*16
よく見てみて、作者がまた無理して三連続投稿してるよ? 気付いてる?
「える君」
「…………」
「おい、何する気……。いや、任せた」
「蒼ごめん……そして、恵留。
君だけは救ってあげるよ。この命、欠けても」
蒼は何か言おうとしたが、私がこれからやろうとしてることは、既に知っているので止めてくれた。
この場面に直面するのが、蒼にとってもこれで始めてでは無いのだから止めてくれた。素直な感情として助かる。
これは先生方も知ってる事実で、
理解あるこの学園は私の知る一番最高の学園だ。
える君を、私を受け入れてくれて感謝している。
あの時は本当に色々あったが、今は置いておこう。
そして、察してくれた蒼は、分かりやすくも、お口チャックのジェスチャーをする。
小学生のような行動に思わず苦笑してしまうが、える君の事があるので気を引き閉め直す。
これを使ってると神経というかなんというか、気分がささくれてしまう。せめて友達には当たり散らしたくない。そして殺したくもない。
……とりあえず、ありがとう。
まだ男子たちは教室にたむろってるし、廊下の私達の様子にも気が付いていない。なるべく早く終わらせよう。
私の呪い。私の固有能力。
名は【死を望まぬ庭園】。
「える君、落ち着いてね、私は、大丈夫だから、える君も、安心して良いよ」
私は、一言、一言、丁寧に言い聞かせる用にえる君に話す。また、話ながらもえる君の制服の袖を捲り、両腕を掴む。
蒼には、悪いが何も出来ないので、とりあえず黙って壁になってもらっている。対して意味はないかもしれないけど。
そして掴んだ後、目に力を入れてアンデット・ガーデンに繋ぐ。
える君の両腕から見えてきたものは予測通り、消え入りしそうな小さくなってしまった赤の焔。
「える君、ゆっくり目を閉じて、私を思い浮かべて、私はどんな時でも、どんな場所でも、どんな場合でも、える君を助けてあげるから」
私は言葉を紡ぎながら、える君の意識と私の意識を繋げる。
える君に私の姿を意識させないと、これはうまくいかない。
やがて、カチッと何かが頭の中で嵌まる感覚と共に、私の胸の奥からえる君の両腕に繋がる“道”が出来る。
――今だ!
すかさず私は、その一瞬を見逃さず、私の青色の焔を流し、両腕の焔に変化を与える。
――ゴゥ、ゴオォ! ォゥ……。
赤は青に浸食し、紫色へと変わる。
その際に変色。肥大化。安定化。の反応を、なるべく暴走しないよう神経を注がないといけない。
集中するあまりに私の呼吸は浅く、もはやしてるかさえ分からない。
そして、カチッと何かまた別のが頭の中で嵌まる感覚と共に、その焔は赤と青に分離し、元の拳大の大きさの焔となって、それぞれの定位置に戻る。
一連の作業を終えた後に、私は一呼吸を入れ、える君の意識を確認する。目に、光が宿り出してきた。
この分だと、すぐに動けそうだ。
どうやら、今回は比較的浅くすんで良かった。
ホッとした私は、目覚める彼を眺める。
彼は何を見て、何を感じるのだろう。
私にはそれが分からない。けど、これだけは伝えたい。
――親愛なる者へ。
「ね? える君。これからも信じて。
どんな事があっても私が守ってあげる」
私は、私を映す目に、優しく微笑む。