*31
「はぁ……」
何度目になる憂鬱毛な溜め息を小さく溢す。
「終……会いたい……」
私は自室で一人呟く。
窓から見える夜の空は雲で月明かりすら見えにくい。まるで現在の私の心情を表すかのように。
「終……」
あれから既に部活は終了し、帰り道をえる君と一緒に帰り、一緒に風呂を入って、一緒に夕食を食べて、いつもの生活風景がそこにはあった。
――が何処かボンヤリと別の事を思い続けてる私は無意識のまま今に至る。
える君も両親も私の変化に気が付いて心配してるが口には出さず、私の好ましい距離で居てくれた。
申し訳ない気持ちは心の中にしまい、感謝を心の中でする。
今日の夜の空は暗い。
星は見えず、月明かりすらも見えにくい。
そんな暗い時なのに、彼女の部屋には明かりすら付けていない。そんな部屋は蛍光色な色具合で満ちていた。
陰鬱な影を落とす私ことミソラです。今はフリルがお情け程度にある水色の寝間着に着替えている。
抱き枕である河童のぬいぐるみは現在私の腕の中。
える君はもう寝てる頃だろうか? いや、まだ9時ぐらいだから寝てないだろう。
そんなことよりも、私は何でこんなにも思いふけるのだろう……やはり、口に溢れてしまう名の彼が原因だろう。
あまり慣れない気持ちの整理で、いつもの筋トレさえもせずにぼぉ~っとしてしまう。
本当にどうしたら……。
先輩は言ってた。テストで結果を出すと。しかしそれは3ヶ月後。夏休みも挟まれたら、もっと時間は掛かる。
でも、私は――そんなにも待てやしない。
なら……。
「……ちゃん。女々ちゃんなら」
私はふと友人を思い出す。彼女は天才。0から生み出す天才。
この時の私には、その天才である友達すらも利用しようと思い、スマホを開いては電話を掛ける。
勿論、掛けた先は友人である女々ちゃんだ。
『もしも~し!』
電話からはいつもの明るい調子の彼女の声がする。彼女のテンションに昼夜は関係ないのかもしれない。
「もしもし、見宙です」
『宙ちん? どうしたんだい?』
「借りたいんだ、君の力」
『……終のため? 君のため?』
私は彼女に力を貸してくれるのを頼む。すると、彼女は少し間をあけて私に問う。
今日の話で出てきた彼のためか。もしくは、私自身のエゴのためかを。
答えは決まってるものの、私は少し悩みつつも答える。
「私かな」
『なら了解! で、具体的にはどうするつもりなの?』
「考えてるのは――」
私は――大学時代、前世の記憶で考えていたとあるロボットの構想を話す。あの時は出来なかった、完成出来なかった――とあるロボットの話をする。
実現にはお金は勿論、人手や工具、材料が必要でそれの用意はどうするか。具体的な予算は。等と綿密に詰めては手帳にメモをする。
やはり相談相手に女々ちゃんを選んで正解だった。欲しい理解度を簡単に上回り、むしろこっちが教えられる。
『で、私達二人でやるには荷が重いよ?』
「うーん、既に簡単な設計図を書いてあるから、それを見せて蒼にも協力を促すつもり」
『蒼か……なら、大丈夫か』
何だかんだで手は貸してくれる蒼に当たりを付け、更に女々ちゃんと電話越しに話す。
『うん。これなら1ヶ月そこらでいけそうかな』
「今更だけど、私のエゴだから無理しないでね」
『ハハッ! 本当に今更だね。……でも、無理はさせてもらうよ』
「了解。じゃあ、お休みなさい」
『うん。お休み~』
そうしてスマホの電源を切り、机へと寄る。
手探りで机のライトを付けては机から一枚の設計図を取り出す。
電話で書いたメモと照らし合わせて修正を加える。といってもデザインが多少変わるだけ。
後はこれを蒼に見せよう。そう心に留めて机のライトを消しベッドの上に倒れる。
(目を閉じれば、またあの光景。だよね)
今日も悪夢を見るのか。と自嘲毛にも心で呟きながらゆっくりと目蓋を閉じる。
(終……私の○○○返して……)
願いを唱えた後は、小さな寝息を立てて眠る。
いつの間にか雲は去り、月明かりは部屋を僅かばかり照らす。
時間はあれから更に過ぎた頃、いつもの日常に変化は訪れる。
それはいつかは起きるだろうと分かっていた筈の物であり、予想していなかった物である。
カチャ……ギィ……。
眠る少女の部屋に少年が入り込む。
「ミソラん」
彼は眠る少女に触れる。




