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死神は人の死を望まない  作者: ByBuyBy
死神は否定
4/40

*4

 生まれて3年。初めて同じ歳の子を見る。


 ああ、これだよ、これ。頭お花畑~。何この幸せ顔はこのこの。


 めっさギザ可愛ゆす。僕はホールディングした力を緩めず、愛くるしい小さな男の子に抱き付く。


 頬を片手でプニプニとやると、イヤンイヤン何てギミック付きです。もう鼻血物です。

 性別なんて、もう目じゃない!

 これは私の嫁だと、ハッキリ言える。

 さぁ、もっと髪とかモフらせろー!


 そして、ある程度満足してから解放すると、男の子は脱兎のごとく走り去る。おお、早い早い。




 どうも、名前が音階みたいなミソラこと僕。


 今自分は、ここ【真久津まくつ幼稚園】に居ます。園内は僕から見ると、とても広く感じますけども、きっと僕が小さいからでしょう。


 そう言えば、アニメよろしく2次元の中ってキャラ分けの為か、皆それぞれ髪の色とかが奇抜なヤンキーだけど、ここ日本カッコ仮はどうやら、そのヤンキー世界線ではないようだ。


 園内で他の子を見る限り、黒か茶のようだ。


 日本だ。何だか本格的に日本だ。つまらないくらいに日本であろう雰囲気を感じながら、僕はいつの間にか幼稚園の先生に捕獲される。


 どうやら、迷子と間違えたか? 抱っこの要領で連れてってくれるけど、気分的はドナドナである。




 ちなみに僕は黒髪。今は少し短めだけど、その内伸ばすつもりだし、今から何かオシャレがどうのこうので叫ぶ子供の気が知れない。


 男なら短パンジャージでしょ!


 あっ、忘れそうになるけど、僕は女だ。

 ……まぁ、まだ気にしたら負けだ。精神は男なんだ。男オブ男なんだ。


 つまり僕は、その後、男子と共に全力で走り、全力でバリアという謎ギミックを使ったり、もみくちゃして、最終的に泥んこになる。


 ああ、これだよこれ。求めてたのは。


 遊び終わった僕は、何とも言えない達成感を感じ、その後のお昼寝で体力尽き果てた体で倒れ伏す用に眠る。


 その次の日も。


 「あちょぼ? こっち、こっち!」


 「ごみぇん《ごめん》、みゅり《無理》!」


 僕は男子と共に遊ぶ約束があるんだ。

 だから、オママゴトなんてつまらないものは却下。


 しかしながら、三歳児の体は割りと面倒だな。どちらも舌足りずな言葉で辿々(たどたど)しいのである。ちなみに僕は後マ行を言えるようになれば完璧だ。


 ふぅ、マ行……その道は険しい。


 そして、次の日も。


 「おい、わりゅもの。くりゃえ、高度経済成長キック!」


 「アミャイ!」


 僕は男子と共に今は全力でライダーごっこしている。今日は決まってるよ、岡村くん! 噛まずに高度経済成長なんて難しい言葉言えたよ!


 しかし、動きにキレも速さも無いので避けさせてもらう。


 当然、岡村くんは地面に尻打ち、挙げ句に泣き出す。全く男の子が泣くんじゃありません。





 そして、ある日僕は気づいてしまった。

 むしろ、今まで何故忘れていたんだと悔やみたい。

 当初に出会った小動物が居ない……。


 いや小動物じゃなくてあの子が、最初にあったあの子が居ねぇ、パッと後ろを見ると何かが逃げるのが見えた。当然、僕はそれを追いかける。


 後ろ姿で分かった。あの子です!


 僕はまだ見ぬ全力の走りで彼との距離を一気に縮め、全力で抱き締める。今回は後ろからの抱き締めだ。


 「つかみゃえた《捕まえた》~!」


 「はにゃゃぁあ~!」


 女の子のような叫び声を上げるけど、この子、男の子なんだぜ、信じられないだろう?


 「ほれ、うりうりうり」


 「やんやんやんやん」


 そして、勿論捕まえたら、逃がしはしないし、攻撃の手を緩めるつもりなんてのは無い。つまり君は完全に包囲されているんだ。


 僕の愛でる対称として、大人しくしてください。

 そのためなら土下座さえもいといません。


 「プリプリです~。ん? あっ……」


 「フニュ~~……」


 その後、本格的に止められなくなった僕の餌食になった彼は力尽きる事で終了した。


 これから、近所付き合いしていく後の恵留える君である。





 娘と母と父による娘の成長劇~

 「みゃ、みぃ、みゅ、みぇ、みょ!」

 「(ビデオカメラ撮影)」

 「惜しい! もう一回!」

 


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