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死神は人の死を望まない  作者: ByBuyBy
死神は肯定
20/40

*20

 五千PV お気に入り十四件 評価、感想も含めありがとうございます。作者は感謝を言葉にします。

 放課後。


 既に夕暮れとなる時間で周りは私達を含め学生が多く帰宅している。そんななかで私とえる君は二人揃って帰宅する。


 途中までは蒼と同じ道だから一緒だけど、そっからは私とえる君タイムだ。




 「「ただいま」」


 「「そしておかえり」」



 二人息ピッタリに、私達以外誰も居ない玄関で言葉を交わす。


 まだ、両親は帰ってくるには早い時間帯だ。


 今日この頃ずっと仕事続きなのだが、たまには何処か旅行してニャンニャンでもして、妹の一人や二人作ってきても良いのにそれも最近になってはしない。めっきり両親は仕事だ。


 私としては心配なのだが、心配しても両親は無理をする。それが大人である親と子供の壁。




 今日は外に出掛けたい気分ではないので、

 私とえる君はリビングのソファーの上にくつろぐ。


 ギネスに残る位にもう一緒に過ごしてるんじゃないかな? 試しに今度ググりましょうか。



 そしてテレビをつけニュースを見る。


 政治家が映る。


 内容はまた増税だ。


 他にも増える震災や津波被害が相継ぎ、借金も増える一方で不透明なお金は流れて、地元民達の理解や承諾に時間が掛かり可笑しなくらいに復興が進まない。それに外交もうまくいかない。


 着々と軍備を進めていく各国の中、取り残される中立国。日本もその内に入ってしまう。アメリカ軍はいつの間にか別の諸島に移って、日本を諦めている。


 そんなのがよく流れている。有一の明るいニュースはまた四年後に、東京でオリンピック開催になることくらいか。


 でもそんなのさえ、かすれて見えてしまう。


 今の世の中がかなり混乱している。


 小さな子供ですら、分かってしまうくらいの酷さだ。


 ……番組を変えよう。


 リモコンを操作し、適当なボタンを押す。


 と、同時にえる君が素早くリモコンを奪取し、また番組を変えられた。まぁ、適当に選んで押したらアレだったって話だ。


 一応、そういった恥ずかしい精神はあるんだね。


 なら、ほんの淡い期待と共に今日こそ!




 「え~る君」


 「な~あに」



 私はなるべく明るい声で隣のえる君に重大用件をお願いしようと試みる。失敗はまぁ、許される。その程度のお願いだ。



 「あのさ、そろそろお風呂……一緒じゃなくても」


 「それは駄目」


 「ですけどね」



 私は諦めないよ、だってさすがにえる君は男。


 私としては 恥 ず か し い のだよ!


 多分、心の変化でもいつの間にか会ったのかな。いや、無くても恥ずかしいという感情は既にあったからどうだろうか。



 「僕はミソラんが」


 「な、何でしょう?」


 「いや、それよりこれは恥ずかしがっちゃ駄目だよ」


 「うう……それは分かってるけどね」


 「なら、一緒だね」


 「そうだね」



 える君の笑顔に私はノックダウン。


 うぐぅ、える君が意地悪さんにも感じれる今日この頃ってヤツだな。計算高い? それは無いか、こんなに純粋無垢な顔してるもの。


 でも、える君の押しには敵わないな。


 私の弱味はえる君その物だ。前世といい、現世といい弱味に弱すぎるよ……私は……。まぁ、でも恥ずかしいのも本音だけど、一緒に入るのも楽しいんだけどね。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆





 両親も戻り安心したところで夕飯前に、

 今日も私とえる君、二人でお風呂に入る。


 える君は今は、シャワーで体を洗ってる。さすがにこの歳になってからは洗いっ子まではしないし、させない。


 効率が悪いということで何とか納得させた。



 「ねぇ、える君」



 私は既に湯船に浸かり、見えてはいけないところが謎の光と優秀な湯気により隠れている事に感謝しながらえる君に尋ねる。



 「何?」



 える君の顔だけコチラを向く。


 その声色はさっきと同じで冷静だ。特にこの時点で感情の乱れといったものは感じ取れない。では、次の言葉では?



 「える君は――大丈夫?」



 色々と言いたい言葉は浮かんでは消えて、言えたのは他愛のない「大丈夫?」という言葉。ただ込められた意味は多くもある言葉。



 「君が、見宙ミソラが居てくれるなら、大丈夫」



 彼は平然と答える。


 では。



 「ねぇ、もし……もし、私が居なくなったとしたら?」


 「その時は――」



 見宙を追いかけるかもねと冗談っぽく返される。


 でも、目は真剣そのものである。


 今はそれでいい? それでいい。





 自室で一人、ポツンとベットの上で横たわる。


 体は未だに火照りが消えない。


 抱き枕である河童のぬいぐるみも力一杯抱きつけ、形が少しいびつになる。この感情はよく分からない……。


 だから、吐き出すように小さく呟く。


 長い、長い懺悔を。




 「える君……。

 私は、私は何て酷いのだろう」



 自嘲し。



 「いつまでも一緒に居よう。

 たったその言葉さえ言えない」



 後悔し。



 「あの時、5年前に言われた

 あの言葉を未だに引きずって

 える君を困らせてしまっている」



 困惑し。



 「あぁ、だとしたら何て私は酷いのだろう」



 嘆く。



 私は呪言のような言葉を吐露する。嘆くがごとく悲痛に、叫びたい気持ちを抑え、胸を抑え、目をギュッと閉じる。


 私は酷い……醜い……。


 そう思えざる負えない。




 そして聞こえ来るのは5年前、彼の言葉。


 それは甘くて、甘美で、誘惑的な、呪言。



 『だって、君も化け物なのだろう?』



 その言葉に私は今でも呪われている。


 呪いは解けることは無く、私は眠る。



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