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1-7 じいさん、レベルいくつだよ!





 さて、目的地の四十九階に到着したオレたちは、ごつごつした岩場で石集めをしていた。

「ほれ、ここにもありそうじゃぞい!」

 そう言うや、じいさんが手にした武器で壁をぶっ叩く。おい! 危ねえだろ! 洞窟が崩れたらどうすんだよ!

「あー、あったあった~。ニコちゃんすご~い」

 リアの奴も、もうじいさんになじみ始めてるし……。てか、みんななんでそんなに適応能力高いんだよ……。

「ほら、石取り出したからルイ持って」

「へいへい」

 リアが岩から取り出した黒っぽい石を受け取ると、オレはそれを袋に詰める。

「今ので袋いっぱいになったぜ」

「じゃあこれで終わりだね、帰ろっか~」

「そうですね」

「ニコちゃんのおかげで、思ったより早く終わりましたね」

「がはは、力仕事ならまかせとけい!」

 じいさんが得意げに笑う。まあ、確かにじいさんがいればオレの負担も減って助かるけどな。


 で、ギルドへと戻りながら、オレたちはあれこれ雑談する。

「ニコちゃん、これからもパーティーに参加してくれるの?」

「おう、もちろんじゃ。もっとも、この国に戻ってきてからわしもいろいろ仕事を押しつけられてるんでの。たまにしか参加できなさそうじゃわい」

「そうなんですか。では、ギュスターヴさんやセーラさんと同じような形になりそうですね」

「でも、ニコちゃんがいらっしゃる時はステラさんやリアさんの負担がずいぶんと軽くなるでしょうね」

「そうだよな。てか、その三人がそろったら超最強じゃね?」

「だよね~。私たちの出番がなくなっちゃうよ」

 オレ的にはその方が安心できていいけどな。

 しっかし、じいさんのあの武器、いったいどんだけの血を吸ってるんだよ……。さっきもレッサードラゴン二体出た時に、じいさんその一方を一撃で撲殺してたしな……。


 で、無事ギルドへと到着。受付につくと、アンジェラが声をかけてくる。

「みんな、おつかれさま。仕事の方はどうだったかしら?」

「うん、全然平気~。ニコちゃんも強いしね」

「さすがお師様ね。それじゃ依頼の品をちょうだい」

「はいよ」

 いつものように品物をチェックすると、ついでにレベルのチェックもやっていく。おお、オレ一つレベルアップして54だぜ。リアが51、ステラが52、ベティちゃんもあとちょっとで51になりそうだ。

「でも、セーラさんはスゴかったよな。この前レベルはかった時はビビったよな」

「レベル58だっけ? スゴいよね~」

「私たちも負けてはいられませんね」

「噂によれば、ギュスターヴさんはレベル60なのだそうですよ」

「高っ! マジで!?」

「それホント、ベティ!? レベル60なんて人間じゃないよ~」

 オレたちがそんな話をしていると、アンジェラがじいさんに話しかける。

「お師様、お師様もチェックしていきます? 久しぶりでしょう?」

「おお、そうじゃな。どれどれ、それじゃ一つ頼むかの」

 そう言ってじいさんが腕輪を受け取る。このじいさんもレベル60くらいあんじゃねーの?

 さっきまでオレらが使ってた腕輪を、じいさんが丸太みたいな腕にはめる。

 と、腕輪がものスゴい勢いで輝き始める! うおおっ!? まぶしくて目がイテぇ!

 あっという間に全ての珠が点灯し、目がなれてきたオレとリアはあんぐりと口を開きながら、呆然とじいさんの腕輪をみつめる。

 アンジェラが感心したように言う。

「さすがお師様、まだまだレベル61は割りそうにないですね」

「いやいや、身体の節々がずいぶん弱ってきてるからの。年には勝てんわい」

 どこがだよ! 老いなんてみじんも感じねーっつの! てか、少なくともレベル61以上なのかよこのジジイ! ギュス様よりレベル上とか、どんだけバケモンなんだよ!

「これより上の腕輪はないのかの?」

「すみません、うちのギルドには置いてないんです」

「しかたないのう、今度アンちゃんと会った時にでも借りようかの」

 腕輪をアンジェラに返しながら、じいさんが残念そうにつぶやく。いや、別にいいだろ、61以上あるんだから。

「あ、そういやじい……ニコちゃんってSランクじゃねーの? レベル61以上なんだろ?」

「いえ、Sランクはレベルとは関係ありませんから。巫女様からのお告げはなかったと聞いています」

「でもさステラ、その巫女様がナイショにすればわかんないんじゃないのか? なんかウラミがあるとかさ」

「巫女様がですか? そんなことはないと思うんですが……」

「ルイ、あんたバカなんじゃないの? 巫女様がそんなことするわけないじゃん、あんたじゃないんだから」

「そうです、巫女様や猊下……ニコちゃんを愚弄するにもほどがあります」

 わ、悪かったよ! ベティちゃん、そんなコワい顔でニラまないで!

 まあまあ、とじいさんがなだめながら言う。

「うらみか……。今の嬢ちゃんは子供のころに少し厳しくけいこをつけてやったことがあったからの、ひょっとしたらそれを根に持ってるのかもしれんの」

「マジで!?」

 嬢ちゃんって、巫女様のことだろ!? マジかよこのじいさん、そんなエラいお方まで弟子なのかよ!

 リアたちも口々に驚きの声を上げると、「でもまさか、巫女様がそんな……」ってとまどってる。

 そんなオレたちを見て、じいさんが笑った。

「がっはは! 冗談じゃ冗談! 巫女たる者、そんなセコいことは考えんわい!」

「そ、そうですよね、よかったぁ……」

 まぎらわしいんだよ! アンタそれなりにエラい人らしいから、オレはともかくこいつらは間に受けちゃうんだよ!

 そんなことなど気にとめる様子もなく、じいさんは大声を上げる。

「じゃあわしはこのへんで帰らせてもらうとするかの! 今日は楽しかったしの、また次もよろしくお願いするぞい!」

「うっす、おつかれっす」

「ニコちゃんおつかれさま~。またよろしくね~」

「今日はありがとうございました、またよろしくお願いします」

「わたしもごいっしょさせていただき光栄です。ぜひまたよろしくお願いいたします」

「おう、わしも楽しみにしとるぞい! それじゃあの!」

 そう言って笑うと、じいさんはのっしのっしとその場を立ち去っていった。

 その後ろ姿を見送ると、オレたちはふぃ~とため息をついた。

「スゴかったね~、ニコちゃん」

「ですね。私も前衛職として負けていられません」

「まさか伝説の聖人ニコラウス猊下にお会いできるとは、夢にも思いませんでした。そのお力も列伝に記された通りでしたね」

「てゆーか、それ以上だったよね~。あのお話、盛ってるどころかむしろひかえめに書いてたんだね」

 ま、そうだよな。あの通り書いてたら子供チビって泣くもん。あちこちに肉片飛び散るし、敵はミンチになっちゃうし。

 それにしても、ホントどんどんヤバい人が集まってくるな、うちのパーティー……。まあ、王様に目をつけられたのが運のつきだよな……。

 ところで、王様にさえタメ口だったあのアンジェラが、じいさんにだけはずっと敬語でしゃべってたな……。「お師様」って、いったいなんの師匠だったんだろ……?




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