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第?話舞台袖

「許せない……」

 それは何も無い空間を漂っていた。


「絶対に許せない……」

 それは紫色の結晶を核とし、水銀の肉体を纏い、ただ一つの思いを楔として、どこに向かっているのか自分自身でもわからないままに漂っていた。


「許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない!絶対に『ミラスト』に戻って!絶対にソラんの事をぶち殺して!絶対に『軍』様の望みを叶えてやるんだから!!」

 それが抱く思いは単純にして明快。

 自分をあの世界から追放した人間への殺意。

 ただそれだけだった。


「許せな……ん?なにこれ?」

 やがて、それは一つの壁のような物にぶつかり、その動きを止める。


「どうしてこんな物が突然カッコウちゃんの前に……」

 それ……真旗カッコウは水銀の肉体を操って人の姿を取ると、自分がぶつかった物が何かを確かめようとする。


「なにこれ?」

 真旗カッコウがぶつかったのは白い壁のような物だった。

 だが、世界(アウター)()外側(ワールド)等と言う場所に在るためなのか、当然のようにただの壁ではなかった。


「地面のようにカッコウちゃんを吸いつけてるけど、重力はあっちの方に有る感じがする。風はその逆に吹いてるし。本当になにこれ?カッコウ様にも訳が分からないんだけど?」

 そんな訳の分からない構造物に真旗カッコウが悩んでる時だった。


「見つけた見つけた」

「ん?」

 唐突に真旗カッコウの背後に一人のチャイナドレスのような服の上から白衣を身に纏った橙色の髪の女性が現れたのは。


「いやー、サーベイラオリの術式を逆探した上で網を張るとか流石に大変だったね。でもおかげで『軍』お母様の『悪意』にして『水銀』の力を授けられた貴方に出会う事が出来たよ。良かった良かった」

「いったい誰……っつ!?」

 そして真旗カッコウは気づく。

 女性の目が右目は赤く、左目は青い事に。

 女性が纏っている力が、田鹿トキが纏っていた力と同じ……否、濃くしたものであることに。


「と言うわけでさ……」

「敵!?」

 故に真旗カッコウは武器を構え、戦いの姿勢を取ろうとした。

 だが、真旗カッコウが具体的な行動を起こす事は無かった。


「がぶりんちょ」

 その前に女性……『神喰らい』エブリラ=エクリプスより発せられた黒い力に真旗カッコウは飲み込まれ、その身を消滅させたために。




「さて、これでだいぶ集まって来たかな。いやー、此処まで来るのに本当に大変だった。大変だった。『軍』お母様に隙が無いせいで、良い具合に世界を壊してくれる神たちを送り込むなんて言う偶然に頼った戦法を取るしかなかったもんねー」

 白い板状の物体……真旗カッコウを捕える為だけに作られ設置されたそれが崩れ去っていく。


「待っててねーお母様。私は私の目的を果たして見せますからー」

 そして、物体が消え去ると同時に『神喰らい』もこの場から消え去った。

The end

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