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1-3 今日はニコちゃんと顔合わせ!




「はじめまして、君がニコちゃんかな?」

「は、はい、はじめまして! あたしがニコです!」

 オレがクールに声をかけると、目の前の小さな童顔少女はやや舌足らずな口調で答えた。ウヒョーっ、カワいい!

 くりくりの大きな瞳を大きく見開きながら、ニコちゃんはオレの顔を見上げてきた。

「あの、あたし、ずっとルイさんにあこがれていたんです。だから、こうしていっしょにクエストできてすごく嬉しいです」

「ああ、オレも嬉しいぜ」

「ルイさん……」

 瞳をうるうるさせながら、ニコちゃんが恥ずかしそうにつぶやいた。

「ルイさん……好き」

「うっひょー!」

 たまらずオレはニコちゃんに飛びついた! 好き! 好き! オレも好き!






「ダメだぜニコちゃん、こんなところで、ぐへ、ぐへ、ぐへへ……」

「……ルイ、マジでキモい……」

 うっせえなリア。今いいところなんだからジャマすんなよ。

「まったく、これだからまな板女はよ……」

「うっさい! 早く起きろ!」

「ぐはぁ!?」

 腹部に走った激痛に、オレはベッドから跳ね起きる! ん? ベッド……?

 腹を押さえながら身体を起こすと、そこにはゴミでも見るかのような目をしたリアが仁王立ちしていた。あれ、じゃあ今のは夢?

「あんた、朝からどんな夢見てたのさ……」

「うっせ、お前のせいでさめちまったじゃねーか! てか、なんでお前オレの部屋にいるんだよ!」

「何さー、今日はクエストだってのに、あんたなかなか下りてこないからわざわざ私が起こしに来てあげたんじゃない」

 カギかけてただろ! と言いかけて、こいつが盗賊だったことを思いだす。そうか、開錠スキルか。こいつ、他人ひとの家に入りホーダイじゃねーか!

「じゃあ私、下でステラとお茶してるから。さっさと着替えてベティが来る前に下りてきなよ~」

 そう言うと、リアはさっさと部屋から出ていった。くっそ、あともう少しでいいところだったのによ……。

 ああ、でもカワいいコだといいな、ニコちゃん。






 で、支度も終えてベティちゃんと合流したオレたちは、家を出てギルドへと向かう。

「悪いなベティちゃん、いない間に勝手に決めちゃって」

「別に構いません。前の打ち合わせの時に聞きましたし、陛下じきじきのご推薦とあれば断る理由などありません」

 よかった、ベティちゃん、今日はいつもの調子だ。あんまりしょぼくれてる姿は似合わないぜ。

 ギルドに入ると、オレたちよりちょっと早く家を出ていたアンジェラが迎えてくれた。そのまま受付の前でしばらく待つ。

 なんでも、ニコちゃんについてはアンジェラも何も聞かされてないそうだ。受付が知らないとか、そんなことってあるの?

 まあ、アンジェラは「どうせあの王様のことだから、私たちを驚かせようとでも思っているんでしょう」とか言ってたけど。

「どんな人かな~」

「王様はかわいらしい方とおっしゃってましたね」

「腕ききの僧兵なら、これほど心強いものはありませんね」

 三人がわいわいとニコちゃんの話をする。それはいいんだけど、なんかオレを入れてくれそうな気配がない。おーい、オレもまぜてくれよー。

 そんなビミョーに居心地悪い状況が続いてたんだけど。

 しばらくして、入り口の方が少し騒がしくなった。

 何かと思ってそちらを見れば、なんだかガタイのいいじいさんがあたりをキョロキョロ見回しながらギルドの中へと入ってくる。

「ほうほう、これがギルドか。リッパなもんじゃのう」

 そんなことを言いながらずかずか入ってくるじいさんは、坊さんというか小僧が着てそうな、あんまリッパじゃない服を着ている。頭は見事につるっぱげ、そして着ている服とは対照的にリッパな口ヒゲとあごヒゲをたくわえている。坊さんの服ってことは、このじいさん僧兵かなんかなのかな?

 と、受付の奥に何か取りにいっていたアンジェラが戻ってきた。

「何々、騒がしいわね。また王様でも来たの……ぶっ!?」

 じいさんの姿を見るや、アンジェラが吹き出してそのまま苦しそうにせきこむ。ど、どうしたアンジェラ!?

 なんとか顔を上げたアンジェラが、じいさんに向かってやや震える声でつぶやく。

「お、お師様……?」

「おお、お主、こんなところにいたのか」

 王様を彷彿とさせる大声でそう言うと、じいさんはこちらへ向かってずかずかとやってきた。てかアンジェラ、このじいさんと知り合いなの?

 目の前に立ったじいさんは、間近で見ると思ったよりさらにデカかった。これ、190センチ近くないか? それ以上に、肩幅がデカくて服の上からでも逆三角形に筋肉つきまくってるのがわかる。コ、コエえ……。

 そのじいさんが、あぜんとしてるオレたちの顔を見回しながらデカい声で言う。

「ほうほう、ということは、お主らがうわさのルイ一行あらため『夜明けの詩』か! なかなかキャピキャピしたおなごが集まっとるのう!」

「あ、あの~、オレたちになんか用っすか……?」

 じいさんの巨躯に気圧されながらも、オレはなんとか声をしぼりだす。

「用? 用も何も、わしゃこうしてアンちゃんの頼みでここに来たんだぞい」

 いやいや、アンちゃんって誰だよ! アンジェラのこと? そんなことより、オレたちはこれからニコちゃんに会う約束してるんだっての。

 謎のじいさんの登場に困惑するオレたち。と、オレたちに負けず劣らず困惑した様子のアンジェラがじいさんに問いかけた。

「ま、まさか、お師様が……?」

「おうよ! 不肖ニコラウス、『夜明けの詩』に加勢すべく今こうして参上したぞい!」

「え、え――――っ!?」

 じいさんの言葉に、オレたちと、そしてアンジェラの叫び声がこだました。





展開はともかく、まさかニコちゃんの名前まで感想で当てられてしまうとは思いませんでした(笑)。


そんなわけで、今年もルイ一行をよろしくお願いします!



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