*19
少し改稿しました。
給食が終わる。
つまり、その後は必然的に昼休みの時間である。
「よっし! サッカーやろうぜ」
「私も交ぜろ」「あっ、僕も」「面倒だが俺も」「んじゃ、私も!」
私は今、食べた分のカロリー消費するべく校庭に出掛け、モブの岡村君収集の下、サッカーに参加する。勿論、える君も参加する。
サッカー、知らない人は少ないと思うが、それは丸い球を蹴り飛ばし決められた場所にそれを叩き込んだ回数を競う競技だ。
ルールは、イ○ズマイレブンのような必殺技無しのローカルルールである。と、言うよりかはアレは無理だ。
そして集まったメンバーだが、私、える君は勿論、蒼、女々(めめ)、モブの岡村君を含めた男子10名だ。
チーム分け具合は、男子5、私、える君 VS 男子5、蒼、女々といった組分けだ。負ける気しかしないが諦めるものか!
「蒼、手加減無用だからな」
「生憎と筋肉女にかける程、俺は優しく無いんでね」
「何おう~!? さっきから筋肉女、筋肉女と!」
安い挑発だが、何度も言われると流石に少しムカつく。
「筋肉女~、筋肉女~」
それで調子に乗った蒼はここぞとばかりに筋肉女と連呼する。
近くに居る女々ちゃんもそれを聞いてか渋い顔だ。ただ、蒼が続けざまに筋肉女と連呼する度に気配が変わっていく。
私もブルッて来たよ。早く気付け蒼!
とりあえず、現段階に置いては般若とも呼べるような顔だ。お近づくには躊躇う。
「筋肉女の事だしさ
どうせ気持ち悪い位に腹筋とか割れてるだろ?」
「うえっ?」
私は、何故だか「気持ち悪い」という蒼の言葉に傷付いた? のか悲痛の声を漏らしてしまう。うえっ? 何でだろう?
筋肉女とか言われ続けて、精神的に来てた?
気持ち悪いって、そこまで悪口だっけ?
何だか考えれば考えるほどムカついて来る……。
「ちょっと来なさい、そー君」
般若とも呼べるような怒りの形相から能面ともとれるような無表情と化してる女々ちゃん。
その女々ちゃんの顔を近くで見てか蒼は、いつもの女々じゃないと悟ってか顔色も蒼白となり、身体中震えだす。
何か今にも泣きそうでもある。
「へっ? いや、謝るから、謝るから許して!」
「女の子を傷付ける奴に慈悲をかける程、優しく無いんでね……とりあえず、こっち来なさい」
アレ? ここで怒るかと思ったのに女々ちゃんが蒼を何処かに連れてってしまった。
う~ん、不完全燃焼。
「…………!」
「ギニャァァ~~!」
遠くから、蒼の叫び声が小さく聞こえてくる。
……一体何が蒼の身に起きてるのか気になるな。
まぁ、それは置いといて、腹筋か。
何となく服を捲り、お腹を見てみる。綺麗に割れてる。最近になって6パックと進化した腹筋。
ふと考えるのは6パックの女性とは。
……ちょっとだけ考えものだろうか? でも、今更になって筋トレは止められない。
む、視線を感じますよ?
顔を上げてみるが、える君はコチラの視線に気が付き笑顔を、他男子10名(モブの岡村君を含めた)は以前として顔を私と反対方向に向けている。
さっきの視線からすると、える君といった感じはしなかったしな。
はて、気のせいかな?
とりあえず、いつまでも捲ってるとお腹が冷えるので、服を戻す。と、同時に何処からか残念そうな声が聞こえてくる。
える君は満足そうな笑顔で、他男子10名(モブの岡村君なんかは特に)は悲しそうな顔で居る。
皆、本当にどうしたのだろうか? 心配だ。
その後、蒼はボロボロになって帰ってきた。
こっちとしては、今はサッカーで忙しいんだけど、一旦える君と一緒に抜けて蒼の様子を伺いに行く。
岡村君、後は任せた!
来たのだが……心配してたのに見当たる傷とかが無いなと思うと、女々ちゃん曰く、見えない所じゃなきゃ見付かっちゃうじゃん。と笑顔で言ってのける。
蒼の容体を見るがやはり顔とか完全に無傷、見える所に一切の外傷も無い。ないはずなのに、蒼はボロボロだ。
ボロボロ蒼君は私に筋肉女とか変なこと言ってごめんなさいとキチンと謝罪してくれた。
私はそれを聞いて胸のつっかえが消えた気分になる。これで心置きなく筋トレが出来るや。
でも、謝罪するまでがまた酷かった。
が、それは言わないで置こう。てか、女々ちゃんが容赦ない。笑顔でそんな事をやれるなんて……。
あれ、こんなキャラだっけ? 女々ちゃんって。
戦慄を隠せないまま昼休みの終わりのチャイムが響く。
蒼とミソラの友情劇Ⅱ~
「見宙待ってくれ」
「何? 蒼?」
「すまなかった」
「え? あぁ、もう気にしてないよ?」
「ありがとう」
「所であの時は一体何があったの?」
「聞かないでくれ……」