*6
何時ものように幼稚園に通い、頭お花畑の子供たちを見て癒されているミソラこと僕。
女の子になって転生しかも前世の記憶と固有能力付きとカオスな状況下、意外にも僕自身そこまで混乱せずに毎日を送っています。
ああ、でも子供扱いは慣れないかな。
「じゃあ、元気に歌いましょう」
「「「はーい!」」」
今日は幼稚園の先生が某有名な曲をピアノで弾いてくれます。それに合わせて僕達は合唱するのですが――。
「~~?」「~~!」「……」
皆個性豊かすぎて、合うものも合わず、よく見ると歌わない子が1名ほどいる始末。先生気付いて!
ちなみに僕は歌うときは腹から声を出すのだと前世の記憶にあるが、腹から? 未だに意味不明だ。
一応、男子に混じって、無駄に元気よく歌う。
多分僕も含め、この男子たちもワザトな気がする。
だって明らかに声が元気よすぎる。
いや、元気というより騒音だな、これは。
先生の表情は変わらないけど、ポーカーフェイスかな。それとも毎回こうであり慣れてしまったのだろうか。
唯一、真面目に歌ってるのは隣にいるえる君のみだろう。
今は昼休みみたいな遊び時間。
皆は外に出て、ボール遊びやらしている。
そんな中で僕とえる君、二人は外で悩んでいた。
「ミソラん、今日は何して遊ぶの?」
「何でみょ、良いとおみょう」
ミソラん何て変わったアダ名で呼ぶのは君だけだぞ? える君や。いい加減普通に呼んでくれ。いや、別に大きく不満って訳じゃないけども。
後、園児の中で三歳児でそこまで流暢に喋れるの君だけなの気付いているかな? 正直、マ行が出来ない僕としては羨ましいの一言である。
そして追記するなら、体さえ動かせるなら僕としては何だって構わない。
「じゃあ、今日は砂場行く?」
「うん」
あちゃあ~、砂場イコール造形物か。体関係ないけど、何でもって言ったよね的な状況下(自身内の被害妄想です)、断ることは出来ません。
仕方ない、本気を出しますかね。
「何する? 穴? 山? 城?」
「とりあえず、やみゃ《山》」
穴は危険。城は無理。必然的に山ですね。
え? 本気はって? 三歳児にアートを求めてはいけないよ。それに美術……前世は酷いものだったし。
まぁ、それはさておき僕とえる君は山を作ります。
少し物足りなさを感じた僕は水を上手く使い下地である土を固めます。そして、黒くなった土を影のようにして陰影を付け無駄に立体感を出してみた。
この時点で三歳児の範疇を越えているが、楽しさが上回っているのでそんなことは頭から抜け落ちている。
ついでにえる君から、トンネンも掘ろうかと言う。それに返事をし、これからというときに後ろから声がかかる。
空気の読めない奴は誰だ!?
今はえる君という僕の嫁とホンワカしてるのに。
「あら? これは何かしら~?」
「やみゃ!」「山ですね、見てからに」
声の主は先程の先生であった。
幼稚園の先生は優しく微笑んでるよ。しかし、これが何かって? 見るからに山だ。山としか言いようがない。
後、える君は喋らなければ三歳児の範疇何だけどな、妙に発言が三歳児ではなく感じる。
……僕だけだろうか。
ふと、横顔を見ると、僕の視線に気付いたえる君はニヘラ~と擬音語が出てきそうなフンワリとした笑顔を見せてくれる。
うん。可愛いので、思わず抱きしめる。
今回は珍しくえる君からも抱きしめられます。互いにホッペプリプリです。今となっては前の状況からとは思えない仲良しぶりです。
にゃーー! える君ーー!
ウニャーー! ミソラんーー!
こんな事を満足するまで続けました。
ふぅ、今日もえる君エネルギーを補充完了ですね。
一連の作業の終えると、いつもの男子メンバーが鬼ごっこをやるそうだ。少し堕ちているえる君を引っ張ってグループに交ざる。
僕とえる君はと、園児たちは疲れ知らず……いや、分からず。
当然、昼寝する頃には倒れ伏すように眠った。
これで何度目かな? でも、自重はしない。
僕は、ひたすら体を動かしたいのだ。
色々なことを忘れたいから。
ミソラんと僕の友情劇~
「ミソラん~!」
「どうしたの?」
「えっとね、ミソラん大好き!」
「うん。僕も大好き……。
(キャフ~~、フラグです。える君ルートです。よっしゃぁああ!)」
「どうしたの?」
「なんでみょないよ(目線を泳がす)」