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2-2 次回のクエストに向けて!






「ねー、今日はここにしない?」

 ベティちゃんとの顔合わせを終え、ステラの快気祝いの店探しをしていると、リアが一件の店を指さした。

「有名なのか? あの店」

「有名っていうか、シティの若い子に人気のお店だよ。知らないの?」

 いや、知らねえよ。他の奴なんてあんま顔合わせねーし。同年代でオレがわかるのは弓兵のミーナちゃんくらいか?

「まあ、オレはどこでもいいぜ。ステラさえよければ」

「私はどこでも大丈夫です。でも、確かによさそうなお店ですね」

「でしょ~? じゃあここにしよっか!」

 そう言って、リアが店の中へと入っていく。ま、こういうのは二人に任せた方がいいだろうな。オレとステラもリアの後に続いた。


 店の中はなかなか小ぎれいで、落ち着きと清潔感のある感じだ。若い子に人気っていうから、てっきりもっときゃぴきゃぴした感じかと思ったぜ。

 窓際の席に陣取ると、オレたちはさっそくメニューを持ってきた店員さんに注文する。

「このお店、お茶がおいしいんだってさ」

「へえ」

「では私はこれをお願いします」

「オレはこれで」

「この焼き菓子もつけてくださーい」

「はい、わかりました」

 ひととおり注文を終えると、店員さんはメニューを持って向こうへと下がった。

 リアとステラが店のチェックを始める。

「とても落ち着いた雰囲気のお店ですね」

「だよね~。デートにももってこいって評判だよ。もっとも、私らがここでデートしたらすぐにギルドのメンバーに冷やかされるだろうけど」

「安心しろって。お前が男と来たって、誰もデートしてるとか思わないから」

「はぁ!?」

 おおわ。こんなところでおっかない声出すなよ。


 そんな他愛もない話をしていると、店員さんが品物を持ってきた。おお、いいニオイだね。

 それぞれカップを手に取りながら、お茶の香りを楽しむ。う~ん、リラックスするな。焼き菓子もなかなかイケるし。

「さっきの子、どう思う?」

 リアが話を切り出してくる。やっぱベティちゃんの話か。それにしてもまた直球な問いだな……。

「オレは別にいいと思うけど? ま、なんか不機嫌そうな感じだったけど」

「言っている事はしっかりしてましたし、私は好感を持ちました」

「まあ、私も別に悪いとか思ってるわけじゃないんだけどさー」

 そう言いながら、リアが首をかしげる。

「なーんか、こう、ひっかかるところがあるんだよねー」

「何がだよ、カワいいんだし、いいじゃねーか」

「まあ、あんたはそういうとこにしか興味がないんだろうけどさ」

「ほっとけ!」

 てか、自分よりカワいかったから嫉妬してるだけじゃねえの? 怖いから言わねーけど。いや、リアもカワいいけどさ、黙ってれば。

 ところが、カワいさでは申し分ないはずのステラも、リアの言葉にうなずいている。

「リアさんもですか? 実は私も、何かこう気になっているんですよ」

「え、ステラもなのか?」

 ついさっきも絶賛してたってのに、何が気になってるんだろ。

「それって、あの子がなんかたくらんでるとかそういう事?」

「いや、そういうんじゃないんだけどね。う~ん、なんだろなーこの感じ」

「なんなんでしょうね、これ……」

 いや、オレにはわかんないんだけどさ。

「で、あの子はパーティー的には問題あるのか?」

「いえ、それは問題ありません。考えも立派ですし、信用できる人だと思います」

「まあ、腕を見ない事にはなんとも言えないけどねー。キャラ的にはオッケーじゃないかな?」

「ルイさんはどう思われますか?」

「オレ的には入ってくれた方がありがたいぜ。いっしょに後方で支援できるしな。ま、とっつきにくい感じはするけど」

 顔はカワいいんだし、あれで愛嬌がよければ完璧なんだけどねえ……。

「まー、それはいっしょにいれば慣れてくるんだろうけどねー。なんにせよ、今度のクエストで実力よく見ておかないとね」

「そうだな、その辺はオレよくわかんないから二人とも頼むぜ」

「はい、任せてください」

 このまますんなり入ってくれるといいな、あの子。


「ところでさ~」

 焼き菓子食いながらステラの回復を喜んでると、リアがオレに聞いてくる。

「なんだ、どうした?」

「ルイの歌なんだけどさ」

 なんだ? またオレに新曲せがむ気か?

「言っとくけど、曲作るのって大変なんだからな。ポンと言われてもすぐには作れねーぞ」

「そうじゃなくて。ルイの歌って、実は進化してたりしないのかな」

「進化?」

 リアの言葉に、オレとステラが同時に声をあげる。

「そ。前にオバケやっつけた時みたいに、歌ったら敵がバタバタ倒れたりしないのかなって」

「いや、前もそういうの試してみたけど特に何も起こらなかったじゃん」

「それは前の話でしょ? 今じゃルイって一応レベル的には上位プレイヤーでしょ? 今やれば効果が違ったりするんじゃない?」

「あ、そっか」

 そういや全然強くなった感じしないから自覚ないけど、オレってもうレベル49なんだよな……。確かに今歌えば、同じ曲でも新たな効果があるかもしれないな。

「よし、じゃあベティちゃんの腕を見るついでに実験してみようか。とりあえず歌詞が関係ありそうだけど、どんな歌詞の歌がいいかアイデアない?」

「そうだねー、子守唄なんてどう? 敵を眠らせたりできそうじゃない?」

「お、いいじゃん」

「以前ルイさんが言っていたように、歌詞に速さや力強さを取り入れたものもいいんじゃないでしょうか」

「そうだな、それもやろうか。速さとパワー以外にはなんか思いつくのあるか?」

「う~ん、かわいさとか?」

「アホか」

「何さー、いいじゃない」

「ん? でも魅了効果は状態異常の定番か……。試しに入れとくか」

「ほら、いいじゃなーい」

「たまたまだよ、たまたま」

「ふふふ……」

 そんな感じであーだこーだ言いながら、次回試す歌を決めていく。よし、これでさらなる戦力アップが望めるかもな。


 一通りアイデアが出尽くしたところで、オレたちはステラの回復をお祝いする。

 ステラは特訓クエストに来れなかったのが心残りらしく、その話を聞きたがった。オレたちには怖い思い出しか残されていないけどな……。

「そんなに怖い方なんですか、『氷帝』という方は」

「怖いのは知ってたんだけどさー、いっしょにいるとホントに怖いんだよ。ちゃきちゃき動かないとすっごい目でニラんでくるし」

「オレもあんな怖い人、初めて見たぜ……」

「でも、とっても強いんですよね?」

「強いってモンじゃないよ。天井までジャンプしたり、そのまま地面に隕石みたいに落下したりするんだから」

「オレたちの比じゃないぜ、あれは。あの人とやり合えるのなんてマジでギュス様しかいないんじゃないか?」

「そんなに強いんですか……」

 話を聞いていたステラの眉がきりりとしまる。

「私も、早くそのレベルにならないと……」

 おお、ステラさんマジやる気だ。でも、あんま気を張るとまた倒れるかもしれないからほどほどにね。

 その様子を見ていたリアも刺激を受けたのか、少しマジメな顔になって言う。

「そだね、私ももっと強くならないと」

「おお、なんかみんなやる気が出てきたな。じゃあオレも、いっちょがんばるとするか」

 なぜか三人で盛り上がってえいえいおーとかしたあたりで、今日はお開きにしようという事になった。


 喫茶店を出てステラと別れ、いつもの交差点でリアとも別れると、オレは歌のネタを考え始める。

 う~ん、オレ、ホントに進歩してるのかねえ……。







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