく道案内を頼まれると言ってました」

「ね~。そんな難所を私たちだけで行くってんだから。報酬もすっごいしね」

「この入れもの一つ分で3000リルだもんな。一か月ずっとモンベールで飲み食いできそうな金額だよな」

「私たちへの報酬がそれなんだもん、どーりで光りゴケ使ったグッズが高いわけだよ」

 とか言ってる間に、リアが近づいてきた黒死蝶をナイフで一突きする。はじめあんだけビビってたモンスターも、今じゃこの調子だもんな。


 やがて五十二階への階段が見えてくる。よーし、今日は新しいフロアでいっちょがんばるか!




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