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2-6 水辺でのたわむれ






「ふぅ~、終わったぁ~」

「おお、終わったか」

「おつかれさまです」

 痺れツノウオ? をさばき終えたリアが、ふーっと息をつく。隣で歌を歌っていたオレやその様子を見守っていたステラも、リアにねぎらいの言葉をかける。

「これでおっけーかな?」

「入れ物はいっぱいになったから、大丈夫なんじゃないか?」

 魚の肝がいっぱい入ったビンをまじまじと見ながら、リアがつぶやく。

「これが薬とかになるんだよねー」

「この階まで来なきゃ取れないなんて、相当貴重な薬なんじゃねえのか?」

「そうそう、この薬使うと全然痛くなくなるんだってさー。スゴいよね、私らも少しほしいよねー」

 ああ、麻酔みたいなモンができるのか。てか、貴重とはいえ麻酔があるとかスゴいなこの世界。

「この魚も、なんだかもったいないよね~。食べたりしちゃダメなのかな?」

 リアがさばいた魚をつまみ上げて、ブラブラと左右に振って見せる。それにしても、見事にさばくモンだな。ホント盗賊って便利だわ。

「ダメですよ、身の部分もピリピリ痺れちゃいますよ?」

「そうなんだ~、ステラって物知りだね~」

 残念そうにリアがその身をポイする。いや、モンスターの肉だからいいんだろうけど、なんか食べ物を粗末にしてるみたいでアレだな……。

 うーんと伸びをすると、リアが立ち上がって言った。

「よーし、お待たせ! それじゃ水浴びしよっかー!」

 そう言うや、ポポーンと靴を脱ぎ捨て川へと入る。

「あー、気ぃ持ちイイ~! ステラも早く来なよ~!」

「は、はい」

 リアに呼ばれ、ステラも川へと入っていく。こうして見てると、どう見ても水着だよな……。

 そんなステラに、リアがバシャバシャと水をかける。

「ほーらステラ、くらえー!」

「きゃっ! もう、リアさん、やめてください!」

 おお! 水しぶきが光を反射してキラキラしてるのがいい感じのエフェクトだぜ! 水滴がステラの玉の肌にくっついて、スゴくイイ! リア、タマにはいい仕事するじゃねーか!

 やめてくださいなんていいながら、ステラも嬉しそうにはしゃいでる。控えめにリアに水をかけ返すと、「やったなー!」とか言いながらお返しとばかりに水面をけり上げる。ああ、癒されるねえ……。

 二人のキャッキャウフフに見とれていると、リアがこっちに手を振ってくる。

「ねー、二人ともこっち来なよー! 気持ちいいよ~?」

 うん、行く行く! オレもステラさんとキャッキャウフフしたい!

 オレはベティちゃんの方を見て声をかける。

「ベティちゃんも行こうぜ! あいつらも気持ちよさそうだしさ!」

 だが、ベティちゃんはその場を動こうとはしない。

「ん? どうした?」

「わ、わたしは遠慮します……」

「泳ぐのは苦手か? 心配すんなって、川も浅いみたいだし。いっしょに行こうぜ!」

「でも、ああいうのは、はしたないというか……」

 あ、そういう事気にするんだ。まるでいいとこの娘さんみたいな言い方だな。でもオレあきらめないぜ、ベティちゃんともキャッキャウフフしたいし、運がよければずぶ濡れになって服がスケスケになるかもしれないし!

「何事も経験だぜ、ベティちゃん! うちのパーティーはそういうのも重視してるんだ! それに、メンバーのふれあいは大事だしな!」

 オレの言葉に、ベティちゃんの顔にも少し迷いが浮かぶ。ここはもう一押し、ちょっと強引に行くか!

「よし! それじゃ行こうぜ、ベティちゃん!」

「きゃっ!? ちょ、ちょっと!?」

 オレは思い切ってベティちゃんの手を握ると、そのまま川の方へと引っぱっていく。慌てた様子でベティちゃんが叫んだ。

「わ、わかりました! わたしも行きます! だから離してください!」

「お、マジで? 話がわかるぜ!」

「まったく、もう……」

 そうつぶやくと、ベティちゃんが靴を脱ぐ。少し顔が赤くなってるけど、ちょっと強引すぎたかな?

 川へと入るオレたちに、リアが声をかけてくる。

「おー、ベティちゃんも来たー! ね、気持ちいいでしょ?」

「ふふふ……」

 ステラもほほえみながらオレたちを見つめる。かわいい。

「そーれ! ベティちゃん、これでもくらえー!」

「キャッ! や、やめなさい!」

「ダメですよ、服が濡れちゃいますから」

「そっかー、じゃあステラなら問題ないね、それー!」

「ひゃっ!?」

 不意をうたれたステラがかわいい声を上げる。いいないいなー! オレもまざろ!

「よーし、オレも行くぜ! 覚悟しろステラ!」

「そっ、そんな、ルイさんまで……!? きゃんっ!」

「やるじゃん、ルイ~。ほ~れ、ほれほれ~」

 うおおおっ! 超楽しい! 左右からの攻撃に、ステラも耐える一方だぜ! そらそら、ここか、ここか?

「はぁ……」

 そんなオレたちを、ベティちゃんがあきれたような目で見てる。そんな風に油断してると、ほら、リアが……。

「スキありっ! そりゃー!」

「キャッ!? だ、だからやめなさい!」

「やめろって言われてやめる人はいませんよーだ! そーれ、それそれー!」

「こっ、この……」

 お? ベティちゃんの目の色が変わったぞ? これはリア、スイッチを押しちゃったか……?

 そんな事を思って見てると、ベティちゃんがリアを指さして宣言した。

「もう我慢なりません! 覚悟なさい!」

 そう叫ぶや、ベティちゃんの手から水が放たれる。おお、さすが弓兵、リアに的確にヒットしてるぞ?

「ほら、どうです! 弓兵を甘く見ない事です!」

「む~っ、やったなー! えーい!」

 ベティちゃんの猛攻に、リアもムキになって水を浴びせる。ただの水遊びから、なんかだんだん本格的になってきてるんだけど……。

 しだいに二人の口から笑い声が漏れ始める。おお、ベティちゃんもだいぶ打ち解けてきたな。

「二人とも、仲がいいですね」

 隣にやってきたステラがそう言ってほほえむ。うんうん、オレもそう思うよ。いい機会だし、オレたちももっと仲よくなろうぜ?

 もちろんそんな事は口には出さず、オレは二人に声をかける。

「おーい、あんまムリすんなよー? 服濡れちまうぞー?」

「あっはははは! それそれー!」

「このっ、ちょこまかと……あははは!」

 あーあ、こりゃ言ってもムダかもね……。二人とも、カゼ引くんじゃないぞ……?






久しぶりに連日投稿してみたところで、昨日報告しそこねたお話を。


先日、第2回オーバーラップ文庫WEB小説大賞の一次選考発表がありましたが、本作が無事一次選考を通過しました。私自身も楽しく書いていますし、こうしてたくさんの方にご愛読いただいている作品ですので、とても嬉しいです。


本作はこの先もドタバタとコメディタッチで進んでいきますが、今後もご愛読いただけると嬉しいです。

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