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1-10 や、やっと終わった……






 昼食を終え、再び特訓へと向かうオレたち。さーて、メシも食ったし、またがんばるか。

 ま、ほとんど『氷帝』が一人で片づけちゃうんだけどさ……。




 そんな調子でダンジョンを歩き回っていたが、しばらくして『氷帝』が口を開いた。

「そろそろ、終わり……」

「え? あ、はい! あざっした!」

「あ、ありがとうございました!」

 いきなり『氷帝』がもう終わりとか言い出すので、オレとリアも慌てて頭を下げる。よかった、なんとか生きのびた……。

 ま、これから五十一階に戻らなきゃならないんだから予断を許さないんだけどさ。




 ラッキーなことに、てか主に『氷帝』が強すぎるおかげで、特に危険もなく詰所まで戻ってきたオレたちは、ゲートをくぐってギルドへと戻ってきた。はあ、やっと帰ってこれた……。

 受付まで戻ると、アンジェラが笑顔でオレたちを迎えてくれる。

「おかえりなさい。セーラ、この子たち、どうだった?」

 戻ってきて早々、そんなこと聞かないでくれよ……。オレらなんて『氷帝』に比べれば赤子どころかイモ虫くらいのモンなんだろうしさ……。特にオレなんて、ただひたすら歌ってるだけなんだけど。いったい『氷帝』の目にはどう映ってたんだろ……。

「なかなか、見どころが……」

 ん? なんかの聞き間違いかな? 今、『氷帝』の口から見どころがどうのって聞こえた気がしたんだけど。あ、後半はよく聞こえなかったし、見どころなんて別にないとか言ってたのかな?

「凄いじゃない! セーラがこんなにほめるなんて、結構珍しいのよ?」

 あ、ホントにホメてくれてたの? な、なんかすいません……。頭を下げるオレを一瞥して、『氷帝』がさらに何事かをアンジェラにささやく。

 そして、アンジェラが嬉しそうにオレらに言う。

「よかったわね! あなたたち、なかなか筋がいいから今度は五十二階に連れて行ってくれるそうよ!」

「ちょ! ムリムリムリムリムリムリ!」

 オレとリアが異口同音に首を振る。てか、何言ってんだアンタ! 五十二階だぞ!? 調査隊の人でも、ごく限られた人しか行けないエリアなんだぞ!? ちょっとその辺に散歩に行くかのような気軽さで言わないでくれよ!

「あら、そんなに遠慮しなくてもいいのよ? あなたたち、あの『氷帝』に認められたのよ?」

 いやいや! これ遠慮とかと違うから! 単に命が惜しいだけだから! 余計なこと言わないで! 頼むから!

 ほら見ろ、まーたリアが泣きそうになってるじゃねーか! てか、コイツ意外と泣き虫なのな……。

 まったく二人ともシャイなんだから、とか意味不明なことを言いながら、アンジェラが手続きをしていく。やがて書類から顔を上げると、アンジェラは『氷帝』に向かいほほえんだ。

「それじゃセーラ、今日はおつかれさま。また機会があったらこの子たちのめんどう見てあげてね?」

「は……」

 あいかわらず不気味な摩擦音を鳴らしながら、『氷帝』がこくりとうなずく。

 そして、オレとリアをじろりとひとにらみし、それから何やらかすれ声を漏らすと、『氷帝』は出口に向かって歩き出した。オレとリアが慌ててその背中にあいさつする。

「きょ、今日はありがとうござっしたっ!」

「あ、ありがとうございました!」

 深々と頭を下げるオレたちを、『氷帝』が肩越しにチラリと見てくる。こ、ええ……。しっかりチェックしてるよ……。これでちゃんと頭下げてなかったら、オレたちいったいどうなってたんだ……。


『氷帝』の姿が見えなくなってからもしばらく、オレとリアは頭を下げ続ける。

 もういいだろうと二人して頭を上げると、ガマンできないといった感じでアンジェラが笑い出した。

「あはははは! あなたたち、いくらなんでもセーラのことを怖がりすぎよ!」

 そんなアンジェラに、オレとリアがムキになって抗議する。

「アンジェラは知らねーからそういうことが言えんだよ! マジで寿命が縮むかと思ったんだぞ!?」

「そーだよ! ホントに怖いんだよ!? アンジェラはいっしょにクエストしたことがないからそんなこと言えるんだよ!」

「あ、あらあら……? 気にさわったなら謝るわ、ごめんなさいね。でも、あんまりあの子のこと、怖がらないであげてくれるかしら」

 な、なんだかそう言われると、確かにオレら失礼な感じがするな……。お昼におにぎりもくれたし……。リアも同じことを思ったのか、興奮がどこかに飛んでいってしまったようだ。

 決まりが悪そうに黙るオレたちに、何かを思い出した顔でアンジェラが声をかけてくる。

「あ、そうそう、今度あなたたちに会ってほしい人がいるのよ」

「会ってほしい人?」

 その言葉に、オレとリアが緊張で固まる。ま、また『氷帝』みたいなお方と会わなきゃならないのか……?

「そう、自由連盟からのお願いでね、あなたたちのパーティーに入りたいって人がいるらしいのよ」

「自由連盟?」

 リアが不思議そうに首をかしげる。

「なんであそこからお声がかかるのさ。あそこの人たちって、基本よそとはからみたがらないじゃん」

「詳しいことは私にもわからないわ。でも、あちらのギルドの上の方からのたってのお願いらしいのよ。一度会ってあげてもらえないかしら? もちろん、相性が合わないならパーティーに入れるのは断ってもいいとのことだから」

「ふ~ん……」

 リアがうさんくさげな顔をして腕を組む。そういやこいつ、自由連盟をよく思ってないみたいなんだよな。以前ゲートの話でもざまぁみたいなこと言ってたし。

 そのリアが、ジト目でアンジェラに聞く。

「その人、どんな人なの?」

「弓兵の女の子よ。年はあなたたちと同じくらいのようね。レベルは45でBランクだそうだから、相当な腕前じゃないかしら」

「うう……Bランクの弓兵かぁ……」

 あ、なんか心が動いてる。そうだよな、Bランクのプレイヤーがわざわざ加入したいって言ってくれてるのに、問答無用で追い払うのはもったいないにもほどがあるもんな。それにリアも投げナイフがあるとはいえ、遠距離攻撃できる弓兵はやっぱノドから手が出るほどほしいし……。

「リア、会うだけならいいんじゃないか?」

「う~ん……。でも、自由連盟だからなあ……」

「とりあえず会ってみないとわかんないんじゃないか? せっかくの話だし、ステラも交えてみんなで判断した方がいいと思うぞ?」

「そうだね……Bランクの弓兵だもんね……」

 そうつぶやいて、自分を納得させるかのようにリアは大きな声で言った。

「うん、わかった! その子と会うよ! いつならいい?」

「よかったわ! それじゃあステラちゃんが回復したら連絡くれるかしら? 私も向こう側に伝えておくわ。よろしく頼むわね」

「うん、わかった~」

「よろしくな」

 そう言って、オレたちはギルドを後にした。




「でも、どんな子なんだろうな」

 いつもの通りを歩きながら、オレはリアに言う。

「まあ、普通の子ならいいんだけどね~」

 答えるリアは、どうも乗り気じゃない。やっぱ自由同盟だからなのかね。

 ま、今度その子に会えばわかるだろ。もめごとが起こらなきゃいいんだけどな……。

 そんなことを思いながら、オレはリアと別れた。








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