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4-10 五十階の敵に挑戦!




 五十一階のゲートから、オレたちはお目当ての五十階へと向かう。

「ここ、危ない蝶が出るところだよね……」

 リアが薄暗い洞窟を見回しながらおびえたように言う。

「大丈夫です。その時は私が倒しますから」

「あ、もしかして、この前の時もオレたちのために倒してくれてたんすか?」

「はい。おケガなどあってはいけませんから」

「そうだったんすか。ありがとうございます」

「ありがとうございます」

 ああ、やっぱそうだったんだ。メチャいい人じゃん、セルヴェリアさん。後はその、もうちょ~っとだけ表情がやわらかくなってくれれば言うことナシなんだけど……。


 幸い例のヤバい毒チョウチョに刺されることもなく、オレたちは五十階へと到着した。

「ここが五十階ですか……。天井が高いですね……」

「それに、ずいぶんと明るいんですね。これならわたしの弓も存分に生かせるというものです」

 五十階初挑戦の二人が、もの珍しそうにあたりを見回す。この二人は結構やる気だからなあ……。

 見晴らしのいい草原エリアをぐるりと見渡すと、セルヴェリアさんがリアに声をかける。

「リアさん、この前のように索敵をお願いできますか?」

「へっ!? は、はい! ただいま!」

 あわててしゃがむと、リアが足首のわっかのスイッチを押した。ホント便利だなそれ。

「あ、あっちの方に何匹かいるみたいです!」

「ありがとうございます。それでは皆さん、あちらへ向かいましょう」

「はい!」

 セルヴェリアさんの声に、ステラが元気よく返事する。オレとリアも、「お~っ……」と力なく拳を上げた。


 で、右側に見えてた林の向こうに出てみると、デカい鬼みたいなモンスターと空を飛ぶ恐竜みたいなヤツがいた。オーガとワイバーンか。前回はセルヴェリアさんがほとんど一人で片づけてたけど、今回はオレたちだけでやるのか……。だ、大丈夫かな……。

 武器を構えるオレたちに、セルヴェリアさんが指示を出してくる。

「では、ルイさんは歌をお願いします」

「うっす!」

「ベティさんは、あの右側のワイバーンを狙ってもらえますか?」

「はい、おまかせください」

「ステラさんは、私といっしょにオーガと戦ってみましょう」

「はい!」

 セルヴェリアさんの的確な指示に、オレたちもテキパキと動く。おお、なんかパーティーっぽい……!

「あ、あの~、私はどうすれば……?」

「リアさんは、この前のようにナイフで攻撃してみてください」

「は、はい!」

 ナイフを投げるジェスチャーをするセルヴェリアさんに、リアがあわてて懐からナイフを取り出す。

「では……いきます!」

 弓を構えたベティちゃんが、キリキリと音がしそうなくらい張り詰めた弦をパッと離した。

 すると、放たれた矢がものスゴい勢いでうなりを上げ、見事にワイバーンの心臓のあたりをブチ破った! ス、スゲえ!

 そしてリアが負けじと投げたナイフも、ワイバーンの脇腹や脚のあたりに当たってきっちりダメージを与えているみたいだ。

 視線を下に落とせば、ステラがオーガに斧を振り下ろして分厚い胸板を切り裂いている。おお、オレたちだけでも全然イケんじゃん! ま、他のオーガはセルヴェリアさんが一人で抑えてくれてるんだけど。

 今日はベティちゃんがいるおかげもあって、空の敵もサクサク減っていく。スゲえなこのパーティー、メチャ強いじゃん!

 ワイバーンが片づいたところで、セルヴェリアさんが新たな指示を出した。

「素晴らしいです。皆さん、それではこちらのオーガたちを自分たちの力で倒してみてください」

 サラッと言ってくれるな、この人も! ステラがタイマンで二体倒したけど、残りの三体をオレたちだけで倒すってのも大変だぞ?

「では、私とリアさんで食い止めて、ベティさんがダメージを与えていきましょう」

「そうだね、じゃあステラがメインで私がサブね」

「わかりました。ではいきましょう」

 作戦が決まると、リアがステラのサポートに駆け出す。おお、二人だけであの大鬼たちの攻撃をちゃんとさばいてるよ。なんか丸太みたいなの振り回してるけど、ステラが斧でうまいこと受け流してる。

 と、戦ってる二人の間を縫うように、ベティちゃんの矢がオーガの右太ももにヒットした! おお、一発で動きが止まったぞ! すかさずステラが斧を肩に叩きこむ。

 二対二になり、一転して二人が攻勢に移る。ステラがオーガの攻撃を弾きながら、リアがナイフで少しずつオーガにダメージを与えていく。てか、ナイフでの攻撃なのに剣で斬りつけたような斬り傷がついていくよ。

 そして、動きが鈍くなったところでオーガの胸にベティちゃんの矢が突き刺さる! てか心臓のあたりをブチ抜いてく! 胸板めっちゃ分厚いのに、スゲえ!

「これで終わりです!」

 最後の一体になったオーガに、ステラが思い切り高く斧をかかげて一気に振り下ろす。ガードしようとした丸太ごと、オーガは頭のてっぺんから真っ二つに叩き斬られた。ス、スゲえ……。

「ふぅ……」

 斧を地面に突き立てながら、ステラが一息ついて額の汗をぬぐう。いやぁ、やっぱりステラは強いなあ……。

「やったー! 私たちだけで倒したー!」

「まあ、セルヴェリアさんのサポートもありましたがね」

 リアも嬉しそうにぴょんぴょんはねて喜んでる。ベティちゃんもあんなこと言いながら嬉しそうだ。

「さすがです。皆さん、おつかれさまでした」

 セルヴェリアさんが無表情に言う。よかった、あんまムチャなお題出さなくて。そして無事にお題を達成できて。

「いやー、オレたちもやれるようになったんだなー」

「だよねー。よーし、次いってみようかー!」

「その意気ですよ、お二人とも」

「そうです、ようやくやる気になってきましたね」

 パーティーの士気も上がってきたな。みんなも強くなってるし、セルヴェリアさんの指示も的確だし。よーし、今日はこの調子でじゃんじゃん敵を狩ってやるぜ!




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