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死神は人の死を望まない  作者: ByBuyBy
死神は知る
39/40

*39

:


 月明かりが微睡む。深夜の12時。

 周りは既に寝静まり、僅かな音でさえ耳に入る。

 そんな静かな空間で扉が開く音がする。


 白い髪と白い肌、赤い目が特徴のアルビノ体質な青年はとある家の玄関から出る。

 青年はやや気だるげに目の前に立つ男を見るや否やガックリと肩を落とす。


 そこには同い年位の黒髪の青年が立っていた。



 「おい、コラ。ミソラに何しやがった」


 「怖いな」



 いきなり黒髪の青年はアルビノの青年につっかかる。

 声には怒気が含まれ、焦りも含まれてもいた。


 アルビノの青年はひょうひょうとした態度で、

 またその態度が気にくわないのか追及していた方の青年のこめかみがひくつく。



 「こっちとしてはお前が居るのが不愉快なんだよ、許せ、そして速く教えて消えろ」


 「言葉が過ぎるぞ? 何処ぞの天使長ごときが」


 「そっちこそ、何処ぞの大悪魔ごときが、はっ!」


 「「……やるか?」」



 いきなり一触即発な雰囲気を二人して醸し出す。

 互いに売り言葉に買い言葉、

 手には互いに得物を取りだしてさえもいる。


 天使長である青年の手にはチャクラムと呼ばれる円盤を思い浮かべるような武器。

 大悪魔である青年の手には自動回転式銃。まんまリボルバーといって差し支えはないものである。


 この何処ぞの天使長と大悪魔である二人がドンパチやれば結果は、

 最悪時色々メチャクチャになるだろう。

 しかも互いに相手が相手なだけに更に悪い。

 限界を知らず膨らむばかりの殺気に近くの街灯は割れ、

 空気は怯えるように震える。

 何処ぞのアニメのように大地までもがピシリと音をたて割れさえもする。


 この光景から察してるだろうが、

 ぶつかり合えば、一

触即発になるだろう。


 そこで止めてくれる人物も居たのが嬉しい誤算ではあった。



 「「痛い!」」



 互いに頭に強い衝撃を覚え呻いた。


 白い髪のアルビノ男性の横には、鬼を思い浮かべるような角が生えた小さな少女。

 黒い髪の男性の横には電子タバコをくわれボサボサな髪を乱雑にかきむしる白衣の女性。


 その二人の女性は互いに目を合わせて、

 互いに大変だねと同情の意味の視線を送る。



 「由香里ぃ……お前、鬼か……いや、鬼か」


 「ダジャレ、つまらないなの」


 「うぐぅ、ダジャレではないんだけどな」



 アルビノの青年は少女の角を見るや否や、

 そう言えばと思い直し言い直すも、ダジャレなのかとトゲのある言葉に胸を抑える。

 まるでコントのようにほんわかとしたやり取り。


 だけど、ほんわかとしたやり取りは既に無くなっていた。


 由香里と呼ばれる少女から濃密な黒い殺気がアルビノの青年にぶつけられる。

 その理由が何となく察してしまう青年はタジタジのまま立ち尽くす。



 「それよりも何でキス……したなの?」


 「……」



 少女の問いに答えられなかった。

 必要な事だったのは確かだし、

 言おうと思えば口からは幾らでも出るだろう。


 だけど、その口からは何も出ない。

 まだ春なのに、対して暑いわけでもないのに、

 青年は冷や汗が止まらず背中辺りが寒い。


 そんな長い間が開き、少女の瞳からハイライトが消える。

 本気で殺す時の目だと誰もが言うだろう無慈悲な目を目の前の少女はする。

 そして、一言、口を開いた。



 「ギルティなの」



 その言葉と共に少女は跳躍し、青年をやや見下げるくらいまで飛び上がる。



 「待て、話せば分かる、分かり合える!」


 「刑罰執行こうげき……なの」



 慌てながら身ぶり手振りで必死に宥めようとする青年の苦労は虚しく、少女による空中回し蹴りが彼の顔に命中する。

 そこから更に、蹴り上げてから足技による三コンボを華麗に決める辺りが容赦がない。



 「ぎゃあああ~!」



 語尾に「~なの」と、付け加える少女は華奢な身体からはあり得ない力を発揮し、少女より大きな青年を蹴り倒す。


 先程まであれほどの力を発揮してた青年は少女の攻撃には発揮せず無抵抗に倒れ伏す。

 ただ少しは抵抗力を入れた方が良かったかもしれないと心では少し思ってしまう。



 「……撤収なの」



 倒れた青年を華奢な身体の少女は此方を一瞥してから意図も簡単に背負い跳躍力を使って、飛び去る。


 残るのは一人の青年に白衣の女性。

 青年は殴られた箇所らしき頭を抑えつつ、ジト目で彼女に抗議の意の目線を送る。



 「女々、もう少しさ優しくならない?」


 「馬鹿な天使長様を監視ないしは暴力による調教に至るまでの職務は神の仕事だから」


 「エジソンおじさんは優しいんだけど」


 「訂正、女神の仕事だから」


 「どちらにしろ理不尽極まりないな」



 女々と呼ばれる女性は電子タバコを箱にしまい、青年の抗議に無茶苦茶な理論で叩き返す。

 その言葉に青年はガックリと肩を落とす。



 「ミソラだけど問題ないよ、むしろ良好」


 「……そう、まぁ心配するだけ無駄だったかな」


 「またそうやって」


 「性分なんだ、許して下さいね」


 「はいはい、じゃあ私は戻りますね」


 「おう、おやすみ」



 青年は笑顔で女々と呼ばれる女性を簡単に見送ってミソラという少女の居る家を見上げる。


 そして小さく心の声を溢した。



 「最後には俺を、そうを頼れよ」



 風の音と共にその声もかき消され、

 青年の姿も消える。






 蒼と女々の友情劇~

 「そういえば女々って、タバコもとい電子タバコなんて吸うやつだったか? 白衣は似合ってるからいいとして」

 「いや、これは脳の伝達回路を可笑しくするもの。リミッターをはずしてこう……バガンッ! と大岩さえも破壊できる力を発揮するための発明さ」

 「ちょっ、なんてもの、後でそれ没収な」

 「ぶぅ~、でもまだこれは最弱。第二、第三と」

 「それも勿論没収だぞ?」


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