表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/204

2-1 今日のクエスト、マジでキツそう……






 あれから二週間。オレたちは三度のクエストをこなし、オレもわりとあっさりDランクに昇格してしまっていた。ホント敵は基本全部リアが片付けてんのにな。そしてオレがDランクに上がったお陰で、ダンジョンも一気に三十階まで行けるようになっちまった。

 おまけにこの前アンジェラが「そろそろリアもCランクに昇格しないとね」なんて余計な事言うもんだから、リアもその気になっちゃって。「じゃあ次は三十階で私のレベルアップだねー」とか言い出すもんだからさあ大変。


「さー、今日もはりきっていくよー」

 オレの家に来るなり開口一番これだ。つきあわされる身にもなってくれよ……。

「キミ、ホントに顔に出るねぇ」

「え、な、何が?」

「今、絶対めんどくさいとか思ってたでしょう」

「い、いや? オレもがんばらないとなーって思ってたとこだぜ?」

「言っとくけど、あくまでアンタの特訓がメインなんだからね」

 うぇーい、わかりましたよー。機嫌を損ねる前に準備してちゃっちゃと行くか。





 というわけで、いつもの道。

 今日のクエストは三十階で石集め。てか、マジで三十階行くのかよ……。オレはまだレベル22になったばっかだっつの。

 それより問題は石集めだ。これ、ヘタしたら30キロ超えるぞ……? どう考えても重すぎだっつうの。どうせ全部オレが持つんだろ? これがあるからイヤなんだよ。バトルよりこっちのがずっとキツいんじゃないか? そんなわけで、今日は丈夫なリュックを持参している。

 いや待てよ、今回はヤバくね? これまではリアの隠密スキルがあったから格下のザコキャラに遭わずにすんでたけど、今回はリアにとっても適正レベルのエリアだから普通にモンスターとエンカウントするじゃん! 30キロの荷物なんか背負ってたら敵から逃げまわるとかムリだろ!

「おい、リア! 三十階でもお前の隠密スキルって効くのか? 効かなかったらオレヤバくね?」

「あー、そういやそうだった。てへっ」

 テヘッ☆ じゃねーよ! そんな大事な事忘れてんじゃねー! 

「でもいいかげんルイも慣れてきたでしょ?」

「いくら慣れたって、石が増えてきたらオレ動けないだろ! お前が持ってくれんのかよ!」

「いや、それはムリ」

 即答かよ! コイツ本気でオレを殺す気か!

「だって、私がそんなの持ってたら敵倒せないじゃん。時間がかかればかかるほどルイの危険も増すんだし」

「そ、そうか……」

 そういやそうだった。じゃあどうするんだよ? もしかしてオレ、もう詰んでね?

「うーん……」

 腕組みして歩きながらリアが考えこむ。ま、コイツのアイデアに期待はしていないが……。

「あ、わかった!」

「お、なんだ?」

「その石で戦えばいいんだよ! 敵に投げつけて!」

「ねーよ!」

 ざっけんな! 思わずツッコんじまったじゃねーか!

「バカかお前! 石投げるとか小学生かよ!」

「何よー、アンタなんか何の案も出してないくせに。てゆーか、ショーガクセーって何?」

「ああ、ここって小学校ないのか。めんどくせえ」

「ねー、ショーガクセーってなにー?」

 なんだよ、どうでもいいだろそんな事! なんでそんなに食いついてくるんだよ、めんどくせえ! いいや、テキトーに流しとけ。

「とってもかわいくて人気のある女の子の事だよ」

「へー、じゃあ私もショーガクセーだね」

「BBAムリすんな」

「あー! 今ババアって言った!」

「BBAは通じるのかよ!」

 なんだよこの世界! どっかの動画サイトのNGコメント規制基準並みにワケわかんねーぞ!




「そういや前々から聞きたかったんだけど」

「なになに?」

「今ギルドの登録者ってどのくらいいるんだ?」

「そうだね、四ギルド合わせて三千人近くいるんじゃないかな?」

「ほう、結構いるんだな」

「もっともそのうち半分以上は王国の軍人とか貴族の私兵、派遣の仕事やってるから、実際に冒険者として活動してるのは千人ちょっとかな。副業の人とか幽霊メンバーも多いしね」

「なるほど、雇われの方が安定してるって事か」

「おっ、ものわかりがいいじゃない」

 リアが得意げにウィンクしてくる。なまじカワイイだけに、バカにされてる感満点で腹立つな。

「まあ、その分冒険者は上に行けば一攫千金が狙えるけどね」

「それだけリスクも高まるんだろ?」

「そういう事。ルイのくせに冴えてるじゃない」

 そりゃあオレも就活考えなきゃならない時期だったからな。正社員のありがたみはよくわかってるさ。まあ、一攫千金狙えるようなスキルなんて持ち合わせてるはずもないオレは正社員一択なんだが。

「じゃあ、その上の方ってのはどのくらいいるんだ?」

「そうだねぇ……、扱いが変わってくるのはやっぱBランクからかな? なんせ全部合わせても百人くらいしかいないからね」

「ほう、そりゃ希少価値も出そうだな」

「そうだね、王国の隊長さんとか貴族の傭兵隊長とか、仕事もよりどりみどりだよ」

「なるほど、就活エリート様ってわけか」

「え? シューカツって何?」

「いやこっちの話。でもそのレベルなら、冒険者やっててウマみなんてあるのか?」

「へっへーん、やっぱりルイはわかってないなあ」

 知らねえよ! だから聞いてんだろが!

「いい? Bランクが百人かそこらしかいないって事は、四十一階から五十階までのアイテムを全部彼らが独占できるって事だよ?」

「ああ、そうか」

「もちろん王国も調査隊を編成していろいろ集めてるけど、パーティー組んでレアアイテムゲットすれば、高く買い取る店はあるからね」

「そりゃ儲かりそうだな」

 大企業に雇われるか、才能あふれるメンバーで起業するかの違いか。いずれにせよオレには縁のない話だな。ケッ、エリート様は未来が明るくてうらやましい限りだぜ。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング ←よければぜひクリックして投票お願いします! 『詩人』も参加中です!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ