表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/204

2-5 久しぶりに歌の実験だ!







 何度か戦闘を交えながら、オレたちは依頼された魚のいる川へと向かう。

「それにしても、っついね~」

 胸元をパタパタしながらリアが言う。いや、ホント暑いな。

「まだ着かねえのか?」

「まだって、歩き始めたばっかりじゃん。まだまだ先だよ」

「マジか~」

 思わずガックリとうなだれる。だって、暑いんだもん。

「川に着いたら、少しは涼めるかもしれませんね」

 お、それいいね。オレもステラが水浴びするところ見たいな。切実に。

 と、リアがジト目でニラんできた。

「今、スケベな事考えてたでしょ」

「え!? いや、全然だぜ!?」

 相変わらずカンがいいな! コイツ!

「どーせステラが水浴びするところでも想像してたんだけどさー。勝手に女の子のハダカ妄想するの、やめた方がいいよー?」

「バッ、バカ! ちゃんとビキニアーマーのまま水浴びしてたっての!」

「あっ……」

 オレの言葉に、ステラが恥ずかしそうに胸元をかばう。しまった! うっかり妄想が口をついて出ちまったぜ!

「……最低」

「ぐはっ!?」

 ベ、ベティちゃんまでボソッとつぶやいてくる!? し、四面楚歌すぎる!

「さーて、バカの妄想はさておき……」

 サラッとヒトをバカ扱いすんな!

「川まではまだしばらくあるから、ルイの歌も試していこっか。次の戦いからいける?」

「ああ、それなら大丈夫だ。ネタはそこそこあるしな」

「それは楽しみですね」

 うん、オレも楽しみ! いやあ、ステラには癒されるなあ! ああ、でも一発目はなんにしようかなあ……。




「あ、あそこに手ごろな感じのモンスターがいるよ」

 リアの声に、オレたちもそちらを見る。

「ほら、あれ」

「あ、なんか強そうなゴリラどもだな」

「トロピカルキングですね。そのパワーはあなどれないです」

 パワーならステラの方がよっぽど上な気がするけどな。あ、でもそんな事言っちゃうと、ゴリラ女とかメスゴリラって言うのに等しいか? うん、やめとこう。

「三匹いるけど、問題ないよね。ルイ、まずはどんな歌でいく?」

「そうだな、じゃあまずは子守唄いってみるか」

「ああ~、いいんじゃない? それじゃルイ、歌の方よろしく~」

「おう」

 三人が注目する中、オレは子守唄を歌い始める。ね~んね~んころ~り~よ、おこ~ろ~りよ~……。

 お? さっそくゴリラどもがフラフラうとうとし始めたぞ? これはかな~り効いてるんじゃないか?

 さらにがんばって歌うと……おお! ついに一匹、バッタリと突っ伏したぞ! さらにまた一匹……。残りの一匹は結構抵抗したが、最後は仲間に折り重なるように倒れていびきをかき始めた。てか、オレスゲえ! マジで眠らせちまったぜ!

「よし、今だ! これなら楽勝だぜ!」

 オレがリアたちに声をかけると、三人は一斉に……あれ? 誰も動かないぞ? おい、お前ら無視すんなよ!

「何してんだよ、早く……って、おおおおおい!」

 オマエらまで寝てどーすんだよ!? これじゃ意味ねーだろ! バカ、早く起きろ!

 一瞬マジで慌てたオレだったが、ステラを起こしてなんとか事なきを得る事ができた。てかこれ、オレも寝ちまってたらアウトだったかもな……。


 ゴリラどもを始末した頃に、リアがようやく目を覚ました。

「あ~、もう全部片づいたぁ~? ふぁ~あ……」

 のんきにアクビすんな! ステラがとっくに片づけたよ! てか、ステラさんが起きてくれなきゃどうなってた事か!

「いや~、ルイはスゴいねぇ~。あれはよく眠れるよぉ……」

「よく眠れる、じゃねーよ! お前らが寝ちゃうんじゃ使い道ねーだろが!」

「え~、もったいないなぁ~」

 いいからお前はシャキッとしろよ! 道案内なんだからさ!

 と、ベティちゃんが頬に手を当ててボソッとつぶやく。

「でも、耳栓を準備していれば相当有効な戦法かも……」

「あ、確かにそうですね」

 そっか、耳栓あれば大丈夫か! てか、耳ふさぐだけでも大丈夫なのかな?

「ナイス、ベティちゃん! 機転が利くんだな!」

「いえ、別に……」

 おお、もしかして照れてる? カワいいとこあるじゃん! プイッとあっち向くと、リアに向かってつぶやいた。

「早く川へ案内してください。まだ始まったばかりなんですから」

「そだね、りょ~か~い。それじゃ皆さん、こっちです~」

 照れ隠しかね、露骨な感じがまたカワいい! てか、リアは早く目を覚ませよ……。




 それから川にたどり着くまでの間、何度かモンスターと遭遇したので歌の実験をしながらベティちゃんのお手並みも拝見する。

 いやー、マジでスゴいわ、ベティちゃん。矢の破壊力もそうなんだけど、精度や射程距離が尋常じゃないわ。100メートル向こうの敵の脳天を正確にぶち抜くんだもんな。これにはさすがのリアも舌を巻いてた。

 一回連射も見せてもらったんだけど、一発目を放った後の二発目の構えが早いのなんの。射たと思ったらもう次の矢を構えてるんだもんな。ベティちゃんの攻撃で終わっちまう戦いもしばしば。これはぜひともパーティーに加わってほしいわ。

 歌の実験の方だけど、こちらはわりと微妙というか、普段の応援歌の効果がかなり強力だって事が再確認できた。速さに関係しそうな歌詞を多くすると、応援歌に比べて確かに速くはなるけどその分他のステータスが下がるって感じだ。どうしても速さやパワーが必要だって時には使えるかもな。

 応援歌は、名前がたくさん出てくると結構効果が大きいっぽい。今日はまだベティちゃんの応援歌を準備できてないから、それは正式に入ってもらった後になるかな? でも、そしたら今よりスゴくなるのだろうか……。それはそれである意味怖いな……。






 そんな感じでしばらく歩いていると、リアが声を上げた。

「あ、もうすぐ川じゃないかな?」

 そう言われて周りを見てみると……まだ何も見えないけど、水の流れる音が聞こえてくるような……。

 みんなで耳をすましていると、リアが大声で叫んだ。

「あー、着いたー!」

「うおおっ!? お前、いきなり大声上げんな!」

「何さー、いいじゃなーい」

 ぶーっとニラんでくるリアをニラみ返して、オレたちも前に進む。

 熱帯チックな植物がひらけた先には、結構幅の広い川が流れていた。

「着きましたね……」

「おおおお! やっと着いたか! 待ちわびたぜ!」

「ルイだって大声出してんじゃなーい」

 不満を漏らすリアを無視して、オレは喜びの声を上げる。お待ちかねの水浴びタイムだ! クエストなんてちゃっちゃと片づけて、みんなで涼もうぜ!







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング ←よければぜひクリックして投票お願いします! 『詩人』も参加中です!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ