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1-2 マジで来たよ、ハーレムの波!





「それじゃ、みんなおつかれさまー!」

 ビールのジョッキを手に取るや、我先にと王様が乾杯の音頭を取る。

 ぐびーっとジョッキをあおると、王様はゴキゲンな様子で声を上げた。

「くーっ、ウマい! 酒場のビールは最高だね!」

「あの、それはいいんすけど王様、オレらに用事あるんすよね?」

「あーそうだったそうだった! 皆さんに朗報だよ!」

 ビールイッキして気分がよくなったらしい王様が、もう一杯注文する。

「皆さん、今度新しいメンバーが増えまーす!」

「え?」

 互いの顔を見合わせるオレたち。それには構わず王様が続ける。

「ルイ君のところはセルヴェリアちゃんも入って人数増えてきたけど、今回は僕の推薦でーす!」

「えー……」

 得意げに言い放つ王様に、オレは思わず素のリアクションをしてしまう。なんかすげーヤな予感しかしないんだけど……。

「今まで修行ってことで各地を旅していたんだけど、最近王都に戻ってきたからスカウトしたんだ! 次のクエストに参加してくれるように頼んでおいたけど、みんないいよね?」

「え? ま、まあいいっすけど……」

 いや、王様の推薦だから、無下にはできないけどさあ……。

 困惑ぎみのオレらに配慮したのか、王様が言葉を続ける。

「もちろんみんながイヤなら断ってもいいからさ! 一度会ってあげてよ!」

「いや、イヤってことはないっすけど……」

「それに、みんなもきっと気に入ってくれるはずだよ? ニコちゃんはとってもいいコだから!」

 王様の言葉に、オレは思わずピクリと反応する。

「王様、今なんて言いました?」

「うん? ニコちゃんのこと? さっき言った通りだよ、ニコちゃんはとってもカワいくてプリティーなコだから、みんななかよくしてあげてね!」

 うおお、マジか! それを先に言ってくれよ、王様!

 こないだセーラさんがうちに入ってくれたばっかだってのに、なんかどんどん美人が増えてくな! ニコちゃんか、どんなコなんだろ? パーティーバランス的にはそろそろロリ系がほしいかな? やった、オレハーレム街道まっしぐらだぜ!

「いいっすね王様! もちウェルカム、大歓迎っすよ!」

「ホント? やったー!」

 急に態度が変わったオレに、リアとステラが厳しい視線を向けてくる。な、なんだよ、別にいいだろ。パーティーも強くなるんだし。

 ステラが王様に聞く。

「そのニコさんという方は、冒険者としてはどのような方なのですか?」

「よくぞ聞いてくれました! ニコちゃんは腕ききの僧兵だよ! もちろん強さは折り紙つき! ルイ君のパーティーは僧兵がいないしさ、ちょうどいいでしょ?」

「腕ききの僧兵、ですか……」

「それは確かにありがたいね……」

 ステラとリアも、それは捨てがたいといった感じで考えこむ。お、やった! どうやらこれで障害はなくなったっぽいぜ! ベティちゃんなら王様の言うことは素直に聞きそうだし!

 オレもここでもう一押しする。

「な? 王様のお墨つきだし、ここは一ついっしょにクエストしてみようぜ! 決めるのはそれからでも遅くないって!」

「まあ、そうなんだけどさ……」

 不満そうにつぶやくと、リアがオレをニラんでくる。

「な、なんだよ」

「アンタの態度が、なんだかすっごい腹立つんだよね……」

「なんだよそれ、強力な助っ人が入るかもってのに、喜ばない方がどうかしてるだろ」

「だってあんた、最初スゴい渋ってたじゃん。ニコちゃんがかわいいって聞いたとたん態度急変させちゃってさー」

「そ、そんなことはないぜ?」

「ルイさー、かわいいコが入りそうだからって、ちょっと喜びすぎじゃない?」

「そ、そんなことは……」

「私もリアさんの意見に同意です」

「ぐっ!?」

 ま、まさかステラまで!? 二人とも、実は結構怒ってる? リアはともかく、ステラさんの機嫌を損ねちまったのはマズいかな?

 二人の冷たい視線を浴びながら、それでもオレはごまかすかのように大声を上げる。

「と、とにかく! せっかくの王様の推薦なんだし、まずはいっしょにクエストしてみようぜ!」

「それはもちろんそうするけどさー」

「ルイさんには、もう少し女心というものを学んでいただきたいです」

「まーまーみんな! そんなに怒らないであげてよ! 今日は僕のおごりだからさ! みんな好きなものどんどん頼んでよー!」

 オレたちの間に割って入るようにそう言うと、王様が大声で店員に注文を追加する。オレに助け船出してくれたのか? いや、この人のことだから、単に飲み食いするのが待ちきれなかったんだろうな。

 リアとステラも、さすがに王様をほったらかしにするわけにもいかないと思ったのか壁のメニューに目をやる。

「そ、それじゃ私は焼き鳥を……」

「では私は山菜の煮物をお願いします」

「オッケーオッケー! この王様にどーんとまかせなさーい!」

 手をあげてさらに追加注文する王様を横目に、オレはハルミさんに聞いてみる。あ、あんま話したことないからちょっと緊張するな……。

「あ、あの、王様ってこういうところだとやっぱタダで飲み食いできるんすか?」

「まさか。ちゃんとお支払いしますよ。今はおしのびですし、そうでなくとも私たちがきちんと消費することで経済は健全に回っていきますから。経済政策は即位以来陛下がもっともお力を注がれている分野ですし」

「は、はあ……」

 ヤバい、経済とかマジわかんねえや。ま、ちゃんと支払ってくれるのはお店の人にとっちゃありがたいね……。

 でも、このノリはどう見てもおしのびって感じじゃないけどな……。

 まあ、でも何はともあれ、また新しい仲間が増えそうだな。ニコちゃんか、うへへ、どんなコなのかなー。カワいいロリっ娘ならオレ大歓迎だなー。ついに来たか? 夢にまで見たオレのハーレムルート! ヤバい、今から期待が止まらないぜ!




今年はこれが本編最後の投稿になります。


できれば今年は31日に年末のカウントダウン的なごくごく短いお話を投稿したいと思っています。間に合わなかったらごめんなさい(笑)。


それでは皆さん、よいお年を。

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