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「ねえ、どうして一人でこんな所に?」

「はい……私、クエストで赤光石を採りに来てたんですけど……」

「ああ、あの石もこのフロアだもんね」

「採取するまではよかったんですけど、帰りにさっきの魔物と出くわしてしまって……」

「このダンジョン、痺れ毒蛾がいるからソロプレイには厳しいんだよねー」

 ……正直話の中身にこれっぽっちも興味を持てないんで、オレはこのビキニっ娘を観察するのに専念しましょうかね。

 よく見ると思ったよりお姉さんのようだ。二十歳前後、元のオレと同じくらいの年か。もちろん体はもっとお姉さん……いかん、思考がどんどんピンク色に染まっていくぞ。それでいて声は萌えるアニメ声なんだから、ギャップに頭がとろけそうだ。

 顔立ちはロリってほどではないが、かわいらしいのでツインテールにも違和感はない。うーん、大人と少女のいいとこ取りって感じか? まあ、第一印象は顔うんぬんより「ホルスタイン級」の一言に尽きるんだけど。

「で、君の名前は何て言うんだ?」

「あ、私はステラって言います。斧兵です」

「『おのへい』? 『ふへい』って読むんじゃなかったのか」

「あっははは! ルイったらバッカでー! あれは『ふひょう』って言うんだよー」

「うっせ! そんなの知るか! てかオマエの読み方も間違いじゃねーか!」

「あ、そっか。本職さんが『おのへい』って言ってるんだから、そっちが正しいんだよねー。まったく、それくらいルイもわかりなさいよー」

「なんでオレがわかってないみたいになってるんだよ!」

 わざとらしく肩すくめながら両手のひらを持ち上げるその古典的ポーズもいちいちムカつくな、おい!


「でも女の子の斧兵なんて初めて見たよ」

「ホントだぜ。女斧兵ってみんなこんなエロビキニになるのか?」

「えと、私も自分以外に斧兵の女の子見たことないので……」

 まあそうだよな。そもそも斧兵自体今までに二、三人しか会ったことないし。

「あ、私はリア。盗賊だよ。で、こっちのバカがルイ。職業、詩人!」

 なんかコイツ、他人の前だとオレの扱いがより一層雑になってないか? オマエにバカバカ言われるほどオレはバカじゃねえぞ! いや、確かにうちの大学って世間的には微妙なラインなんだろうけどさ!

「詩人? そんな職業あったんですか?」

 いかにもびっくりといった感じで、ステラちゃんが食いついてくる。ま、そりゃオレもびっくりしたくらいだからな。何度でも言うが、なんだよ詩人って。

「ああ、そんなの自称だって自称! よくこんなのでギルドに登録できたもんだよね」

 コイツにそう言われると妙にムカつくな、おい! 確かにこんな職業を登録するギルドもギルドだけどさ! DQNネームをサラッと受け付けちゃうお役所かよ!

 それにしてもリアの野郎、黙っていれば言いたい放題言いやがって……。腹が立ってきたんで、強引に話題を変える。

「ところでステラちゃんはレベルいくつなの?」

「あ、そうだね。私は30で、こっちは22だよ」

「えっと……、私は、37です」

「高っ!」

 めっちゃ先輩じゃん! てかレベル37とか、冒険者全体の上位10%には入るだろ! トップクラスの冒険者って言っても差し支えないレベルだぞ!

「すいません、CランクのくせにDランク向けのダンジョンうろついて……」

「いやいや、こっちこそ! 生意気な口きいてごめんなさい!」

「そうそう、ステラさんは何も悪くないっス!」

 オレもリアも、態度をトップランカー様に対するそれに改める。オレは『デモグラ』で高レベルプレイヤーに出会ったらそういう風にふるまってたけど、リアをはじめこの世界の人たちもそんな感じなのかね。そんなオレたちの態度に、ステラさんが慌てて声を上げる。

「み、皆さん! そんなにかしこまらないで下さい! 今まで通りでお願いします!」

「え、でも……」

「ステラさんは上位プレイヤーっスし」

「本当に普通でいいですから! 名前も呼び捨てにしてください!」

 ああ、これはあれか。マンガとかでよくある「タメ口で親しさ演出」みたいなヤツじゃなく、そういうのがホントにおそれ多いって感じるのか、あるいは今までぼっちだったから壁を作ってほしくないって事か。そういう事ならオレも男として乗ってあげないとな。

「オーケー、それじゃあステラ、よろしく」

「ちょっとルイ! 何気軽に呼び捨ててるのさ!」

「バカ、ステラは今までぼっちだったから普通に接してほしいんだよ。察しろよ」

「いやアンタ、何勝手に人の事ぼっち認定してんの!」

「いえ、私今までずっとひとりぼっちでしたから……」

「え、ホントに?」

「ほらな」

「いや、アンタが得意げになる必要はないから」

 ん? ちょっと待てよ。て事はつまり?


「ちょっと聞きたいんだけど、今はどこのパーティーにも入ってないって事か?」

「はい、誰も私の事誘ってくれませんでしたから……」

「そっか、確かに斧兵を募集してるパーティーって私も見た事ないもんね」

 マジかよ! こんな牛チチエロビキニちゃんがフリーとかありえないだろ! てかこれはチャンスじゃね? ここは行くっきゃない!

「だったらオレたちのパーティーに入れよ、ステラ!」

「え……?」

 オレの誘いに、ステラの目が驚きで大きく見開かれた。

「え、ちょっと、何いきなり誘ってんの!?」

「何って、ちょうどいいだろ。そろそろリア一人じゃバトル厳しくなってきたし、ステラは高レベルプレイヤー様だし」

 今パーティーインしてくれれば石運びもラクになるし、何よりクエストの度にむちむちプルンプルンが拝めるし!

「でも、まだクエストの途中じゃない」

「あ、私はもう終わりましたから……」

「そ、そうなんだ? でも、ギルドはどこ? うちはシティギルドなんだけど」

「私は中央ギルドです」

「じゃあうちのパーティーに入るのはいろいろ面倒なんじゃない?」

 さっきから何言ってんだコイツは! せっかくまんざらでもない感じなのに、ステラの気が変わったらどうしてくれるんだよ!

「それは、ギルドの変更手続きをすれば特に問題ないんですけど……」

「そ、そう……」

「ほら、何の問題もないじゃねーか! て事でメンバー入り決まり!」

「あ、あの……」

 ステラが申し訳なさそうな表情でこちらを見る。

「リアさんが渋るのももっともです。め、迷惑ですよね……。私みたいな斧兵が急にパーティーに加わるなんて……」 

「え? い、いや、迷惑だなんてそんな、そんな事は全然ないんだよ?」

 しょんぼりとうつむくステラに、リアがうろたえながら弁解する。

「わ、私も戦力が増えるのはありがたいし? むしろコイツと取り替えていっしょにクエストしたいくらいなんだよ? ホントだよ?」

「本当に……?」

「ホントホント! だから私からもお願い! パーティーに入って!」

 何だよ、お前も入ってほしかったのかよ。めんどくさいヤツだな。何はともあれ、これで丸く収まりそうだ。頭を下げるリアに、ステラが慌てて声をかける。

「そんな、頭を上げてください! こちらこそ、私などでよければどうかパーティーに入れてください!」

 そして90°以上の角度で深々と頭を下げるステラ。

「よっし! それじゃ今日からはステラもオレたちのメンバーだ!」

「正式には手続き後になるけど、よろしくね!」

「はい! ありがとうございます!」

 余程嬉しかったのか、ステラが勢いよく体を起こす。その勢いでぶるんと弾む双球に、オレの胸も跳ね上がらんばかりに高鳴った。いやホント、マジでテンション上がってきたぜ!







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