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よく見てください!
三話連続投稿ですよ!?
まだえる君には居てほしい。失ってほしくない。そんな望みを叫ぶ。
「える君、える君。える君!
死を望んじゃダミェーーーー!!!」
否定の思いは力となり、それに答えるように自律的に行動しだした。
えっ! と驚き慌てそうになるが、何となくこの腕だけは離してはならないと思い、離さなかった。
胸の奥から込み上げる何かが、える君の腕に繋がる。
その経路を辿るように、僕の胸にある青の焔は、える君の腕に小さくなり消えかかっている焔に移る。
――ゴゥ、ゴオォ! ォゥ……。
一瞬に紫色と初めて見る色となり、思わず声を出したくなるくらいに大きくなり、拳大に戻る。
正に一瞬の出来事であり思考が追い付かないでいると、紫色の焔はまた赤と青の焔に分離する。そして、それぞれ持ち主である所へ落ち着き、共に拳大の焔となる。
「える君……」
それでも心配で、える君の顔を覗くと、その目には光を取り戻しつつあった。僕は心の底から歓喜した。
「える君!」
「ミソラ……ん?」
そして、える君に抱き締める。
「える君……良かった、良かった、良かったぁぁあ~! あぁぁぁあうぅあぁぁ~ん!」
「ミソラん……そっか、そうだった……ごめんね、心配かけて、ごめんね、本当にグスッ、うわぁぁあぁ~ん!」
最近は互いにしてはされての抱擁も、今だけは匂いやその感触が余りにも懐かしく、暖かく感じてしまった自分も、える君も泣き出した。
止まっていた時を取り戻すように泣き出した。
両親が何事かと来た時も、泣くことはなく止められず溢れていった。
今日だけ、とある一軒家からは泣き声が漏れ聞こえていた。
「お休みぃなさい」
「ミソラんもおやすみ」
その後、泣き疲れた自分とえる君は、同じベットに寝ることにした。そして、何度も求めるように抱き締める力を込めて眠った。
――――
「眠ったわ、明日には元気に戻るかもね」
「ん。そうか、える君には、これからが辛いかもしれないからな」
薄明かりのリビング、二人揃ってソファーに座る姿がある。
見宙の両親だ。話す内容は勿論える君について。
最近仲良くなり始めた付き合いの中のえる君両親が、目の前で死んだのだ。二人だってショックであった。
でも、子供らも、それは同じであり乗り越えようとしている。なら、大人である自分達が弱音を吐くわけにはいかないのであった。
「ねぇ、私達で何とか出来ないかな」
「ん。必要とあれば……助ける、全力で」
「ふふ、父親の顔ですね」
「一応、父親なんだけどな」
父の不貞腐れた声に、あらあら、と母は苦笑する。
父は母に腕を肩から腰に回し、見つめ合う。そして、母は父の唇に唇を押し付ける。
昔に戻ったような気分で、二人も抱き締めあった。
◇◆◇◆◇◆◇◆
さて、皆さん、どうも朝からえる君の寝顔を堪能するミソラこと僕。あれ? 何でえる君が僕と同じベットで寝ているのだろうか。
よく思い出せないけど、良い朝であります。
朝から天使のような、寝顔を拝めるとは、人生捨てたものではないと僕は胸を抑え感動します。
える君、天使。える君、天使。える君、天使。
そんなことを唱えていると、える君がモゾモゾとします。
あらら、起こしちゃったかな。何だか申し訳無くなり、僕の頭が垂れます。気分はしょぼーんです。
あっ、える君が起きた。
仕方ない、爽やかな笑顔でいこう。
大好きな、える君へ。
「おはよう」
える君とミソラの成長劇~
「える君をみゃみょる (守る)!」
「問題ないよ……。ミソラんが居れば、もう僕は壊れない」
「える君……何歳ですか?」
「なに言ってるの? 三歳だよ?」
「…… (少し納得がいかない)」