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83.見守ろう会が発足しました

お久しぶりです!

試験勉強がはかどらない作者です!

更新する前に勉強しろという自分の良心が訴えてくるけど、気にせずアップします!


途中からオカマスター視点になりますのでー。


◇◇◇◇


今日は夏休み突入して記念すべき一日目の爽やかな朝です。

青空も広がるよい天気、もちろん朝一の洗濯物はばっちり。

朝食の後片付けもさっさと終わらせたし。今日はなんて清々しい朝なんでしょうか!

……私の背後でどんよりとした空気を背負っている鬱帝以外は。


「どうせ俺はすぐに忘れられるんだ、どうせ存在感が皆無なんだ、だからお前はすぐに俺のことを忘れてどっかに行くんだ……」


はい、魔王城から帰るときに置いて帰ったカインが鬱帝になっててウザイです。

別に忘れてたんじゃないんです。

怒られたから、ちょっとした反抗心で放置して帰っただけなんです。

だからジメジメキノコを発生させながら、背後霊のごとく後ろから抱きついてこないでください。

私までキノコの栽培に巻き込まれちゃうから。

いやもう、本当に勘弁してください。

投げますよ?

というか、そろそろ私の我慢の限界が近いので投げます。

前に回っているカインの腕をがしっと掴み、投げるために身をかがめようとして……。


「あ、いたいた!愛良ちゃ~ん!」

「ひっ」


無理やり低い声を高くするための裏声に、力が抜けました。

くそ、投げ損ねた……。

だけどカインが後ろから抱きついてて良かった。

突然の気持ち悪い猫なで声でなおかつ裏声に、条件反射で蹴りをいれるところだった……。

あっぶなー……。

さすがに家主を蹴り飛ばすのはまずいから、助かった……。

まぁ、蹴飛ばしたところでこのオカマスターなら笑って許してくれるんだろうけどさ。


「マスター……」

「探したわよぉ。ほら、夏休みの間、受付のバイトをしてくれるって言ってたでしょ?だからぁ、呼びにきたのよぉ?」

「あー……そーいや、そんなこと言いましたねぇ……カインが」


Zランクの仕事って、滅多にないから暇だからねー。

お金には困らないから、下のランクをして金稼ぎをしようとも思わないし。

だから喫茶店とかでバイトしたかったのに、カインにギルドの受付嬢するように言われちゃったし。


「じゃあ、とりあえず後ろの鬱帝は投げ飛ばしていいから、ついてきてくれる?」

「はーい。てなわけで逝け!!」

「がっ!?」


鬱帝のお父さん(お母さん?)から許可出たので遠慮なく投げ飛ばして、マスターについていきました!

後ろから鬱帝の嘆きが聞こえてたけど知りません!










受付の仕方を一通り教えてもらってマスターから合格点もらえたから、さっそく一人立ち。

素晴らしい記憶力があってよかった!

何かトラブルがあっても、マスターに連絡入れたらすぐに対応してくれるみたいだし!

この世界での私の保護者(仮)、過保護な気がします。


「じゃあ、愛良ちゃん。頑張ってね」

「……はーい」


オカマスター……。

激励をくれるのはいいんですが、ウインクまではいらないです。

ホント、色んな意味で心臓に悪いんで。


「よし、しぃちゃん!頑張ろうね!」

「わーう!」


受付専用テーブルの上に乗って尻尾を振っているしぃちゃんの片足とタッチ。

うん、やる気でてきました!

……といっても、依頼を受けにくる人が来るまで暇なんですけどねー。

依頼の整理とかは、マスターがやっててすることないし。

図書室の整理も昨日やったばっかみたいで、整理する必要がない。

というわけで、ちゃっちゃか宿題を片づけてしまいましょう!

私、宿題は全部夏休み入ってすぐに終わらす派です。


「わぅ?わうわう」

「へ?」


ありゃ……問題の途中でしぃちゃんがノートの上に乗っかってきちゃった。

どうしたのかと思えば、しぃちゃんが顔を向けている方からやってくるギルドのお兄さん方。

お客さんが来たことを教えてくれるなんて、本当にしぃちゃんはよいこです!

しぃちゃんの体中をいっぱい撫でて、初仕事に挑みたいと思います!


「アイラちゃん?この依頼引き受けたいんだけどー」

「はいはーい」

「こっちも頼む」

「はーい」

「アイラちゃん、あの依頼、まだ残ってるか?」

「あるよー」


「アイラちゃん!俺様のビックなハートにぴったりな依頼を選んでくれ!」

「……。SSSランクの討伐に行って二度と帰ってこないでください」

「今暇?ごはん食べに行こうよ」

「………。受付で忙しいのが見えない人は眼科への通院をお勧めします」

「はあ、はあ……、アイラちゃん。俺と一緒に……げぼっ!?」

「おいこら餓鬼共……ちょっとこっち来いや」

「…………」


最後の変なおにーさんは、ギルド員の暑苦しい筋肉ムキムキマッチョなオジサマ達から熱いハグをいただいていました。

そして妙なおにーさん方もまとめて一緒に隅の方に連行されていきました。

……よく分からないけど、ご愁傷様です。










◇◇◇◇


受付を任しているアイラちゃんの様子を観察していたら、最初は遠巻きに見ていた若いギルド員たちが中心となって受付場に集まってきた。

それも結構な人数が。

……忘れていたわ。

アイラちゃんの性格があんなんだから忘れていたけど……あの子、見た目はすごく可愛い女の子なのよね。

そりゃ、中身を知らない若者はほっとかないわよね。

だ・け・ど!

あの子はカインの嫁(確定)よ!

カインと一緒にこのギルドを継いでもらう予定なんだから、余計な邪魔者は排除しないと!

だからカインにそれとなく受付する人がいないって教えているんだから!

ギルドのことをよく考えているカインなら、間違いなくアイラちゃんを受付嬢にしようとするに決まってるのは予想していたんだから!

さっそくアイラちゃんに声かけている身の程知らずな子達を締め上げてくれるわ!


「おいこら餓鬼共……ちょっとこっち来いや」


……あら?

私が行く前に、若者たちをアイラちゃんがいる受付から引きはがす男たちの姿。

うちの古参のギルド員たちだわ。


「お前らな、アイラはカインが初めて連れてきた女の子だぞ!?」

「あの修行して強くなることしか頭にないカインがだぞ!?」

「マスターみたいに結婚できないわけでもない、むしろ女がほっとかないルックスなのに、今まで誰一人とも彼女ができたことがないカインなんだぞ!?」


「余計なお世話よ!」


古参のギルド員たちの言葉に、思わず声を上げて言い返してしまった……。

だって、別に私だって結婚したかったわよ!!

だけどカインの母親になりたい人はたくさんいても、そのために私と結婚するのは嫌って断られたんだもの!!

仕方ないじゃない!!!


「いいか?とりあえず、アイラちゃんには手を出すな」

「あの子はカインに任せよう」



「「「「「横やりなんざ入れずに、暖かく見守ってやろうじゃないか!!」」」」」



古参ギルド員たちの、息の合った言葉。

……今、この場に『カインを暖かく見守ろう会』が発足したわ。

もちろん、会長は私よね!

会員は随時募集中よ!

『カインを暖かく見守ろう会』会員募集中


イケメンなのに今まで全くリア充でなかったカインを応援するための会。

実は彼、初恋もまだという情報が……。

そんなカインを、みんなで暖かく見守ってやろう!

目下の標的は、我らがギルドの新しき受付嬢アイラちゃん!

性格にさえ目を瞑れば、可愛くて家事能力抜群なあの子はよい奥さんになること間違いなし!

……そんなアイラちゃんをカインから盗ろうとする奴は、我ら『カインを暖かく見守ろう会』全会員で闇討ち。

それでは、みんなの参加を待ってるぞ!


by『カインを暖かく見守ろう会』幹部(ほぼ全帝在籍)

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