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3-13 あのお方とかき氷パーティー!




「ただいま~」

「あら、おかえりなさい」

 受付に戻ると、いつものようにアンジェラがオレたちを出迎えてくれた。

「氷はちゃんと集めることができたかしら?」

「それならバッチリ、ほら、あれ見てよ」

 そう言いながらオレが持っているビンを指さす。へいへい、持ってますよ。

「よかったわね、おつかれさま。それじゃ説明書と渡した道具は回収させてもらうわね」

「氷は直接お城に持っていけばいいんですよね?」

「そうね。あなたたちにもかき氷をふるまうとのことだから、いっしょにいただいてきなさい」

 その言葉に、ステラの目がキラキラと輝く。よっぽど楽しみだったんだな。

 アンジェラがほほえみながら言う。

「さあ、あなたたち、早くお城に持っていってさしあげなさい。次回クエストはまた来た時に決めるといいわ。報酬もその時に渡すことになると思うから」

「うん、わかった! それじゃアンジェラ、またね~」

 アンジェラにあいさつをすると、オレたちは王城へと向かった。


 で、王城へと続く大通りとの交差点に来たんだけど。

 なんかベティちゃんがそわそわしながら言いにくそうに話しかけてきた。

「あ、あの」

「ん? どうした?」

「わたし、実はこの後用事があるんです。ですから、あとは皆さんでお城まで運んでもらえないでしょうか」

「えー! ベティ来ないの? かき氷出るんだよ?」

「そうですよ! 一生に一度だって食べられないような氷なんですよ?」

 リアとステラが大声を上げる。ここ人通り多いんだからほどほどにな。てか、ステラさんの勢いがちょっとコワい……。

 二人に詰め寄られ、ベティちゃんが珍しく申し訳なさそうな顔で言う。

「すみません、わたしの分の報酬は皆さんで山分けしていただいて構いませんから。どうかお願いします」

「いや、別に報酬はいいんだけどさ。せっかくなんだしベティといっしょに食べたいな~って思ってただけだから」

「ベティさんならこの氷について語り合えると思っていたのですが……残念です」

「すみません……」

 ここまで言うんだから、きっと大事な用事なんだろうな。どれ、オレがいいところを見せてやるか。

「クエストはもう終わったから、そっちに行っても大丈夫だぜ。あとはオレたちでやっておくよ」

「あ、ありがとうございます」

 よし! これは上がった! 確実に好感度上がった! ナイスだなオレ、ただでさえベティちゃんの好感度はゼロに近いんだからチャンスは逃さないようにしないと!

 オレがそう言うと、リアとステラも残念そうにうなずく。

「それじゃ私たちで届けておくよ、ベティ、おつかれさま~」

「ベティさんの分も味わってきますね」

「ええ、よろしくお願いします。それでは失礼します」

「おう、明日またギルドでな」

 オレたちと別れると、ベティちゃんは急ぎ足で去っていった。うーん、用事ってなんだったんだろな?


 そして気が重くなる仕事がもう一つ……。

 ああ、きっと今日もテンション高いんだろうな、王様……。

 王城の正門まで来ると、いつものように衛兵さんの案内で城壁の中へと入る。

 城の入り口で待ってると、よく見知った人物がやってきた。

「これは皆さん、おつかれさまでした。今日は私がご案内いたします」

「ども、ウェインさん」

 この人と会うのも久しぶりな気がするな。前来た時はお出迎えギュス様だったし。

 ウェインさんに続き、オレたちは城の中を案内されていく。てか、もう勝手知ったるって感じだよな……。正直そろそろ案内ナシでも王様のところまで行けそうだし。

 って、あれ? これいつもの道じゃないな。なんか通ったことある気はするんだけど……。

「ウェインさん、王様の部屋ってこっちでしたっけ?」

「ああ、今日は王女殿下がお待ちなんですよ。ですので殿下のお部屋へとお連れいたします」

「王女様!?」

 そうだ、これマリ様の部屋に行く道だよ! そういえば今度来るときはマリ様に会ってくれって王様言ってたな! やった、ラッキー!

「よかったね、王女様に会えて……」

 うっ、なんかリアとステラの視線が痛い……。喜びが顔に出すぎてたか?

「なんだよ、悪いかよ」

「そんなに露骨に態度に出されると、ねー」

 リアの言葉に同意するかのようにステラが苦笑する。しょうがないじゃん、だってお姫様が待ってるってんだから。


 しばらく歩くと、ウェインさんが立ち止まった。

「こちらになります」

 そうそう、このかわいらしい扉の部屋だよ。てか、前もウェインさんが案内してたよな。この人はマリ様となんか関係が深いのか?

「殿下、『夜明けの詩』の皆さまをお連れいたしました」

 ウェインさんがノックして扉の向こうに声をかける。なんかパーティー名で呼ばれると恥ずかしいな……。冷静に考えてみると、ちと中二にすぎる名前だったかも……いやいや、せっかくベティちゃんが考えてくれた名前なんだし、恥ずかしいなんてことはねえな!

 オレがそんなことを思っていると、向こうから扉が開かれて中へと招かれる。ヤベ、なんか手汗出てきた……。

 ウェインさんにうながされ、部屋へと入る。と――。

「皆さん、おつかれさまでしたー!」

「うわああぁっ!?」

 ちょっ!? なんで王様がいるんだよ!? あ、でも依頼主だから当然か。あーびっくりした。マジで心臓に悪いぜ、このおっさん……。

「みんな、よく来てくれたねー! マリちゃんも待ってるから、さあ入って入って!」

「皆さん、こんにちは」

 王様の後ろでマリ様がほほえみながらあいさつしてくれる。うおおお、やっぱカワイイぜ! クエストがんばってよかった!

 オレたちもあいさつをすると、まんまるくてかわいらしいテーブルを囲んで席についた。オレの隣、席一個分離れてマリ様が座ってるよ……。かき氷パーティー、マジ楽しみだぜ!

 



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