表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死神は人の死を望まない  作者: ByBuyBy
死神は知る
35/40

*35



 「とりあえず下地として、見宙ミソラが可笑しい。それは共通の認識にして欲しい」


 「了解じゃ」


 「なにそれ酷い!」


 「当然の事実だ」


 「うにゃあぁぁ~!」


 「ミソラん、気にしない、気にしない」


 「……うう、える君がこの中で一番の良心だよ」



 説明下手な私は出番がないので隅でえる君に慰めてもらう。


 具体的には、いつもながらその暖かみのある体へと抱きつき頭を撫でてもらう。


 ペットで培ってきた撫で技術は、もはやマッサージの如く、全身の筋肉がほぐれてくるような感覚で、思わずヨダレとかが垂れてしまうのは不可抗力である。


 多分、変な声もしてるがそれは触れないで欲しい。気持ち良すぎるんだ、本当に。




 さて、そんなえる君の撫で技術に翻弄ほんろうされる私を置いて、蒼は真久津先輩に説明する。


 長すぎるため、ここでは省略させてもらうが、簡単に言ってしまえば、蒼は一応天使で、上には物作りの友達? がいるから、それに協力をあおぐって話。


 理由は私がやるとオーバー・テクノロジーの部類に入るらしい。蒼に以前何故駄目なのかと聞いたが駄目の一刀両断。


 便利って良いことなのに。


 私には思い付く原案オーバー・テクノロジーも、それを可能とする技術と財力もある。


 財力はどうやって手に入れたかというのも蛇足でしかないのでここでは省略させてもらう。


 つまり私は手を出せないのだ。


 だから、昨日の夜これでもかというくらいにまでレベルを落とした物を女々ちゃんと相談したのに……。


 蒼にほぼ全てダメ出しをくらいました。


 また蛇足ではあるが、女々ちゃんは電話ごしでもっとこうでしょと具体的なレベルの高い原案も出されたけど、それはさすがに理解は出来なかった。




 そういうわけで蒼にやらなきゃ私がやるよと半場脅し込みで、恐喝まがいな説得をし、見事1週間と掛からず作れるものは何でも作れる神様の協力をゲットした。


 いやぁ、持つべきものは友達(話の分かる人)だね。




 おっと、蛇足でしかない説明も終わったところで、ここからが本題である。



 「うむ、これなら認可なんて軽々じゃな」


 「それは有難いが、勿論あの事は忘れてないよな。しゅう……といったか、その人物を本当に連れてこれるのか?」


 「それに関しては簡単じゃ、あやつは寝れる所さえあれば住み着く」


 「酷い言い方だな」


 「さすがに認可降りればすぐにではなくて、ちょっと部室を改ぞ……いや、広げなくてはならないから、ゴールデンウィーク明けになるかの」


 「私はそれでも構わない、会えるなら、会えるなら、何だって構わない」


 「俺もアイツに用があるしな、時間に関してはさして問題ではない」


 「では、ゴールデンウィーク明けまでにはそちらの意に沿う形に仕上げて見せよう」




 える君から原案をやや強引に持ち去る真久津先輩。これで認可は数日もせずに降りるだろう。


 そして、待ち焦がれていたしゅうに会える。


 ゴールデンウィーク明けまで、私の精神は持つだろうか、いや持たせなきゃいけない。

 悪夢にうなされて、える君への罪悪感で苦しみ、手の届く範囲で全ての死を助けたいというエゴを負う。


 私は懺悔ざんげしながらも、罪を重ねては重ねて……精神はもう壊れかけである。


 何よりもまだそれでも壊れないのは、皮肉にも彼の存在のお蔭である。


 私は彼の呪いで生かされてる。


 それでも、それが分かっていても、私はこの呪いを――奪われた物を返して欲しい。



 そしてこの世から去る。



 残された人には悪いと思ってるけど。


 ふとえる君の撫でる手が止まる。私の考えは見られたのだろう。

 える君の顔を覗けば、悲しそうな顔が見えるのに私の考えは揺るがない。



 える君は私を好きを越えた感情を持つことは何となく知ってはいる。現に何度も告白もあった。


 でも、私は。


 える君……私は、君を愛してはいない。



 「ミソラん……あっ……」


 「ゴメン」



 少しの力で離れてしまう手に、名残惜しさを持ちつつも今日は一人で帰ろうと部室を出ようとする。



 「ミソラ」


 「何? っ!?」


 「本当に良かったのか? しゅうという奴に会うのはお前にとって――毒でしか無い。

 それでもか?」



 扉に手を掛けた所で、後ろから蒼の声が聞こえてくる。

 その声に振り向いた私は、数十センチ程の距離しかない蒼の顔の近さに戸惑う。


 蒼はそんな私の目を真剣に見詰めてくる。


 彼の問いはそれほど真剣であるという事。


 私の頭は冷静さはまだ取り戻せなくも、彼の問いにもう一度真剣に考えてみる。


 それでも揺るがない。


 答えは決まってはいた。



 「それでも終に会いたい」



 彼に会うことが、私の中で一番の優先事項である。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ